池田:
だから一律75歳以上を後期高齢者と決めつける社会は困りものだ。75歳でも第一線で活躍している人もいるんだから。
老いてもできることが減るわけではない
和田:
「老人」かどうかは他人が決める部分もありますが、「自分も老人になったな」と感じる時は必ず訪れます。池田さんが老いをリアルに感じたのはいつ頃からですか。
池田:
やっぱり75歳を過ぎてからだね。別にどこも悪くないんだけど気力が落ちた。
和田:
やはり男性ホルモンの影響かもしれませんね。

池田:
そうだね。それと、気力だけでなくて、歩く時にバランスが悪くなった。まっすぐ歩けるし少し速く歩くこともできるけど、ときどきふらつくの。
養老さんもその年齢で似たようなことをいってたな。歩けるけれど50メートルぐらい歩くとしばらく休まなきゃいけないって。
和田:
間欠性跛行(かんけつせいはこう)ですね。歳をとると多くなる病気で、閉塞性動脈硬化症という脚の動脈硬化によって起こる場合もあります。
でも、それで老いを感じたからといって、他のいろいろなことができなくなるわけではありません。
池田:
うん、相変わらずときどき虫採りに行って虫の標本をつくっているし、対談したり原稿を書いたり、なんだかんだといろんなことをしていますね。
日本社会が「老人」をつくりだす
和田:
日本では、老人はあれもダメこれもダメととにかく制約しようとする。運転免許返納もしかりで、社会全体が老人には何もやらせない方向にむかっている気がします。
池田:
余計なお世話だ。
和田:
若くても年寄りみたいな人もいれば、老いていても元気な人もたくさんいる。実はこの個人差が、年齢を重ねれば重ねるほど大きくなるんです。