3月21日からカナダ・モントリオールで開催される世界選手権。
日本女子は今年、坂本花織、千葉百音、吉田陽菜が出場する。
その世界選手権には前回大会銀メダルのイ・ヘイン（韓国）、2年連続表彰台にのぼるルナ・ヘンドリックス（ベルギー）やアメリカの新エース、イザボー・レヴィトらが立ちはだかる。
今大会と同様、強豪がそろった今シーズンのGPファイナルで3位の吉田は、初の世界選手権に向けて、「恐れることなく全力で滑りたい」と意気込んだ。
全日本は「すごく悔しい」
今シーズン、本格的にシニアデビューを果たした吉田。
GPシリーズ中国大会で初優勝し、GPファイナルの舞台で3位表彰台に輝いた。
吉田の最大の武器は、ジュニア時代に習得したトリプルアクセルだ。GPファイナルのフリーでその大技を着氷し、ガッツポーズが飛び出した。
年末の全日本選手権では、その大技をショートとフリーの構成に組み込んだ。
しかし、独特の空気感が漂う全日本の舞台で成功とはならず、総合7位という結果に。
これまでの実績も評価され、初めての世界選手権代表に選出された。
全日本後、吉田は悔しさをあらわにした。
「結果はすごく悔しい。でも、ファイナルとの連戦や、いろんな経験をして学ぶことも多かったので、次につながる試合にはなったかな。
自信があるフリーで、アクセルが抜けてしまったり、その後も、減点になってしまうジャンプもあったので、それが一番悔しいです」
世界選手権の代表の知らせを吉田はネットで知ったという。
「素直にうれしかった。でも、全日本の悔しさが残っていたので、選ばれたのはうれしかったのですが、心の中では、悔しい思いが大きかったです」
初めての世界の大舞台に、吉田は「プレッシャーはあまり感じることなく、のびのび挑めればと思います。
ですが、世界選手権で（次の出場）枠もかかってくると思うので、そこはしっかり責任を持って、準備に全力を尽くしたい」と気を引き締めた。
高校を卒業、すごく濃い3年間
年が明け、世界選手権に向けて練習を始めた吉田に朗報が届く。
2月11日、毎年行われる国際スケート連盟（ISU）の年度表彰があり、その発表と表彰式が催され、最優秀新人賞を吉田が受賞した。
受賞の理由としては、GPファイナルで3位になるなど、ジュニアからシニアに上がり、著しく成長したことが評価されたためだ。
「すごくうれしかったです。シーズン前半は自分が思い描いていた以上の結果が残せたと思うので、それが認められてうれしかったです。
上位3人にノミネートされたことは知っていましたが、選ばれるとは思わなかったので、とても驚きました」
3月1日には3年間過ごした中京大中京高校の卒業式に出席。
京都の木下アカデミーに拠点を移したことで学校に通うことが大変だったというが「たくさんサポートしていただいて、3年間乗り越えられました」と感謝の気持ちを述べる。
4月からは同志社大学に進学する。
「この3年間は自分の中で、スケートがすごく充実している3年間だった。たくさんの経験をさせていただいたので、自分の長いスケート人生の中でも、すごく濃い3年間でした。
初めてのジュニアグランプリシリーズ、グランプリシリーズに出場したり、他のたくさんの試合に出場して、世界で少しずつ戦うことができているのかなと感じていますし、少しずつ夢に向かっているのかなと思います」
狭いリンクの対策も
世界選手権を間近に控えた3月上旬、取材に応じてくれた吉田は「憧れの舞台なので、集中して笑顔で終わりたい」とシーズン最終戦への意気込みを語った。
調子を上げている最中だといい、「まだ仕上がっていませんが、残りの時間で精いっぱいの練習をして現地に行きたい」と話す。
フリーの曲かけ練習を重点的に取り組んでいるという吉田。
今回の世界選手権はリンクの幅が狭く、GPシリーズスケートアメリカで同じようなサイズのリンクで演技をした際に「狭く感じて苦労した」ようで、狭いリンクを想定した練習を行っているという。
「壁が近くにあるので、ジャンプを少し焦ってしまったり、自分では気づいていなくてもスピードが落ちてしまうことがある。
コースも少し変えて、スピードも思い切って出せることが大事。
ジャンプで焦ってしまうと、助走も短くなってスピードがなくなり失敗してしまうこともあるので、コースの対策はしていきたい」
フリーでトリプルアクセルに挑戦
そんな中で自身の武器でもある、トリプルアクセルについても言及した。
「フリーは絶対に挑戦すると決めています。まだショートはわかりませんが、その時の調子などで相談して決めていきたい。
今シーズン前半戦はショートもフリーも（トリプルアクセルを）挑戦してきましたが、両方で挑戦するのは大変なこと。
ショートは絶対にミスが許されないというか、1つのミスがフリーよりも大きいものになってしまう。なので、ショートはしっかり考えて、その時の状態によって判断したい」
ショートではジャンプが3本しか跳ぶことができない。そのため、1つのミスが点数に大きく響いてしまう。
「フリーはアクセルの成功や失敗に関わらず、他のジャンプをしっかり決めることで結果がついてくるので、思い切って挑戦できます。
ただ、ショートはやっぱりミスをしないことが一番重要。もちろん挑戦したい気持ちもありますが、そこは慎重にいきたい。
今シーズンの最後の試合なので、練習でできるだけ、やれることはやって、不安を1つでもなくしていけるようにしたい。
調子がいい時も悪い時もあると思うので、精一杯練習をして、最後は思いっきりいけたら」
その世界選手権での目標を吉田はこう語る。
「初めての世界選手権なので、何も恐れずに、自分の演技に集中して、その時の精一杯の演技をすることに全力で、思い切って滑りたい」
初の大舞台、どんな選択をしても後悔のない演技でシーズンを締めくくってほしい。
世界フィギュアスケート選手権2024
3月22日（金）男女ショートよる７時～
3月24日（日）男女フリーよる7時～
https://www.fujitv.co.jp/sports/skate/world/index.html
