韓国で10年間の生活を経て故郷・秋田に戻った29歳の女性が、県産食材をふんだんに使った料理店「甚兵衛(じんべえ)」を開いた。秋田市の官庁街・山王地区に再びにぎわいを—。その思いを胸に奮闘する日々を追った。
韓国暮らし経て12年ぶりのUターン
秋田市山王、秋田県庁となりのビル地下1階に2026年2月2日にオープンした「甚兵衛」。
店主は秋田・仙北市出身の小林瑞季さん(29)だ。
16歳で韓国へ移住し、10年にわたる海外生活を経験したあと帰国。岩手や青森での暮らしを経て、2025年10月に12年ぶりの秋田へ戻ってきた。
いまは7歳から0歳まで3人の子の育児と店の運営を、夫と力を合わせながらこなしている。
「韓国の人も情に厚いが、秋田のあたたかさはそれに通じる。帰ってきて、地元の良さを改めて感じている」と小林さんは話す。
目指すのは“満腹になる店”
料理の技術は、飲食店で働きながら独学で身に付けてきた。
昼の看板メニューは、仙北市産のコメを思い切り食べてもらうための定食。
メインには豚ホルモンの味噌煮込み『どて煮』を据え、ごはんと相性抜群の味に仕上げる。
夜は一転、手作りのお総菜をつまみに地酒が楽しめる居酒屋スタイルに。
大皿料理と秋田の酒を「食べ放題・飲み放題 5800円」で提供する豪快さも、店の魅力だ。
コンセプトは「県産食材をふんだんに使い、誰もが満腹になれる料理店」。
小林さんは「まずは量。“腹いっぺ(いっぱい)”になってほしい。『足りない』『もったいない』と思われるのが嫌で、とにかく満足して帰ってほしい。味も勉強を重ねてきたので、おいしく食べてもらえる自信がある」と語る。
ホルモンがつなぐ昼と夜
店のおすすめは、昼はどて煮、夜は『締めのカレー』で活躍する“豚ホルモン”。仙北市の精肉店から取り寄せるこだわりの素材を使う。
濃厚でスパイシーなルーに、ホルモンの甘みが加わって深い味わい。締めと言いつつ、思わずビールが進む一品だ。
次の世代の手で“山王”ににぎわいを
夜営業初日の店内には、大皿料理がずらりと並び、訪れた客からは「おいしい」「酒に合う」と声が上がっていた。
官庁街・山王に灯った新しい店の明かりに、小林さんの願いが重なる。
甚兵衛・小林瑞季さん:
山王は飲食店が減ってきている。自分と同じ世代の人たちが、この街を盛り上げてくれたらうれしい。私たち若い世代が、これからの秋田をつくっていくと思う。
秋田の日常に、新しいにぎわいを。
小林さんの挑戦は、まだ始まったばかりだ。
(秋田テレビ)
