神戸市にある王子動物園のパンダ「タンタン」が死に、別れを惜しむ人たちが花を手向けに動物園を訪れている。

【タンタン天国へ】国内最高齢28歳 人間でいうと100歳近くまで生きた王子動物園のタンタン 震災復興のシンボル 神戸市民に愛された生涯 飼育員は24時間つきっきりで看病

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阪神大震災で傷ついた街を元気づけようと、2000年、中国から神戸にやってきたメスのジャイアントパンダ「タンタン」。 神戸の人たちとともに歩み、復興を見届けて3月31日の深夜、天国に旅立った。

心臓疾患による衰弱死とみられていて、人間では100歳近くの高齢にあたる28歳だった。タンタンは、2020年に中国に返還される予定でしたが、新型コロナの影響や体調不良により延期が続いていた。

■献花台の周りでは涙を流す人も

悲しい知らせを受けて4月2日は開園から多くの人が駆けつけ、パンダ館に設置された献花台に花を手向けた。

献花台の周りでは別れを惜しみ、涙を流す人の姿もみられた。

■「私も産んでからすぐに子供を亡くした」死産経験したタンタンに勇気づけられた女性

長年タンタンに勇気づけられたという女性は、タンタンと自らの姿を重ね合わせていたという。

訪れた女性:タンタンは子どもを亡くしていて、私もわりと産んでからすぐに子供を亡くしたので、『お母さんの気持ちがすごくわかった』って、『お互い頑張ろう』っていう気持ちにすごくなりました。何回も何回もタンタンと会って癒されていたんで、いっぱい元気をもらってありがとうと。天国で幸せに過ごしてねっていう気持ちでいっぱいです。

■孫と一緒“三代”でタンタンに会いに来ていた人も

また、動物園の近所に住んでいて最初は1人で見に来ていたのが、この24年間で、自分の息子が結婚し孫ができ、みんなで来るようになって、タンタンと一緒に人生を歩んできたという女性は、「疲れたり、心が病むと、動物園に来て和ませていただきました。言葉では言い尽くせない気持ち」と語った。

飼育員 梅元良次さん
飼育員 梅元良次さん

飼育員の梅元良次さんと吉田憲一さんをはじめとしたスタッフは、常に「タンタンファースト」。 病気になってからは食欲も減り、寝ていることが多くなったが、それでも、大好きだった笹をいつでも食べられるよう準備するなど、24時間態勢でタンタンのケアをしていた。

2024年1月撮影 神戸市提供
2024年1月撮影 神戸市提供

また、自分たちしか見ることができないタンタンの姿をXに投稿してきた。

タンタンのことを「家族や友達以上の関係」と語る梅元さん。タンタンが大好きだったタケノコ、ニンジン、リンゴなどを写真の横にお供えした。

■「嫌な薬も毎日飲んで、ほんとに頑張ってくれた」

2024年3月10日撮影 神戸市提供
2024年3月10日撮影 神戸市提供

献花台に花を手向ける人たちを見て、「ほんとに愛されていたんだなと思いますし、すごくありがたいです」と感謝の気持ちを語った梅元さんは、タンタンとの一番の思い出について、「心臓疾患が見つかって、この3年は、ほんとに治療の毎日だったので、疾患が見つかってから、あの子が頑張ってくれていたその姿とかっていうのが、一番の思い出ですかね。良いとは言えないですけど、、、ほんとに頑張ってくれていたんで、嫌な薬も毎日飲んで、治療もね。正直嫌だったと思うんですけど、頑張ってくれていたんで、それはもう見ていて胸が熱くなるものがありました。今は、それがすごく思い出に残っています」と話した。

■ありがとう「タンタン」

神戸の人たちに愛されたタンタン。 天国に旅立った翌日の4月1日、神戸の街に届いた桜が開花したという知らせ。 標本木があるのはタンタンのお家、パンダ舎の裏。 桜もタンタンとの別れを惜しむかのように、淡いピンクの花を咲かせた。

ありがとう、そしてさよなら「タンタン」。

関西テレビ
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