福島県によると「過去1年でギャンブルなどへの依存が疑われる人の割合」は男性3.7%、女性0.7%。20歳以上の県民では、約3万3000人が該当すると推計されている。「ギャンブル依存症」は誰にでも陥る可能性がある一方で、経験者は「克服することは難しい」と話す。

執着…当事者の体験談

「当時は働いていたので、得た収入・給料をその日のうちに全部ギャンブルで使いきっちゃうとか。本当に愚かだな 哀れだな 惨めだなって思いながら、日々を過ごしていて」と話すのは、関西地方を中心に依存症の克服を支援しているワンネス財団ディレクターの木村勇也さん。自らもギャンブルにのめり込んだ経験がある。

ワンネス財団ディレクター・木村勇也さん
ワンネス財団ディレクター・木村勇也さん
この記事の画像(7枚)

20代前半の時には借金が400万円以上に膨らみ、勤務先の金を横領して解雇された。「いつか勝てるっていうことを、諦めきれなかった。もう執着ですよね。僕の中で、もうそれしかないんだって。そこで何とかっていうことしか、わからない状況だった」と木村さんは振り返る。

20代前半の時には借金が400万円以上に
20代前半の時には借金が400万円以上に

改めて感じた克服の難しさ

同じ悩みを抱える人や支援スタッフと約1年半の共同生活を送りながら「ギャンブルの優先順位を下げていった」という木村さん。いまは支援する立場で依存症の人と向きあう中で、あらためてギャンブル依存症から抜け出すことの難しさを感じている。

同じ悩みを抱える人や支援スタッフと約1年半の共同生活(画像提供:ワンネス財団)
同じ悩みを抱える人や支援スタッフと約1年半の共同生活(画像提供:ワンネス財団)

「収入がたくさんあって、キャリアがある程度ある方だと、ぱっと見、困っているかどうかもよくわからない。勝てる望みがあるのでそれが諦められない限り自分はギャンブルをやるんだって言う方もいらっしゃる。でもその考えも否定できないのが、当事者として知っていることなんですけど」と木村さんはいう。

望みがあるからやめないという人も その気持ちも分かるという木村さん
望みがあるからやめないという人も その気持ちも分かるという木村さん

家族が気付くことが重要

「娯楽」と「依存」のどちらの状況にあるのか、本人は気づきにくいことから、福島県は「家族の気づき」の大切さを指摘する。
福島県障がい福祉課の三瓶ゆかり主幹は「本人が依存にのめりこむのを、家族が知らぬ間に手伝ってしまっていることもある。借金を肩代わりしたりとか、お説教をしてみたりとか、ちょっと心配だなということがあれば、まずご相談いただければと思います」と話す。

肩代わりや説教…知らぬ間にのめり込む手伝いをしていることも
肩代わりや説教…知らぬ間にのめり込む手伝いをしていることも

相談件数は少なく

福島県内では、精神保健福祉センターや各地の保健所で相談を受け付けているが、令和3年度に福島県や市町村に寄せられた「ギャンブルなどへの依存」に関する相談は、約300件に留まり、県内の専門医療機関は1カ所だけという状況だ。

気付いたら保健所などにまずは相談を
気付いたら保健所などにまずは相談を

福島県は「ギャンブルなどへの依存」について対策をとりまとめ、スムーズな治療や支援につなげたい考え。

(福島テレビ)

福島テレビ
福島テレビ

福島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。