北九州市を代表する『折尾駅名物』の“立ち売り駅弁”が、福岡市・天神で披露された。独特な節回しで客を呼び込む立ち売りスタイルと共に100年以上受け継がれてきた名物が、一体なぜ、商店街に?
駅弁の立ち売り販売は日本で唯一
「おいしい~ 鶏のエキスが~ ぎゅっと詰まった~ かしわめし弁当!」と独特な節回しが響いたのは福岡市・天神の新天町商店街。北九州市が誇る名物駅弁、東筑軒の『かしわめし』の立ち売り販売だ。

甘く煮た鶏そぼろと、ふわふわの錦糸卵。鶏のスープで炊き上げた秘伝の炊き込みご飯は、大正時代から変わらぬ味わいだ。東筑軒が、大正時代から続ける立ち売りスタイルで、出来立ての味を届け続けている。

東筑軒で立ち売りを担当するのは、小南英之さん(66)だ。訪れた女性客は「『かしわめし』大好きだから、で、ネットで(イベントを)知って『この人から買いたいな』と思って来た。会えてうれしい!」と小南さんから『かしわめし』を購入。ご満悦のようすだった。

「今はネット社会で、買い物も簡単で、便利のいい方向になっていますけど、それとは反対に、人との出会いを大切にしていく販売方法も文化のひとつとして入れていきたい。心を豊かにしていきたい」と小南さんは話す。
105年の歴史を閉じるわけには…
コンビニ弁当の普及や鉄道利用者の減少、更にコロナ禍などを背景に、苦境に立たされている駅弁業界。大正10年(1921年)創業で、105年を迎える東筑軒も例外ではなく、業績不振に陥った。最終利益が8年連続で赤字となるなど苦境が続いた結果、東筑軒は2025年10月、福岡市の企業に事業を譲渡することになったのだ。

再出発から5カ月。伝統の味を守り抜くため、“駅から飛び出し”、いま東筑軒は、新たな活路を模索している。

山内裕太社長(41)は「駅弁の立ち売りが残っているのが、日本で唯一、東筑軒だけなので、その気持ちや思いも含めて『我々が終わらせるわけにはいかない』と思っている。まだまだ『東筑軒を知らない』という人がいっぱいいると思うので、福岡の天神、新天町で東筑軒に触れて頂いて『福岡県民のソウルフード』になっていけたら」と熱く語る。

折尾名物『かしわめし』の出張販売は期間、数量限定で、今後も不定期で継続していくという。
(テレビ西日本)
