記録的な暑さとなった2024年の夏は残暑も長く厳しい。静岡市では9月20日に39.2℃を観測。9月20日に39℃台を観測したのは全国で過去最も遅い。それに伴い体調の異変を訴える人もいる。厳しい残暑を乗りきるためにどんなことに注意すべきなのか医師に聞いた。
「体が思うように動かない」
この記事の画像(13枚)静岡市と浜松市で40℃を観測するなど記録的な暑さとなった2024年の夏。
静岡県内では8月末までに過去最多となる39回もの熱中症警戒アラートが発表された。
大村秀行 記者:
9月に入り季節は一歩一歩秋へと近づいていますが、浜松市では9月7日も30℃を超える真夏日となっています。この厳しい残暑を街の人はどう感じているのでしょうか
7日の浜松市中央区の最高気温は33℃。
真夏日が続く中、強い日差しを避けようと日傘や帽子などを使って対策する多くの人の姿があった。
長引く残暑でどんなことに困っているか尋ねると、「体が思うように動かない。夏の疲れ、夏バテがまだ残っている感じ」「帰るとすぐ寝てしまう。暑さにやられて寝てしまう」「家庭菜園をしている時に熱中症の兆しがあり、怖くて外出は控えようと思っている」「室内と屋外で温度差があり、血圧などに気を付けたい」など、異常な暑さによる様々な影響を話してくれた。
「普段通りに食べることが重要」
残暑の厳しいこの時期にどんなことに気を付けるべきなのか。
掛川市の中東遠総合医療センターで救命救急センター長を務める松島暁 医師は「9月になった、秋になったからといって、熱中症のリスクがとても低くなったということは言えない。風通しの良い環境や暑い時には適切にエアコンを使うことが対策として必要」と注意を促す。
中東遠総合医療センター
松島暁 救命救急センター長:
夏バテというのは暑いことで体力を失っていく。涼しい環境にいたら、熱の影響を受けにくくなるので、その中で普通に食べてもらう。特別何かを食べないといけないということはなくて、普段から食べているものを普段通りに食べてもらうことが重要
「暑さ指数」で屋外運動を判断
夏休みが明けた掛川市の西山口小学校。
9月10日午前10時、学校のグラウンドでは養護教諭が「暑さ指数」を測っていた。
この学校では体育の授業でこまめな水分補給を徹底しているが、熱中症の危険度を示す「暑さ指数」が危険な状態を示せば、外での運動を中止にして子供たちの安全を守っている。
「暑さ指数」は気温・湿度・輻射熱などをもとに示さ、暑さ指数が「31」を超えると原則として屋外での運動は中止にしている。
この日は「31.8」なので屋外での運動は中止となった。
午前8時・10時・正午の1日に3回暑さ指数と気温を測定した上で、廊下に貼られた「熱中症予防運動指数表」に数値を書き込んで教員や児童に知らせている。
屋外で体育の授業をするはずだった2年生のクラスは本来ならグラウンドで走って遊ぶ予定だったが、教室で歩いて遊ぶ内容に変更された。
昼休みも屋外に出ないで
エアコンや扇風機が設置された涼しい教室では、2チームにわかれて子供たちが”へびじゃんけん”で盛り上がったが、児童は「外に出たかったけどさみしい。外にあまり行ってなくて」と残念そうだ。
担任の先生は「大きい学年の子供たちは保健の学習ができるが、小さい学年の子供たちは保健の学習がないので、教室で体育に代わるものとして、リズムダンスしたりゲーム遊びを考えたり、少し苦労している」と打ち明ける。
この日は正午の測定でも、暑さ指数が「32.4」を記録。機器で測定した気温も35℃を超えていて、昼休みは屋外には出ずに涼しい教室で過ごすよう校内放送で呼びかけられた。
掛川市立西山口小学校・伊藤郷子 養護教諭:
夏休み明けてまだ体が慣れていない部分があるので、体育で体を動かしたり、暑い中で登校したりすると「気持ち悪い・だるい」という子供が中にはいる。担任の先生からも子供たちにこまめに声をかけてもらい、安全に外で活動や室内でも快適に過ごせるように指導を進めていきたい
秋雨シーズンも熱中症リスク
9月12日に気象庁が発表した1カ月予報によると、東海地方は温かい空気に覆われやすいため、向こう1カ月は平年に比べ気温が高いと見られている。
中東遠総合医療センター
松島暁 救命救急センター長:
これまで(気温が)36~37℃あったのが30℃だから大丈夫ということは全然ない。梅雨と秋の雨のシーズンというのは、熱中症のリスクは本当にあるので、その期間は気を付けないといけない
9月20日、静岡市では39.2℃を記録した。これは9月の静岡市としては観測史上最も高く、気象庁のホームページによると全国で見ても9月の歴代7位タイの気温だ。
このほか県内では浜松市天竜で37.4℃、浜松市佐久間で37.2℃など18ある観測地点のうち10カ所で猛暑日となった。
9月下旬からは秋雨前線や湿った空気の影響で雲の広がる日が多い見通しだが、油断することなく自分にできる対策を続けることが大切だ。
(テレビ静岡)