今から約1カ月前、自民党・安倍派の政治資金パーティーをめぐり、いわゆるキックバックがあったこと、そして政治資金収支報告書への不記載が派閥の指示だったことなどを認めた宮澤博行 議員が今度は“中抜き”を認めた。

突如として安倍派の“闇”を暴露

「しゃべるな!しゃべるな!これですよ」

2023年12月13日。自民党の最大派閥・清和政策研究会(安倍派)に所属する前防衛副大臣の宮澤博行 議員は集まった報道陣を前に声を張り上げた。

キックバックや不記載を認めた宮澤議員(2023年12月)
キックバックや不記載を認めた宮澤議員(2023年12月)
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そして、派閥の政治資金パーティーをめぐりキックバックを受領していたこと、派閥の指示により政治資金収支報告書に収入として記載していなかったこと、さらに一連の裏金疑惑について派閥内でかん口令が敷かれていたことを認めた。

収支報告書の正確な不記載額は…

あれから1カ月。宮澤議員は謝罪の日々に追われている。

こうした中、1月14日には自民党掛川市支部の求めに応じて説明の場が設けられた。

出席者に頭を下げる宮澤議員(1月14日)
出席者に頭を下げる宮澤議員(1月14日)

会合は冒頭のみの公開となったが、宮澤議員はまず収支報告書に記載していない収入額は当初明らかにしていた140万円ではなく正確には132万円であったことを報告し、「今後、派閥から私の政治団体『宮柱会』に寄付という形で修正する」と説明。

その上で「有権者、支援者、自民党員、パーティー券を購入してくれた皆さんに改めてお詫び申し上げる」と頭を下げた。

キックバックのほかに中抜きも…

会合の終了後、取材に応じた宮澤議員は“新たな事実”を明らかにする。

宮澤議員によれば、収入として不記載の132万円のうち18万円については、パーティー券を購入した会社や団体が直接、派閥の口座に代金として入金した後、ノルマ超過分としてキックバックされた分だという。

一方で残る114万円については、パーティー券の販売ノルマを達成したことから派閥に対して入金せず手元に金をプールする、いわゆる“中抜き”していた分とのことだ。

この点について、宮澤議員は「私が能動的に判断したという記憶はなく、『なぜこうなったのだろう?』と自問自答したが、慣習というか、流れの中でノルマ分は(派閥に)納めなければいけないという中で、ノルマオーバーした時にノルマ分だけ納めればいいという慣習の中でやってしまったと認識している」と述べた。

ただ、中抜きに関して派閥からの指示はなかったといい、「自分の記憶を整理したが派閥から言われた記憶は実はない。かといって、私の判断かというと正直、そこは『やれ』と決断した記憶はなく、慣習の中で『こういうものか』『これでいいか』という流れがあったとして、いま記憶がない」と曖昧な釈明に終始。

会合後に取材に応じる宮澤議員(1月14日)
会合後に取材に応じる宮澤議員(1月14日)

また、なぜこのような行為に至ったかは「当選した直後だったと思うが、“そういう方法”があると聞き、私も躊躇した記憶はあるがこのやり方を採用した。やってみたら、清和研に直接お金が行くよりも自分の口座に来ると認識が速く進むので、お礼や人間関係においてメリットがあった」と本音も…。

しかし、「『中抜き』『裏金』という言葉は私としては使っていないので、それに当たるかどうかは私から申し上げることではない。私は『不記載の資金があった』という表現で説明させてもらいたい」と持論を展開し、中抜き分については「端的に申し上げると政治活動に使っていた。交際費的なものと言える」と強調した。

正直者の告白?有権者へのアピール?

この日の会合で、キックバックや中抜きについても出席者につまびらかにするとともに、「次(の衆院選)も立候補するつもりでいるので、ぜひ支援・協力をお願いしたいと話した」という宮澤議員。

一連の発言は、安倍派に所属する議員の多くが口をつぐむ中で“正直者の告白”と受け取られるのか。

それとも、選挙を意識した“有権者へのアピール”と受け取られるのか。

その審判は次期衆院選で下される。

(テレビ静岡)

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