同窓会組織から約2000万円の不正給与があったとして、特別背任の疑いで家宅捜索が入り、混乱の中にある名門・東京女子医科大学。

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岩本絹子理事長のもと行われた人件費削減などの経営改革によって、現役の医師や職員からは、患者へのサービス低下を懸念する声があがっています。

東京女子医科大学病院 現役職員Aさん:
これ以上東京女子医大の評判を下げるようなことをしてほしくないなって。不祥事が続いているので。

東京女子医大病院 現役職員Bさん:
麻酔科の医師が辞めたり、手術件数が減ったり、看護師が辞めてマンパワー的には低下しているので、どうしても1人当たりの仕事量が増えますね。

現役医師の中には「メンタルがとにかくしんどい、毎日病院にいる印象」と、満足に眠れない日々が続いていると話す人も。

医師たちが訴えるのは、過酷な勤務とそれに見合う待遇を得られないこと。医師や看護師らが不足し、現在の病床利用率は5割にとどまっています。

東京女子医大病院 現役職員Bさん:
夜勤なんかの回数も増えてきていると思うので、事故を起こさないのが一番なんですけど。給与面や賞与面の支給がかなりシビアになって、前はそれなりの額をもらっていたんですけど、それをかなり下回る。

東京女子医大病院 現役医師:
安い給料で働く中で、患者さんへの善意と優しさから大学病院に残っている医師や看護師もいると思います。
常勤の医師が異常に少なく、足りていません。このままでは以前のように大量離職者が出てしまい、医療の提供に影響が出る恐れもあると思います。

動揺は患者にも広がっています。約20年にわたり通院しているという人は不安を口にします。

約20年通院している患者(65):
担当していた医師が変わってしまったので、2~3年前からですね。
極力患者さんの方には影響がないようにしてほしいと思います。ちょっと不安感というのはありますよね。

勤務実態のない元職員に高額報酬か?

3月29日に行われた警視庁の家宅捜索。関係先として捜査を受けたのは、大学の本部や、大学の理事長・岩本絹子氏の自宅などです。

捜査関係者によると、容疑は、大学の同窓会組織「至誠会」から勤務実態のない元職員に給与が支払われていたというもの。当時、「至誠会」の代表理事は、岩本理事長が兼務していました。

不正を告発した、現在の代表理事を取材してみると…。

「至誠会」齋藤麗子代表理事:
給与一覧を見たところ、突出してボーナス1000万とか、医療職ではない事務の2人にですね。それが数字として出ていたので、驚いたわけです。就職した最初は(月に)20万でスタートしていたのですけれど、月に100万とかボンボンと上がっていっている状況で…珍しい状況です。

岩本理事長や側近とされる2人の元職員に、それまでの水準を大きく超える報酬が支払われていたというのです。しかも、2人のうち、50代の女性元職員は“勤務実態がなかった”といいます。

「至誠会」齋藤麗子代表理事:
普通、職員は当時はタイムレコーダーで、現在は指紋認証で出退勤(管理)をやっているんですけど、その人だけは何も出退勤の記録がないんですよ。

この時期、岩本氏のもと、現場では医師や看護師への給与削減など、コストカットが断行されていました。

「至誠会」齋藤麗子代表理事:
職員の中ではやっぱり不満だと。(岩本理事長の)辞任要求している教授たちが署名活動したら、500人集まったと聞いていますけど。

至誠会は、報酬が不当だったとして損害賠償を求め、岩本氏らを提訴していますが、岩本氏は「正当な報酬である」などと反論していて、現在も係争中です。
(「めざまし8」4月16日放送)