池田:
子どもの頃は、クラスに足の速いやつも遅いやつもいたけど、その差はせいぜい秒単位。それが同じ70歳でも若い人に負けないぐらいピンピンしてる人もいれば、寝たきりの人もいるものなあ。

和田:
なぜそれほど個人差が大きくなるのかというと、個々の事情を無視して年齢で区切って「それを超えたら高齢者」、という枠組みにみんなを押し込んでしまうからです。

リスクがあるとかいわれて禁欲的に生きていたら、元気な70代もどんどんしょぼくれてしまいますよ。

池田:
乱暴に、年齢で線引きをすることで、日本社会が「老人」をつくりだしているわけですね。

『オスの本懐』(新潮社新書)

和田秀樹
東京大学医学部卒。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、高齢者専門の精神科医。著書に『80歳の壁』(幻冬舎新書)など多数

池田清彦
生物学者。東京教育大学理学部生物学科卒、東京都立大学大学院理学研究科博士課程生物学専攻単位取得満期退学、理学博士。著書に『「頭がいい」に騙されるな』(宝島社新書)など多数
 

和田秀樹
和田秀樹

東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー医学校国際フェローを経て、現在、立命館大学生命科学部特任教授。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。ベストセラー『80歳の壁』(幻冬舎)、『70歳が老化の分かれ道』(時想社新書)、『60歳からはやりたい放題』『90歳の幸福論』(扶桑社)など著書多数。

池田清彦
池田清彦

1947年、東京都生まれ。生物学者。東京教育大学理学部生物学科卒、東京都立大学大学院理学研究科博士課程生物学専攻単位取得満期退学、理学博士。山梨大学教育人間科学部教授、早稲田大学国際教養学部教授を経て、現在、早稲田大学名誉教授、山梨大学名誉教授。高尾599ミュージアムの名誉館長。生物学分野のほか、科学哲学、環境問題、生き方論など、幅広い分野に関する著書がある。フジテレビ系『ホンマでっか!?TV』などテレビ、新聞、雑誌などでも活躍中。著書に『平等バカ』『専門家の大罪』『驚きの「リアル進化論」』(すべて扶桑社新書)、『人間は老いを克服できない』(角川新書)、『「頭がいい」に騙されるな』(宝島社新書)、『老後は上機嫌』(共著:ちくま新書)など多数。また、『まぐまぐ』でメルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』を月2回、第2・第4金曜日に配信中。