新駅開業に合わせて、装い新たに生まれ変わろうとしている福岡県の西鉄沿線エリア。マンション建設ラッシュの背景に何があるのか?取材した。

14年ぶり新駅に地元から期待の声

2024年3月16日に開業が迫る西鉄天神大牟田線の新駅「桜並木駅」(福岡市博多区)。

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「雑餉隈駅」(福岡市博多区)と「春日原駅」(福岡・春日市)の間に位置し、この路線の新駅の開業は「紫駅」(福岡・筑紫野市)以来14年ぶりとなる。

「とっても利便性がよくなる」(80代女性)や「これからはいろいろ楽しいかなって」(60代女性)と、新駅誕生に地元からは期待の声が多い。中には次のような声も聞かれた。

20代女性:
2~3カ月前に引っ越して来ました。理由はペット物件可で、福岡博多にもアクセスがよくて、新駅もできるからです。駅前に内科とか歯医者ももうすぐできるし、何でもあるので便利

モデルルームには100組以上が見学

再開発が進む駅周辺を中心に、西鉄天神大牟田線沿線地域ではマンションの建設が相次いでいる。

最新の「スマートマンション」の建設が進む沿線。雑餉隈駅まで徒歩2分、3月に開業する桜並木駅まで5分の好立地で、モデルルームのオープンからわずか2週間余りで、すでに100組以上が見学に訪れているという。

第一交通産業マンション事業部福岡支店 小倉隼人課長代理:
2LDKの部屋からだと2800万円台から。博多、天神に近いと、もう2000万円台とかはありません。新駅ができるということで新たに開発も進んでいきますし、人の流入も増えますので、そのあたりを期待して計画しました。狙い目のエリアだと思います

開業が迫る西鉄の新駅、桜並木駅周辺の住宅地では、2023年の基準地価が県内トップの上昇率となった。
駅周辺で相次ぐマンションの建設。桜並木駅から歩いてすぐの場所では、すでに完売している分譲マンションの隣にもマンションの建設予定が決まっていた。

こうした動きを後押ししているのは、新駅開業効果だけでなく、福岡市中心部特有の事情もあるという。

オープンハウス・ディベロップメント福岡支社 飯野高識係長:
例えば西鉄天神大牟田線の「天神」、「薬院」、「平尾」くらいまでだと、3LDKとかで安くても7000万くらい。都心に住むという選択肢ももちろんいいと思うんですけど、住宅費用が全てではないですから、3000万円台でちょっと福岡市の南に下っても、生活に余裕ができてというので非常に人気

マンション価格高騰受け注目される南部エリア

福岡市中心部のマンション価格高騰で、都心から離れた場所での家探しをする世帯が増えている。そこで、今まであまり開発が進んでいなかったエリアでのマンション開発が激化しているというのだ。

オープンハウス・ディベロップメント福岡支社 飯野高識係長:
「桜並木」だったり、「春日原」南部エリアに土地を数件、取得していますので、マンションの激戦区に今後なってくるかなと思います

「天神ビッグバン」や「博多コネクティッド」など都市部の大規模再開発などを背景に、福岡市内には1億円を超える物件ももはや珍しくなく、マンション価格の平均坪単価は244.9万円(2022年)となり、10年前の1.7倍にまで上昇している。
さらに、2040年頃には人口が170万人を超すという推計も出ていて、専門家も福岡市の不動産市況は新築、中古ともにしばらくは好調が続くとみている。

東京カンテイ 井出武上席主任研究員:
福岡市は、まだ「成長余地がある」というふうに期待されている。これが非常に大きい。福岡は相当、過熱感といろんなマネーの流入があって、極めて有望な都市であるという見方が全国でも際立っているのではないか

さらに桜並木駅周辺は、駅の開業後こそが本番で、住人が天神や博多への「行きやすさ」や生活の利便性などを実感できるようになると、マンションの価値はさらに上がっていく可能性もあるとしている。

東京カンテイ 井出武上席主任研究員:
戸建てより2~3割高い水準で新築マンションは供給されていますので、新駅周辺は大体6000万円前後っていうのがひとつの水準になって、階層の上の方の階は7000万円、8000万円、まだ上げられるんじゃないかなとか、期待感は出てくるんじゃないか

都市の成長が注目される福岡都市圏。新駅の開業で、今まで目立たなかった「南側」のエリアにも熱い視線が注がれている。

(テレビ西日本)

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