2月26日から台湾・台北市で行われる世界ジュニアフィギュアスケート選手権。
2023年末の全日本選手権で4位となった上薗恋奈(13)。2月中旬に話を聞いた際、その全日本について「練習してきたことが出せて、自分の魅力も発揮できたので感謝でいっぱい」と振り返った。
次戦の世界ジュニアは上薗にとって、初のチャンピオンシップスだ。抜群の安定感を誇る彼女の演技に期待がかかる。
ジュニア1年目が全日本で躍動
ジュニア1年目の上薗恋奈。
彼女の演技は、中学1年生とは思えない大人びた表現力で会場を魅了する。
この記事の画像(13枚)今季JGPシリーズ2戦に出場し、ポーランド大会で優勝。JGPファイナルの切符をつかみ、3位表彰台に輝いた。
11月の全日本ジュニアでは堂々の3位となり、初の全日本選手権への出場も決めた。
そして、世界屈指のハイレベルな戦いを繰り広げている全日本で上薗が躍動する。
初出場とは思えない演技をノーミスで終えた上薗は、ショート6位スタートを切る。
「気持ちいいジャンプも跳べましたし、あとは何より1番楽しんで滑ることができたことが良かったかな。
先生にも『13歳の全日本はこれで最後だよ』と言われたので、“13歳の全日本”をまずは楽しんで、感謝して滑ることを考えました」
フィギュア界に新たなホープが誕生
フリーで上薗は、今大会最年少で最終グループに名を連ねた。
緊張感があった中でも物怖じせず、フリーでも全てのジャンプをそろえるとスピンで全てレベル4を獲得。
自己ベストを上回る134.47点、合計200.69点をマークする。
初出場で総合4位となった上薗。
フィギュア界に新たなホープが誕生した瞬間だった。
「自己ベストが出せたのはすごく嬉しくて、点数にもビックリしているんですけど、まずは自分ができることを今できたと思っているので、一番良かったかなとは思っています。
この4分を無事終えられたこと、あと観客のみなさまに見せることができたのはすごく嬉しかったので笑顔になりました」
ジュニア1年目での最終グループ入りを上薗は「やっぱりいつもの試合とは緊張感も違いますし、会場の雰囲気も違うと思ったので緊張はいつもよりしたんですけど、自分の演技ができたのは良かった」と初めての全日本を振り返った。
戦いを終えた上薗は、全日本新人賞を獲得。
さらに世界ジュニアへの切符も手にした。
2022年の全日本は、メダリスト・オン・アイスをノービスチャンピオンとして出演した上薗。
2023年は前年とは異なり、大会でも実績を残し、メダリスト・オン・アイスで観客を魅了した。
今後のために大技習得も
年が明けて2024。新年最初の試合は全国中学校スケート大会だった。
しかし大会直前に股関節を痛め、欠場となった。
痛みが心配ではあったが、トレーナーの手厚いサポートを受け、世界ジュニアに間に合い完全復活したという。
先日、取材に訪れた際、上薗はショートとフリーで曲かけ練習を行い、ケガを感じさせない滑りを見せてくれた。
その練習もミスがほとんどなく、試合さながらだった。
後半にはトリプルアクセルの練習にも取り組んでいた上薗。
何度も転倒する中、両足着氷も見られるなど、大技の習得に励んでいた。
まだ試合に入れるまでには至ってないようだが、今後のシーズンに向けての練習をしているという。
トリプルアクセルの練習を、小学6年生の頃から行っていたと話す。
「6年生くらいからやっていました。やっぱり、他のジャンプが安定しないと(トリプルアクセルの)練習はできないという感じだったので。
最近はちょっとずつ練習できるようになってきているので、他のジャンプもちゃんと安定させて、アクセルの練習ができたらいいのかなと思っています。
アクセルを入れても表現や、スケーティングが崩れてしまうと意味がない。フィギュアスケートという魅力を伝えられるような演技がしたいと思っています」
自分の魅力を最大限発揮したい
迎える初のチャンピオンシップス大会は台湾で行われる。
初めて訪れるという上薗は「小籠包、めっちゃたのしみです」と笑顔を見せる。
ケガもあった中、世界フィギュアまでの間は「指先まできれいにすること、表現の切り替えをもっとできるようにしたいと思っているので、そういったところを磨いています。自分の魅力を最大限発揮して観客のみなさまを楽しませることができるように頑張りたい」
世界ジュニアでの日本女子最年少優勝は、2023年に優勝した島田麻央の14歳。もし上薗が優勝すれば、記録をさらに更新することになる。
期待の13歳が立つ初の大舞台。パーフェクトな演技で世界を驚かす上薗の姿を期待したい。