経営が危機的な状況にある新潟県立病院について、2024年度は過去最大となる約42億円の赤字となる見通しで、県は2025年度末までに病床を減らすなど、病院の機能・規模の適正化を図る方針を示した。JA新潟厚生連の病院も経営危機を迎えていることもあり、新潟県内の医療再編は待ったなしだ。
県立病院 過去最大“約42億円”の赤字見通し
9月18日に新潟県庁で開かれた県立病院経営委員会。
この記事の画像(4枚)この会議の冒頭で金井健一病院局長は「今年度の当初予算案では、過去最大の約43億円の赤字を計上しており、来年度末には内部留保資金も枯渇が見込まれるといった危機的な状況となっております」と赤字が続く県立病院の経営状況について報告した。
2024年度の決算見込みで赤字は42億円に上り、2025年度末には内部留保資金の残高が枯渇する見通しで、県は集中的に改革を進める方針を示した。
病床削減や機能・規模の適正化へ
県が示した改革方針では、2025年4月から新発田市にあるリウマチセンターの病床数を半減させた上で、同じ建物内にある新発田病院に統合。村上市の坂町病院も病床を20床減らす考えだ。
これにより、3億2000万円程度の収支の改善を見込んでいる。
また、2025年度末までに指定管理化した加茂病院と燕市の吉田病院を除く病院の機能や規模の見直し方針を決定し、速やかに実施したい考えだ。
金井病院局長は「機能強化をしっかりやっていきたい。マイナス面だけではない」と話した。
5年以内を目処に改革「持続可能な医療提供を」
規模の適正化とともに中核病院の機能を強化し、収益性を向上させるとする県。
薬品の調達方法や様々な契約の見直しなども行い、今後5年以内を目処に繰入金の適正化を図るとしているが、そのスピード感に対し、染谷俊幸委員長は「もう少しスピード感を持った取り組みが必要ではないか」と懸念の声をあげた。
また、委員からは改革案に対し、経営面について専門家の視点を入れることや職員の意識改革が必要といった意見が出されたという。
金井病院局長は「様々なことを広範多岐にわたって取り組めば、必ずや持続可能な医療提供というのは成し得る」と答えた。県は今回の委員会で出た意見を取りまとめ、2024年度中に新たな対策を示す方針だ。
(NST新潟総合テレビ)