子どもがかかりやすいとされる「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」は、山形県内が8週連続で全国最多の感染者数となっている。風邪のような症状が主だが、「劇症型」を発症すると死亡のおそれもある感染症。対策を聞いた。

「溶連菌」の感染者数 山形県が最多

「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」は、「溶連菌」とも呼ばれる。発熱やのどの痛みなど風邪のような症状がみられる感染症で、5歳以下の子どもがかかりやすいとされている。

「溶連菌」感染者数の全国平均と山形県内平均のグラフ
「溶連菌」感染者数の全国平均と山形県内平均のグラフ
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山形県内では2023年12月、「1定点医療機関当たり8人以上」という基準を超え、「警報レベル」が続いている。その後も感染者数の高止まりは続き、2024年5月22日発表された最新の県内の感染者数は、1定点あたり11.5人で、前の週と比べて2.96人増加した。

山形県 健康福祉企画課・渡部善記課長補佐:
コロナ禍の2~3年間で感染症対策を徹底した期間が数年続いた。菌やウイルスを社会がシャットアウトできていた。その反面、免疫が落ちたので体内にウイルスや菌が入ってきやすくなった

中でも、山形県は8週連続で1定点あたりの「溶連菌」の感染者数が、全国で最も多くなっているが、その原因は「現時点ではわからない」という。

山形県 健康福祉企画課・渡部善記課長補佐:
地域性のある病気ではない。山形県が全国でも高い方にある原因はわかっていない

感染対策は「手洗い・うがい・消毒」

そして、全体の99%は軽症で済む溶連菌だが、中には命に関わる場合もある。それが「劇症型」。短時間で急速に増殖し、「人食いバクテリア」とも呼ばれる株のことだ。

まだ未解明の部分が多い「劇症型の溶連菌」は、発症すると最悪、死に至る感染症。県によると、2024年、県内ではすでに10人の患者が「劇症型の溶連菌」を発症した。

山形県 健康福祉企画課・渡部善記課長補佐:
通常の溶連菌と劇症型の関係性などまだよくわかっていない病気。ことし県内で劇症型を発症した人の中にも亡くなった人がいる

通常の溶連菌は接触や飛沫(ひまつ)で感染が拡大するが、「劇症型」は皮膚の傷口などから菌が侵入する場合もあるとされている。手足に赤紫色のアザができることや、経験がないような激しい手足の痛みに襲われるという。

山形県 健康福祉企画課・渡部善記課長補佐:
傷口から菌が入り込んで劇症型に至るという見解もある。傷ができた時には患部を清潔に保つ、そして今までにない体の痛みがある症状が出た時には、できるだけ速やかに病院を受診していただきたい

県は、「溶連菌にも、手洗い・うがい・消毒といった基本的な感染対策が有効」だとして、特に子どもと接する機会がある人に徹底を呼びかけている。

(さくらんぼテレビ)

さくらんぼテレビ
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