市の職員へのハラスメント発言などが問題視されている福岡・宮若市の塩川秀敏市長(75)。2月16日の臨時市議会で不信任決議案が提出されたが、出席した議員の4分の3に届かず否決された。
パワハラ疑惑…一部事実と認める
ハラスメント疑惑に揺れる宮若市の塩川秀敏市長を巡る問題。舞台となっているのは、福岡市と北九州市の中間に位置する人口約2万6000人の宮若市だ。
塩川市長といえば、2023年4月、「すみませんで済むか！」と公用車の中で職員を怒鳴りつけたり、適応障害の診断を受けた若手の職員に対して「病人の目はしていない」と発言したり。
はたまた、「女性は子どもを3人産んで初めて1人前」と女性を蔑視したりするなど、度重なる不適切発言が問題視されている。
宮若市議会の百条委員会は2024年2月15日、初めてとなる市長本人への証人尋問を行った。
百条委員会・委員長（証人尋問）：
虚偽の陳述をしたときは、3カ月以上、3年以下の禁固に課せられることになっております
嘘の発言をすれば刑事罰に問われる可能性もある「証人尋問」。職員を対象に行われたアンケートの結果をもとに、次々と質問が飛んだ。
宮若市議：
職員に対し、机をバンバンたたきながら大声で叱責したと複数の記述があります
塩川市長：
これはあると思います。（ドンドン！）こうしてモノを言うことがありますので、それはあると思います
実際にドンドンと机を叩いて見せた塩川市長だったが、委員長から注意を受けた。
委員長：
実演はいりませんよ
塩川市長：
すみません
委員長：
それは、やめてください
塩川市長：
はいはい、すみません
そして塩川市長は、一部のパワハラを事実と認めた。
宮若市議：
「パワハラ行為は認める」ということでよろしいんですかね？
塩川市長：
そうですね、はい
傍聴していた女性から「辞めて！」と声が…
塩川市長を巡っては、パワハラ以外にも「女は子どもを産んで初めて女になる」「女性は子どもを3人産んで初めて1人前」など、女性蔑視発言の疑惑が浮上している。
これについて塩川市長は、「『子どもを産んで初めて女になる』、この発言はないと思います」と否定。また、具体的な発言に関しては「記憶にない」と釈明し、証人尋問は1時間余りで終了した。
その後、ハプニングが起きた。議場から出てきた市長に対し、傍聴していた女性が突然、声を掛けたのだ。
女性：
私に1分だけ、時間ちょうだい
塩川市長：
ちょっと、もう…いい
女性：
後やないで、いまがいい。1分だけ、ちょうだい
塩川市長：
また後で
立ち去ろうとする塩川市長に、女性は最後に一言、「辞めて！」と投げかけた。
辞職を否定「謝っていくことが大事」
その後、塩川市長は改めて報道陣の取材に応じた。
塩川市長：
私は、信頼の回復は可能だと思っております
記者：
アンケートでかなりの数の職員から「辞職をしてくれ」という声があったが？
塩川市長：
一番大事なのは、私が直接、関係を持った職員にきちんと謝っていくことが大事と思っています
記者：
辞職する考えは、いまのところない？
塩川市長：
私の課題にしっかり取り組んでいきます、はい
不信任決議案は否決「深く反省している」
そして、翌2月16日に開かれた宮若市の臨時市議会で、塩川市長の不信任決議案が提出された。
不信任決議案を提出した宮若市議は、「塩川秀敏市長は、事態の重大さを真摯に受け止めるべきであり、今後の市政運営を任せるわけにはいかない」と述べた。
不信任決議案を提出したのは市議会議員8人。可決するには、出席した議員16人の4分の3、12人の賛成が必要だったが、その結果は賛成10、反対6。議員16人の4分の3に届かず、塩川市長への不信任決議案は否決された。
塩川市長：
深く反省し、重く受け止めているところ。反省して働きやすい職場を作ることが使命だと思っています
塩川市長は、今後も職務にあたっていく意向を示した。
一部の市議会議員は、「3月議会以降も不信任案を出していく」としている。
（テレビ西日本）
