最近、街で「異常に速い」自転車、見たことないだろうか?

【動画】『魔改造』自転車 “かる~く”こいで時速40km超え 隣で走る原付を“爆速”で追い越す

街の人:道路でビューって怖いですよね」「何回も怖いときありますね。

街の人:原付くらい(スピード)出てるのかなって。

街の人が恐怖体験を語るのは、原付バイクのスピードをも上回る、速すぎる“自転車”

なんとそのスピード、“自転車”なのに、40キロ超え。

取材をすると、「魔改造」というキーワードが…。いま、街で広がる、「恐怖の“自転車”」の正体とは。

■電動アシスト自転車の改造が問題に

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きょう、大阪市内で自転車店を訪ねていたのは、大阪府警の警察官。

そのワケは…。
大阪府警:電動アシスト自転車の不正改造について、何件か事例があって把握しています。自転車販売店さまとしても、ご注意してご協力していただきたい。

CYCLESHOP NAKAYAMA 中山行男店長:今、ご説明聞きまして、張らせていただきました。

いま街では、危険な「改造自転車」が問題となっている。

10月17日には、大手メーカーのロゴを無断で使い、電動アシスト自転車の「改造部品」を販売した疑いで男らが書類送検されるという、全国で初めての事態も。

■ネット上には改造部品が出品されている状況 「爆速」・「魔改造」とは…?

自転車の「改造」はそんなに簡単にできるのか、調べてみると…。

記者リポート:このようにネットには、自転車用の改造部品がたくさん売られています。

ネット上に並ぶのは、「爆速」。さらに「魔改造」という気になるワードが。

「爆速・魔改造」とは一体どういうことなのか…自転車店で教えてもらうことに。

(Q.一般的な電動アシスト自転車の、スピードはどのくらい?)
中井商会 中井勇治さん:一応、最高時速24キロになると、全く(アシストが)作動しなくなります。そこからは自力でという形に。前輪の所に小さく付いているのが、『スピードセンサー』になり、前輪の回転でスピードを検知して、それをモーターの中に送って、モーターの中のコンピュータで制御している。

通常の電動アシスト自転車は、時速24キロを超えにくい仕組みになっているようだ。

実際にこいでみると…。

秦令欧奈アナウンサー:こぎはじめは強くアシストを感じますが…、スピードにのると、はじめより強く感じません。

結局、全力でこいでも、そのスピードは、「時速20キロ」だった。

■“かる~く”こいで時速40キロ超え 原付を追い越すスピードの自転車

しかし、国民生活センターが公開しているこちらの動画では、“かる~く”こいだ自転車が…。

あっという間に時速40キロをオーバー!

隣で走る原付バイクを“爆速”で、あっさりと追い抜いてしまいました。

なぜ自転車がバイクに勝ってしまうの!?

中井商会 中井勇治さん:スピードセンサーを違うものに取り換えることによって、コンピュータが検知しない。ずっと押し出し続けるかたちになるので、スピードが上がっていく。“非常に危険な乗り物”になってしまう。ブレーキもそこまでのスピードに対応したブレーキになってないので。

■普通に走っていれば、“電動アシスト自転車” 「車より早いかも…」

スピードを抑える機器が取り付けられていないとどうなるのか?

一見、普通の自転車のように見えるが…、超高速でタイヤが回転。

今ネット上で、速度をおさえるリミッターを取り払った車両が不正販売されたり、一部の業者が改造作業を請け負ったりするケースが増えているという。

京都府警交通部 石田伸一郎モビリティ対策室長補佐:性能上でいうと、時速45キロ以上が出るような規格になっている。普通に走っていれば、“電動アシスト自転車”にしか見えない。職務質問も受けないであろうと。

街で話を聞いてみても…。

街の人:ありますね、道路でビューって。怖いですよね。車より早いかもしれませんね。

街の人:歩道だけは走らんといてほしい。歩道走ってきて、強引に突っ込んでくる部分もあるし。

■危険な走行 自転車のような見た目「モペット」

さらに取材を続けると、街の中には違法な走行をする車両が!

