高知・中土佐町久礼は“カツオ愛”があふれた街だ。140年以上続く歴史をもつ「久礼大正町市場」では、カツオのタタキづくり体験やカツオを使った様々なグルメを堪能することができる。年間10万人以上が訪れる人気観光スポットにもなっている市場には、地元にUターンし「地域おこし」に励む人や、久礼のカツオに魅了されて移住した人もおり、カツオへのアツい情熱を感じられる。
タタキづくり体験 焼いた後は定食に
高知市から車で約1時間のところにある、太平洋に面した中土佐町久礼。カツオの一本釣り漁が盛んな漁師町だ。街の中心部には、明治時代から140年以上続く歴史をもつ「久礼大正町市場」がある。

大阪から来た人にお目当てを聞いてみると、「もちろんカツオです。むちゃくちゃおいしかったんですよ、5年前も買った時に。最高でした」と話し、久礼のカツオのおいしさはわざわざ買いに来るほどだという。

新鮮なカツオを求め、高知県の内外から年間10万人以上が訪れる人気観光スポットになっている久礼大正町市場には、鮮魚のほかに旬の野菜・果物などが並ぶ。

市場の中にある田中鮮魚店では、カツオのタタキづくりが体験できる。自分で焼いたタタキは定食にすることができ、食材の味を楽しむために塩で食べるのがおすすめだという。わら焼き部分の香ばしさと、生の部分のモチモチ食感を両方楽しめる。

田中鮮魚店の田中隆博社長は、慶應ボーイだ。大学卒業後は商社へ就職し、中国にある工場の責任者などを務めた。
30歳の時に「地域おこし」への興味が湧き、久礼にUターン。現在は観光協会の代表理事も務めながら、久礼をPRしている。

田中さんは「カツオと一緒に暮らしてきて自慢もカツオだし、収入とか生活の糧もカツオだし、1番おいしい舌を喜ばすのもカツオだし。日本一カツオを愛している漁師町であることは間違いないと思う。やっぱり自分たちのカツオをすごく愛しているよね。たくさん取れる自慢とかじゃなくて、もうカツオ愛がすごくあふれている」と、あふれる“カツオ愛”を語った。
大物芸能人も絶賛したスープカレー
久礼大正町市場の目の前にある「市場食堂ど久礼もん」では、地元の食材をふんだんに使った看板メニューのスープカレーを味わうことができる。

考案したのは店のオーナー「あきさん」こと川島昭代司さん。約15年間、漁師をしていたあきさんによると、船の上でカツオカレーを作るという。あきさんは「肉がないから。カツオを入れてカツオのカレーをつくるがよ。それの今はやりのスープカレー版を作ろうとしてね」と話し、1年ほどかけて試行錯誤を繰り返したという。

アクセントはガーリックパウダーやカイエンペッパーなどが入ったオリジナルのスパイスで、久礼で揚がったカツオと旬の魚や野菜を使って煮込む。あきさんによると、オリジナルスパイスによって「本当に汗がばっと後から出るけどね、大丈夫」といい、暑い夏を乗り切れるスープカレーとなっている。
店には番組の収録で、スープカレーの本場・北海道が誇るあの大物芸能人も来店したことがあるという。

あきさんは「大泉洋さんが来てくれて、そのスタッフたちがみんな一緒に食べてくれて、『俺らが食べてきたまかないのスープカレーはこの味や』って太鼓判を押してくれた」と、大泉洋さんが来店したときのことを語った。

熱々のカレーを完食した後は、ソフトクリームでクールダウンかと思いきや、高知の特産であるショウガを使ったショウガのソフトクリーム。
食べれば食べるほどだんだんとショウガが効いて辛みを感じる、冷たいのにだんだんアツアツになる不思議なスイーツだ。
久礼のカツオに感動し移住を決意
再び市場の中へ行くと、「串焼きポン吉」では、何かを焼いている様子がみられた。

串焼きポン吉・工藤圭司店主によると、「カツオのハランボって言って、カツオのトロの部位」だという。マグロで言うと大トロの部分だといわれる「ハランボ」を串にして焼いていたのだ。

「ハランボ」はカツオの腹の部分で1匹からわずか3%ほどしか取れない希少部位だ。大阪からきた9歳の男の子は、「おいしい。お肉食べてるみたい」とハランボ串を堪能していた。
店主の工藤さんは、大阪からの移住者。工藤さんは、実は久礼に来るまでカツオが苦手だったという。

工藤さんは「この街に来た時にタタキ食べたら今まで食べたカツオのタタキと全く違くて『これ何!?』っていうぐらいだったんで。もうそれで苦手が大好きに変わって、一気に振り切って来ちゃったって感じです」と、久礼のカツオに感動し移住を決意したと話した。

7年前に店を開き今はカツオで街を盛り上げる側になった工藤さんは、「(久礼は)カツオ愛しか感じないですね。本当にすごいと思います、カツオに対する情熱は。葬式の時にはカツオを入れていただいたらありがたいと思います」と、笑顔でカツオへの愛を語った。
「NO KATSUO NO LIFE」
7月下旬、久礼大正町市場内に初の土産物店「みやげもん浜ちゃん」が期間限定でオープンした。カツオの加工品やキーホルダーなど約30種類を販売している。

なかとさ観光協会の谷口由紀さんが着ていたのは、「NO KATSUO NO LIFE」のTシャツだ。
かつて期間限定で高知空港で販売したことがあり、予想以上の人気だったTシャツが、現在は「みやげもん浜ちゃん」でしか販売されていない。

谷口さんは「本当に土佐久礼のカツオを全面的に出したお店です。観光客の方も地元の方も集まっていただけるお店にしたいと思っています」と話し、まさにカツオ尽くしの土産物店だ。
中土佐町・久礼は、日本一カツオへのアツい愛情あふれる漁師街。暑い夏に訪れてみるのはいかがだろうか。
【田中鮮魚店のわら焼き体験】
料金:1500円
予約:前日まで
※混雑時、お休み有
電話:0889-52-2729
【串焼きポン吉】
営業時間:午前10時~午後2時
不定休(土日祝は営業)
【みやげもん 浜ちゃん】
営業時間:午前10時~午後2時
定休日:火・水
終了時期未定
※「市場食堂ど久礼もん」は9月から休業中
(高知さんさんテレビ)