生成AIの台頭により、将来的になくなってしまう職業もあると言われている。

そんな時代の「頭のよさ」とは何なのか。そして親は何を目指して子育てをすればいいのか。

進学塾VAMOS(バモス)代表の富永雄輔さんは、親自身が古い価値観にとらわれることなく、子どもの適性を見極め、個性に合わせた教育環境を示してあげることが大切だとする。

著書『AIに潰されない「頭のいい子」の育て方』(幻冬舎新書)から、一部抜粋・再編集して紹介する。

結果「勝つ」ための戦い方が多様化

DX化が進んだ学校を中心に、試験に電卓や参考書などの持ち込みをOKしているところが増えています。

とくに電卓に関しては、今後あらゆる試験の場で持ち込みが前提となると私は踏んでいます。

電卓を持ち込めば、計算の速い子どもの優位性が失われます。

これまでの試験では、数学でも理科でも計算の速い子どもはいい成績が取れたのに、これからは計算が遅い子どもに差を縮められてしまいます。

でも、それでいいのです。なぜなら、計算はAIの得意分野だからです。計算の速さなど、なんの売りにもならない時代が来るためです。

ビジネス界より進んでいる教育現場は、おそらく、みなさんが考えているよりずっとレベルの高い子どもを欲しがっています。

「判断」できる子が求められている(画像:イメージ)
「判断」できる子が求められている(画像:イメージ)
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電卓の「あり・なし」などとうに超えて、「ここは自分で考えて、ここは電卓に計算させればいい」という判断ができる子どもを求めているのです。

とはいえ、現入試において計算をしっかりやることはまだまだ大切です。一部の学校では変化が起きていると言いましたが、「計算力を武器にできる子」はゼロになりません。

突出したスピードで正しく計算ができる子は、どこかで絶対に必要とされます。その数は減るでしょうが、むしろ強みは増すかもしれません。

要するに、「戦い方が多様化している」ということです。

結果的に勝てればいいのであって、その方法は多様。ただし、結果が問われているからこそ、その方法が自分に適しているかを見極めることが、非常に大事になっていきます。

ポリシーが我が子と合うかどうか

Jリーグで成績を残しているあるサッカーチームは、その典型です。

今は「魅せるサッカー」と言われる、きれいな戦い方がプロサッカー界の主流です。ところが、そのチームは、時代に逆行しているとも思われる方法で選手を育成し、成果を上げているのです。

試合での戦い方も泥臭く、汚く見えるプレイもするけど、結果的に勝っている。まさに明確なポリシーがあるわけで、そのようなやり方に適していると思える選手にとっては、いいチームとなるわけです。

灘中学校の入試は2日間にわたって行われますが、その初日の国語試験は、難しい漢字やことわざなど、徹底的に知識を問うものです。

インターネットで調べれば事足りる知識について出題する学校が減っている中で、灘中学校はまったくブレることなく国語の知識を問い続けています。