覚えておきたい「窒息のサイン」

そんな時に参考になるのが、一般財団法人日本救急医療財団心肺蘇生法委員会が監修する「改定6版 救急蘇生法の指針2020(市民用)」だ。

同指針から、「窒息の発見」と「119番通報と異物除去」について紹介する。

「適切な対処の第一歩は、まず窒息に気がつくこと」だという。

「苦しそう、顔色が悪い、声が出せない、息ができないなど」があれば窒息している可能性がある。

「窒息のサイン」(「改定6版 救急蘇生法の指針2020(市民用)」より)
「窒息のサイン」(「改定6版 救急蘇生法の指針2020(市民用)」より)

また「気道異物により窒息を起こすと、親指と人差し指で喉をつかむ仕草」をすることがあるそうで、これを「窒息のサイン」と呼ぶ。

119番通報と異物除去

このとき、反応がある場合は次のように対処する。

「傷病者が声を出せず、強い咳をすることもできないときには窒息と判断し、救助者はただちに大声で助けを呼んで、119番通報を依頼」し、異物除去を試みる。「救助者が1人の場合、傷病者に反応がある間は119番通報よりも異物除去を優先」する。

異物除去の手順は、「まず背部叩打法を試みて、効果がなければ腹部突き上げ法を試み、異物が除去できるか反応がなくなるまで」続けてほしい。

背部叩打法(「改定6版 救急蘇生法の指針2020(市民用)」より)
背部叩打法(「改定6版 救急蘇生法の指針2020(市民用)」より)

(1)背部叩打法
「声が出ない、強い咳ができない、あるいは当初は咳をしていてもできなくなった場合には、まず背部叩打を試みます」。立っている、または座っている傷病者の場合「傷病者の後方から手のひらの付け根(手掌基部)で左右の肩甲骨の中間あたりを数回以上力強くたたきます」

腹部突き上げ法(「改定6版 救急蘇生法の指針2020(市民用)」より)
腹部突き上げ法(「改定6版 救急蘇生法の指針2020(市民用)」より)

(2)腹部突き上げ法
「背部叩打で異物が除去できなかったときには、次に腹部突き上げを行います。救助者は傷病者の後ろにまわり、ウエスト付近に手を回します。一方の手で握りこぶしをつくり、その親指側を傷病者の臍より少し上に当てます。その握りこぶしをもう一方の手で握って、すばやく手前上方に向かって圧迫するように突き上げます」

異物が除去できるか反応がなくなるまで繰り返し行う。

腹部突き上げを実施した場合は、腹部の内臓をいためる可能性があるため、異物除去後は、救急隊にそのことを伝えるか、すみやかに医師の診察を受けさせることも忘れてはいけないという。

なお、明らかに妊娠していると思われる女性や高度な肥満者、乳児には腹部突き上げは行わないとのこと。

反応がなくなった場合は次のように対処してほしいという。