2022年の記録的な豪雨で被災したJR米坂線の復旧を検討する会議が5カ月ぶりに開かれた。ここでJR東日本は施設の管理などを自治体側に任せた場合、地域の負担が年間で最大17億円になるという試算を示した。改めて鉄道路線として復旧することの難しさが明らかとなった。

沿線自治体とJR “復旧”めぐる議論は並行線…

2022年の豪雨で被災し、一部の区間で運休が続くJR東日本の米坂線。

被災した米坂線(2022年)
被災した米坂線(2022年)
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被災から2年以上が経つ中、復旧をめぐりJRや沿線自治体は11月20日、4回目の会議を開いた。

冒頭の挨拶で、JR東日本の羽中田淳企画総務部長は「被災前と同じような形で鉄道を運営することは非常に難しいものと考えている」と話した。

JR東日本 羽中田淳 企画総務部長
JR東日本 羽中田淳 企画総務部長

利用状況の試算などから、復旧後の米坂線を単体で運営することは難しいとしてきたJR東日本。

復旧後の運営パターンとして、沿線自治体が土地や施設を保有する“上下分離式”やバスへ転換する案などをこれまでに提示してきたが、「JR単独での運営が望ましい」とする沿線自治体との間で議論は並行線を辿ってきた。

“上下分離式”の場合 地域負担は最大17億円

こうした中、JR側は過去の運行経費や設備の維持費などを示した上で、4つの運営パターンについての実例を提示。

このうち、鉄道の施設などを自治体が保有する“上下分離式”では、維持管理などの運営にかかる地域の負担が全区間で年間最大17億円に上る試算を明らかにした。

復旧模索する新潟県 JRは“利用者減”を指摘

新潟県交通政策局の太田勇二局長は「年間数億というのは、自治体にとっては非常に大きい負担だなと考えている」と話す一方で、JR単独の運営にこだわらず、山形県と共に鉄道路線としての復旧を第一に考えて、その方法を模索していく考えを示した。

新潟県交通政策局 太田勇二 局長
新潟県交通政策局 太田勇二 局長

ただ、JR側は費用面だけでなく、利用者の減少も指摘。

羽中田企画総務部長は、想定される利用者数に対し、鉄道の持つ輸送能力は過大でバスが適正だと指摘している。

「JRとしては、米坂線の鉄道の運営を前提とした復旧というのは、大変難しいと考えている」

被災から2年経過…運休続く米坂線
被災から2年経過…運休続く米坂線

果たして地域の足はどうあるべきなのか、JR側と自治体側の協議が続いている。

(NST新潟総合テレビ)

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