2月26日から台湾・台北市で行われる世界ジュニアフィギュアスケート選手権。
11月の全日本ジュニア選手権で優勝した中村俊介(18)が男子代表として出場する。
その中村は、初のチャンピオンシップスで金メダルを目指す。
全日本ジュニア、悲願の初優勝
今季、JGPシリーズ2戦に出場した中村。
第2戦アルメニア大会で2位表彰台、西日本選手権(ジュニア)で優勝するなど、着実にステップアップしていく。
7度目の出場となった全日本ジュニア選手権では、前日に「1位狙っています」と宣言。
そしてショートで、トリプルアクセルを完璧に決めて首位スタートする。

フリーでは4回転トゥループを完璧に決め、魂がこもった演技で滑り切った中村は、キスクラで感極まってしまい涙がこぼれた。

7度目の出場で悲願の初優勝を飾り、世界ジュニアにも内定した。
全日本ジュニア王者として挑んだ年末の全日本選手権は、中村にとって4年連続4度目の出場となった。
悔しさを味わった全日本
ショートでは成功率がアップしている4回転トゥループを鮮やかに決めると、続くトリプルアクセルも決め、今シーズンの強さを象徴する演技を披露した。

「今日すごく緊張して、調子があまりよくなくて、朝も公式練習もあまりよくなかったのでちょっと心配だったですけど、ちゃんとまとめることができてよかったです。
(トリプル)アクセルと(4回転)トゥループは今まではちゃんと成功してきていたので、試合では自分を信じて、楽しんで、自分の世界に入ることができたらと思っていきました」
ショート9位でフリーを迎えたが、全日本独特の空気感が中村に襲いかかる。

これまで成功率の高かったトリプルアクセルで転倒してしまい、後半も崩れてしまう。
中村は、全体14位で全日本を終えた。

演技を振り返った中村は悔しさをにじませた。
「最後まで集中を切らさずに頑張ったんですけど、フリーで2本転倒してしまったので、そこが悔しい。
目標には及ばなかったのですごく悔しい。4回転はちゃんと決められて、そこがぎりぎり点数に残った。本当は140点を目指したかったですけど、全然足りなかった。
これから世界ジュニアもありますし、どんどんレベルアップしていかなきゃいけない中で、フリーが課題。そこを後半シーズン、特に強化してやっていきたいです」
悪いときが多かったけど成長もできた
年が明け2024年。シーズン後半の初戦となったのはインターハイ。
得意のショートは世界選手権代表で、同世代の三浦佳生に次ぐショート2位につき、好発進する。

全日本後に「強化していきたい」と課題にしていたフリーは、冒頭の4回転トゥループで転倒してしまうなど、ミスが続き立て直すことができなった。
ショート2位から順位を下げ、全体5位で最後のインターハイを終えた。
「立て直しができないことが本当に課題です。普段ミスしないジャンプをミスしちゃう、それが試合で出るのは練習不足なのか、メンタルなのか。どちらもまだ足りていないと思うので、どちらのトレーニングも必要」
世界ジュニア前、最後の試合となったのは国体。
少年男子の部に出場した中村はここでも三浦に次ぐ、ショート2位につく。
迎えたフリーは、4回転トゥループとトリプルアクセルを着氷。
インターハイの反省を生かし、ミスはあったものの大崩れはせず、全体2位で表彰台にのぼった。
演技を終えて中村は「演技内容はもう少しできたかなと思う反面、インターハイよりいい演技ができたのでそこはよかったかなと思います。
練習して少しでも自信をつけてと気持ちを切り替えて、『インターハイよりもいい演技をしよう』という気持ちに切り替えられました」と振り返る。

「まだ世界ジュニアが終わっていませんが、荒れ荒れのシーズン。いいときと悪いときがあって、今シーズンは悪いときの方が多かった。
でもメンタル面でたくさん成長できたり、周りの人に支えてもらったり、全日本ジュニアで優勝できたことはよかった。
ただ、他の試合がまだ安定感がないので、安定感がないことを知ることができた一年なので、来シーズンに生かしていきたい」

復活の兆しが見えた中村。今季最後の大舞台となる、世界ジュニアでの目標は「優勝」だ。
「もちろん優勝を目指しています。本当に楽しみですし、緊張もしています。
初出場なのでいい経験ができると思う。しっかり練習して準備していい結果で帰ってこられるように頑張りたい」
今シーズン最後の大会で、“いいとき”を迎えてシーズンを終えられるか。中村の成長に期待したい。