食の雑誌「dancyu」の編集部長・植野広生さんが求め続ける、ずっと食べ続けたい“日本一ふつうで美味しい”レシピ。

植野さんが紹介するのは「目玉焼き」。

日本のフレンチ界を代表する一人、高良康之シェフの店「レストランラフィナージュ」を訪れ、白身のうま味がひときわ際立つ、秘伝のレシピを紹介する。 

調理風景も楽しめるオープンキッチン

「レストラン ラフィナージュ」があるのは、東京、銀座。

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銀座4丁目の交差点から歩いて3分のビルの2階に店を構えるのが「レストラン ラフィナージュ」。

上質でシックな雰囲気に包まれた店内は、オープンキッチンスタイルで、カウンター席からは調理の様子を間近に楽しめる。

名店で腕を磨いた、一味違う卵料理

店を仕切るのはオーナーシェフの高良康之さん。

21歳で単身フランスに渡り、様々な名店で腕を磨き、帰国。

オーナーシェフ・高良康之さん
オーナーシェフ・高良康之さん

フランス料理界の巨匠、ポール・ボキューズ氏が手がけるレストランの副料理長や日本最高峰とも言われるフレンチレストラン「銀座レカン」の総料理長などを歴任した。

2018年に独立し、オープンしたのがこの「レストランラフィナージュ」。

植野さんはまず、ラフィナージュの卵料理をいただく。

初めはスクランブルエッグ。

滑らかなスクランブルエッグをお皿に入れてウニを乗せ、ウニの入ったソースをあわだててその上にかける。

続いてはポーチドエッグ料理。白身が半凝固、黄身が半熟になるよう調理。

あわびの肝ソースの上に乗せてあわびと黒トリュフを添えれば完成だ。

めげずにオムレツを作った日々

数々のフレンチの名店で料理長を務めた高良さん。

料理人になろうと思ったそのきっかけは、高校時代に何気なく始めた、喫茶店のアルバイトだった。

そして1985年、池袋の「ホテルメトロポリタン」に就職。洋食レストラン部門で働くことに。

専門学校に行かず飛び込んだ料理の世界。当然洗い場からのスタートで、一人前と認められるにはある試練があった。

朝食の営業中、突然その時はやってきた。

「高良!」とシェフから名前を呼ばれたら、“オムレツを作れ”の合図だった。

高良さんはすぐさま作ってシェフの元に持っていく。「お願いします!」と高良さんはシェフに見せるが、無言でオムレツが避けられたら、失格。

オムレツを作っては突き返される日々を送ってきたが、ついに認められたときがきた。

「ある日、お願いしますと言ったらシェフが(オムレツに)ハムを3枚のせて、チン!と鳴らしてサービスを呼んで『はい、持ってけ!』と言ったときには涙が出るくらいうれしかった」

4年間ホテルで料理の基礎を教わった高良さんは21歳の時、単身フランスへ。

フランスで腕を磨き、帰国すると、日本国内の名だたるフレンチの名店で活躍。

満を持して2018年に「レストランラフィナージュ」をオープンした。

「ここの店を開けてより思いました、フランス料理いいなぁって。再認識しているので、フランス料理一筋でこのまま進みます」

奥が深いからこそ面白い。

高良さんのフランス料理の探求は続く。

おいしい目玉焼きの作り方

目玉焼きはフライパンを火にかける前に油を入れて全体に馴染ませる。

白身が黄身にかからないよう優しく滑らせるように入れ、焼き始めてから2分半。

白身がだんだんと白くなってくる。白身が固まる直前に、黄身を好きな位置に動かし、フライパンを斜めにして卵が動くようになったら溶かしたバターをフライパンの縁から入れる。

植野さんが作った目玉焼き
植野さんが作った目玉焼き

さらに、卵を持ち上げて、バターを下に入れ縁がカリカリになるまで焼いていく。

塩をふるのは、白身に火が通りきってから。表面がでこぼこになるのを防ぐ。仕上げに、スティックブロッコリーと焼いたベーコンを添えたら、完成。

一口食べた植野さんは「I am a Champion!こんなに白身がうまいと思ったのは初めて」と絶賛。