「原発事故があった地域だからこそできる、新たなまちづくりを」…福島県浜通りを盛り上げるため、起業した若者たちとそれを支援する男性。アツイ”地域愛”で地域の再生をけん引する。

ヨノモリデニム 小林奨さん

2023年3月11日に全面オープンした、福島県富岡町のリメイクデニム販売「YONOMORI DENIM」 店を経営する小林奨さんは、中学の卒業式の直後に震災を経験した。

中学の卒業式の直後に震災を経験 YONOMORI DENIM・小林奨さん
中学の卒業式の直後に震災を経験 YONOMORI DENIM・小林奨さん
この記事の画像(10枚)

「震災当時、自分中学3年生だったので、ずっとそこから十数年帰ってこれなくて、どこか復興に対して目を背けていた部分があって。町を賑わす、もっと盛り上げていくためには、地元から盛り上げないといけない」

どこか復興に対して目を背けていた部分が…
どこか復興に対して目を背けていた部分が…

浜通り13市町村を盛り上げる

28歳の小林さんの起業を支援したのは「HAMADOORI 13」の吉田学さん。「HAMADOORI 13」は、震災後と原発事故の被害を受けた浜通り13市町村を、自らの力で盛り上げようと2021に結成され、浜通りで起業する若者の支援や復興イベントなどを実施している。

浜通りで起業する若者の支援や復興イベントなどを実施
浜通りで起業する若者の支援や復興イベントなどを実施

HAMADOORI 13 吉田学さん

福島県大熊町出身の吉田さんは、建築士として”あの日”福島第一原発で作業していた。「私は高台にいたので、バックアップのディーゼル発電機が動いたりするのは見えた。ただ、立っていられないのでみんなで這いつくばって耐えていたと」と地震直後の様子を話す。

2011年3月11日 福島第一原発で作業していた吉田さん
2011年3月11日 福島第一原発で作業していた吉田さん

地震の被害を受けた建屋の健全性を確認するなど、廃炉作業のスタートを支えた吉田さん。廃炉の完成図が見えない現状でも「まちづくり」を前に進めることが重要だと感じている。

廃炉作業のスタートを支える
廃炉作業のスタートを支える

写真館コススタ 手塚純教さん

2023年夏に富岡町にオープンした「撮影スタジオ写真館コススタ」 銀行だった場所を活用したユニークなスタジオは、コスプレイヤーも呼び込もうというコンセプトがある。店主の手塚純教さん(32)も、HAMADOORI 13に支援してもらった一人。

撮影スタジオ写真館コススタ・手塚純教さん
撮影スタジオ写真館コススタ・手塚純教さん

吉田さんは「手塚君は、起業支援採択のプレゼンがあった時も、自分のやりたいことだけをしゃべり続けたんです。熱くて面白くて、こういう地域には思いの強い人が必要なんだと」と話す。

地域の再生には思いの強い人が必要
地域の再生には思いの強い人が必要

支援を受けた中には移住者も

吉田さんたちの支援を受けて起業した会社は18にのぼり、「故郷に戻ってくる」だけでなく「浜通りに魅力を感じて移住した若者」も多くいる。

支援を受けて起業した会社は18
支援を受けて起業した会社は18

吉田さんは「震災と原発事故があった地域だからこそできること、一度避難を経験した地域だからできることというのがあると思う。若者たちには、すごく熱い思いがあって、地域愛というか思いが強いので、そこに光ができて、そこに多くの方が集まってもらう。彼らの成長が、この浜通り地域の再生というか、新しいまちづくりに必要なんだろうなといつも考えている」と語った。

震災と原発事故を経験した地域だからできるまちづくりを
震災と原発事故を経験した地域だからできるまちづくりを

(福島テレビ)

福島テレビ
福島テレビ

福島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。