世界ジュニアフィギュアスケート選手権が、2月26日から台湾・台北市で開催される。
2023年の世界ジュニアで金メダルに輝いたのが、女子代表の島田麻央(15)だ。
2度目となる世界ジュニアで連覇に期待がかかる。
ジュニアで負けなし、無敵の女王
“令和のマオ”こと島田は、トリプルアクセルと4回転ジャンプを武器に、昨シーズンから今シーズンまでジュニアの大会で一度も負けたことがない。
今季も全日本ジュニア3連覇、ジュニアGPファイナル2連覇とその強さを見せてきた。

自身2度目の出場となった2023年12月の全日本選手権。
ジュニア女子のルールではショートでトリプルアクセルを入れることができない。
しかし、大会前に島田は「初めてショートでトリプルアクセルを入れられるようにしたい」と宣言する。

その言葉通り、ショート冒頭でトリプルアクセルに挑み、出場した女子選手の中で唯一成功させた。
しかし、後半の1.1倍になるコンビネーションジャンプでまさかのミスをしてしまい、ショート7位と出遅れてしまう。

フリーでは第3グループの最終滑走として登場した島田。
ショートに続き、冒頭のトリプルアクセルをフリーでも成功させるが、続く4回転トゥループは惜しくも成功とはならなかった。
それでもシニア顔負けの技術構成点を獲得し、フリー全体3位と追い上げ、2年連続の3位表彰台にのぼった。
3位でも悔しさ残った全日本
しかし、演技後の島田に話を聞くと、彼女に笑顔はなく「3位を取れたことはすごくうれしいですが、自分の思うような演技ができなかったので悔しい気持ちもあります。
大きな舞台でノーミスの、パーフェクトな演技をしている選手が多いので、その中で戦ったのはすごいと思いますし、自分はもっとしっかりできないと、と思いました」と語る。

「表彰台は去年より遠かったです。やっぱり(表彰台を)目指していたので、その緊張がすごくあって。最初のアクセルは良かったんですけど、次の3回転を失敗してしまってから少し緊張が増して。
ループは1つ前の試合でも失敗していて、それを少し気にしていました。トゥループとアクセルは挑戦ですが、ほかのジャンプをミスしないことでここまでなんとか追いついてきていたので、それを見せられなかったところが悔しいです」

また同じ所属先で、一緒に表彰台にのぼった2位の千葉百音から影響を受けているようで、来年に生かしていきたいという。

「ショートとフリーをこの緊張感のある全日本で滑っていたのでやっぱりすごいなって思いました。
練習を見ていてすごくいい練習をしているなと思うので、そこを見習って自分も来年しっかり頑張りたいです」
ユース五輪で日本女子初の金メダル
年が明けて2024年。
韓国で行われたユース五輪に出場した島田。この大会は、14歳~18歳までを対象とした4年に一度の大舞台だ。
ジュニアルールのため、ショートでトリプルアクセルは跳べないが、島田は唯一の70点台で首位に立つ。
世界が注目する大技2本を組み込んだフリーでは、トリプルアクセルは回転不足の評価となり、4回転トゥループは転倒してしまった。
その後ミスが重なるが逃げ切り、金メダルを獲得した。
このユース五輪女子シングルで金メダルを獲得した日本選手は島田ただ一人。島田が新たに歴史を刻んだ。

ユース五輪から2週間後、インタビューに応じてくれた島田は「オリンピックは(スケートを)始めた頃から目標にしていたので、ユース五輪ですが憧れていたので本当によかったなと思います」と振り返る。

「ショートもフリーもユース五輪で滑ることができるのは1回しかない。
せっかくこの舞台にこられたので楽しもうと思って。ショートもフリーも楽しめたかな」
濱田コーチ明かす2年目の課題
ここまで負け知らずで、圧倒的な強さを見せる島田。
師事する濱田美栄コーチは島田についてこう話す。

「ジュニア1年目がすごく気楽に思い切っていけていた。今度は2年目なので1年目と比べてすごく硬い印象でした。
“ディフェンディングチャンピオン”というものの難しさを今彼女は感じていると思います。
ただその中でも辛抱強く練習して、精神的にもしっかりしているので、よくここまで耐えているなという印象です」

濱田コーチは勝ち続けているからこそ、2年目の課題について「プレッシャーをどうプラスに変えるかがポイント」だと話す。
「2年目になって勝って当たり前になってくると、どんどんプレッシャーがのしかかってくる。
それをどうプラスに変えるかが一番のポイント。
今はいろいろな先輩方の話を聞いたり、いろいろな経験をしたりして成長していると思います」
そんな島田の次戦は世界ジュニア。
昨季、この大会でトリプルアクセルと4回転トゥループを同時着氷し、優勝した。
濱田コーチは「まだまだジュニアは通過点です。失うものは何もないので、トリプルアクセルもやって、4回転もやって、守らずに攻めていってほしい」と島田の挑戦に背中を押す。
2年連続の大舞台へ期待もかかる世界ジュニア。
島田は連覇を見据えながらも、自身の課題をしっかりとクリアしていきたいと目標を掲げる。
「もちろん2連覇はしたいです。ですが、それを気にしすぎずに4回転を降りることや、ユース五輪でステップや回転不足を取られたりしたところをレベルを取りこぼさずに、ジャンプはしっかり回って、きれいなジャンプを跳べるようにしたい」
世界が注目する島田の演技、“強さ”を発揮する令和のマオに注目だ。