こちらの車両、見た目は自転車だが、よく見るとペダルをこがずにどんどん進んでいく。

これは「モペット」とも呼ばれる、「フル電動自転車」。

モペットは、法令上は原付バイクと同じ扱いだ。

公道を走るには免許が必要で、ナンバープレートやヘルメットの着用も義務となっているはずだが…。

記者リポート:モペットが歩道を走っています。観光客の間をすり抜けていきます。ぶつかりそうです、非常に危ないです。
記者リポート:ヘルメットをかぶらずに2人乗りで走っています。
記者リポート:モペットが赤信号を無視して走っていきました。

取材班が大阪・ミナミの夜を取材すると、わずか1時間で数十台。「違法」に走るモペットのライダーたちが。

■「分からない」「知らない」 “モペット”ライダーは違法の認識ナシ

モペットに乗る男性に話を聞くと…。

(Q.どこで買った?)
モペットに乗る男性:そこのショップで…。(Q.これはモペット?)そうです。

(Q.ヘルメット装着義務は知ってる?)
モペットに乗る男性:分からないです。(Q.買ったときに説明は?)聞いてないです。

(Q.ナンバープレート必要だが?)
モペットに乗る男性:聞いてないですね。

違法という認識はないようだ。

こんな危険な場面も…。

ことし6月、大阪市北区の商店街で、防犯カメラがとらえた映像では、幅の狭い商店街で、通行人がいる中走るモペットが…。

警察官が追いかけているようだが、かなりのスピードで走り抜けていく。

この事態に遭遇した商店会の理事は…。
ひがし中通り商店会 小牟礼隆之理事:店から出て声が聞こえたので、モペットと女性警察官が2台連なって走っていった。人込みの中を危険な状態で、抜けていった。恐怖でしかなかったです。(モペットは)最近すごく多くなった。中には異常に速いのもあります。

事故が起きれば命を脅かす恐れもある危険な自転車走行。抜本的な対策が求められる。

■魔改造自転車は公道で走行不可 自転車の保険は使用できない

モペットに乗っている人が違法性の認識がないと言っていたが、ルールを知っておくことが大切だ。

爆速の“魔改造自転車”まさに“恐怖の自転車”だが、
・購入しても、公道で走行することができない。
・もし事故を起こしたら、バイク扱いとなり、賠償金は全額負担になる。

安易に改造してはいけないということだ。

関西テレビ 神崎博報道デスク:結構気軽にフリマサイトやインターネットショッピングで部品が買えますが、これを取り付けて行動走った時点ですでにアウトなんです。

賠償の話、実は自転車用の保険に入ってても、事故を起こしたら保険料は保障されません。自転車の事故で賠償命令では、1億円近い事例もあり、それが全額自己負担になると考えると、違法改造した自転車で事故を起こした場合、全部自分で払わないといけないということになります。

番組コメンテーターで前明石市長の泉房穂さんは「社会全体が毅然と対応すべきだ」と言う。

前明石市長 泉房穂さん:今の話を延長すると、払わないといけないけど、払わない人も出てくると被害者が浮かばれません。そういう意味でも、社会全体で毅然する必要があって、今回の取材では、ほとんど全部が法令違反ですから、電動アシスト付き自転車も時速24キロと法令で決まっていますし、ちゃんとルールが守られていない状況なので、当然、捜査機関も毅然とすべきだと思います。加えてメーカーサイドも放置せずに、改造できないような工夫もするべきだと思う。関係者一堂に会して、やるべき時期だと思います。

どう取り締まるかということもあるが、明石市では取り組みをしていたのだろうか。

前明石市長 泉房穂さん:関連するテーマだと、明石の場合、例えばちょっと前ですけど、水上バイクが非常に危なかったんです。明石市としては、刑事告発を殺人未遂でした上で、条例を先に作って、懲役刑も入れました。そうすると一気になくなりました。いわゆる一罰百戒な面も実はいると思います。やっぱ事故が起こってからでは遅いですから。

ルールづくりも必要だし、ルールにあった自転車で安全運転。これが本当に基本になってくると思う。

(関西テレビ「newsランナー」2024年10月22日放送)

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