長崎に、長崎と広島で二重被爆した被爆者のひ孫となる高校生がいる。8月9日の長崎原爆の日の学校登校日、曽祖父の被爆体験を同級生や後輩に語った。曽祖父の思いを受け継ぎ、「三度目の被爆はあってはならない」と訴える。
私たちが平和を担う世代
8月6日広島、8月9日長崎。二重被爆。上空のきのこ雲を仰ぎ見た。まるできのこ雲に追いかけられているみたいだ、と私はつぶやいた。(紙芝居「きのこ雲に追いかけられてー二重被爆 山口 彊ー」から引用)
広島と長崎で原爆に遭った「二重被爆者」山口彊(つとむ)さんの被爆体験である。
この記事の画像(7枚)山口さんのひ孫、長崎南山高校3年の原田晋之介さんが、8月9日、曽祖父の被爆体験を紙芝居などを通して伝えた。
場所は自分が通う学校だ。一緒に学ぶ同級生や後輩たちに話すのは初めてで、語り部を続ける理由も講話で伝えた。
原田晋之介さん:「被爆者家族であるから」ではありません。私たちがこれからの平和を担っていくからこそ、私はこのような活動をしています。
三度目の被爆はあってはならない
2024年8月6日。原田さんの姿は広島にあった。曽祖父の山口さんは広島に出張中に被爆した。大ヤケドを負いながら必死の思いで長崎に戻ってきた曽祖父の足取りをたどった。
平和活動に取り組む広島の高校生とも交流し、新たな刺激を受けた。
「広島でも長崎でも平和を求める非核平和の思いは変わりません」。原田さんは生前の曽祖父と同じ言葉で同級生や後輩など約700人に呼びかけた。
原田晋之介さん:日本のことわざでは二度あることは三度ある、と言います。しかし絶対に三度目の被爆はあってはならない。「ALL FOR ONE、 ONE FOR ALL」。「みんなはひとりのために、ひとりはみんなのために」。このモットーで皆さんにご協力いただきたい。
原田さんは7月、アメリカに渡って同世代と交流し、核兵器に対する考え方の違いにも触れた。「異なる考えを受け入れ認めることが、平和につながる」と訴えた。
原田さんの話を聞いた生徒は「同世代から聞くとまずは尊敬の気持ちとか、すごいなって思うけど、実際に自分も動いていく必要があるのではないかと思った」と話す。
発信するステップになってほしい
講演を終えた原田さんは「8月6日、9日はいつもよりも曽祖父を身近に感じられる」と話す。
原田晋之介さん:被爆体験講話を9日にできて嬉しい。後輩たちには次は学ぶだけじゃなくて、それを発信するステップとなってほしい。
原田さんは同世代や後輩が平和について考えるきっかけをつくり、活動の輪を広げたいと考えている。
(テレビ長崎)