池田:
子どもの頃は、クラスに足の速いやつも遅いやつもいたけど、その差はせいぜい秒単位。それが同じ70歳でも若い人に負けないぐらいピンピンしてる人もいれば、寝たきりの人もいるものなあ。
和田:
なぜそれほど個人差が大きくなるのかというと、個々の事情を無視して年齢で区切って「それを超えたら高齢者」、という枠組みにみんなを押し込んでしまうからです。
リスクがあるとかいわれて禁欲的に生きていたら、元気な70代もどんどんしょぼくれてしまいますよ。
池田:
乱暴に、年齢で線引きをすることで、日本社会が「老人」をつくりだしているわけですね。

和田秀樹
東京大学医学部卒。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、高齢者専門の精神科医。著書に『80歳の壁』(幻冬舎新書)など多数
池田清彦
生物学者。東京教育大学理学部生物学科卒、東京都立大学大学院理学研究科博士課程生物学専攻単位取得満期退学、理学博士。著書に『「頭がいい」に騙されるな』(宝島社新書)など多数