1月1日、最大震度7を観測した大きな地震が能登半島で発生し、津波も街を襲った。建物が倒壊するなどして、着の身着のままで避難し、現在も避難所などに留まっている人もいることだろう。

もしかしたら急いで逃げた際などに、メガネが壊れてしまった人もいるかもしれない。また避難生活の中で、これから壊れてしまうこともあるかもしれない。

そんな中で目が悪い人の生命線となりうる“メガネ”のライフハックがX(旧Twitter)に投稿され、話題となっている。

それが、1級眼鏡作製技能士で「サカタメガネ」4代目店主の坂田頼彦さん(@sakata_yoshi)が投稿した「メガネが壊れた時の応急処置」だ。

「ようじ」と「セロハンテープ」で応急処置

坂田店主は、メガネが壊れてしまった際の処置を、4箇所の部位別に画像と共に紹介。準備する物は「ようじ」と「セロハンテープ」で、この2つで仮止めをするのが良いのだそう。

メガネが壊れた時の応急処置「レンズが外れた」「蝶番のネジが取れた」(提供:坂田頼彦店主)
メガネが壊れた時の応急処置「レンズが外れた」「蝶番のネジが取れた」(提供:坂田頼彦店主)
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まずレンズが外れた際は、フレームにレンズを合わせて外れないようにセロハンテープで固定。

次はメガネのフレームをつなぐ「蝶番」のネジが取れた場合。ネジが入っていた部分にようじを差し込んで短く折る。こうすることで、ようじをネジ代わりにして固定するというわけだ。

メガネが壊れた時の応急処置「ブリッジが折れた」「テンプルが折れた」(提供:坂田頼彦店主)
メガネが壊れた時の応急処置「ブリッジが折れた」「テンプルが折れた」(提供:坂田頼彦店主)

また左右のレンズをつなぐ「ブリッジ」が折れてしまったら、ようじを添え木のように使って補強し、セロハンテープでぐるぐる巻きにする。

こめかみを挟む部分である「テンプル」が折れてしまった際も、ようじで補強してセロハンテープで固定して処置してほしい。なお、基本的に接着剤での処置はNGだという。

メガネが壊れた時の応急処置 まとめ(提供:坂田頼彦店主)
メガネが壊れた時の応急処置 まとめ(提供:坂田頼彦店主)

「本来はメガネ屋に行くのが正解ですが、なかなかいけない場合はこの応急処置を参考にしてください」とのことだ。災害時に限らず、日常でもしメガネが壊れてしまった場合も参考になりそうだ。

投稿でも「私のように眼鏡手放せない人にとってはとてもありがたい情報なのです。感謝m(_ _)m」「メガネ壊れて困ること多々あるので本当にありがたいです」という感謝のコメントが多く寄せられており、いいねが2万4000以上つくほどの話題となっている(1月10日時点)。

レンズに接着剤がついたらほぼ復旧不可能

「テンプルが折れてしまった」「レンズが取れてしまった」となると、すぐにくっつく接着剤を使いたくなるが、それは絶対NGとのことだ。

なぜなのだろうか?他にも応急処置でしてはいけないことはあるのだろうか? 坂田店主に話を聞いてみた。


ーーなぜ、ようじやセロハンテープがいいの?

ようじやセロハンテープのやり方を紹介したのは、元に戻しやすいからなので、緊急時は別のものを代用しても構いません。

ようじでなくても問題ありませんが、金属など硬すぎるものだとネジ溝を潰してしまう可能性があるので、できれば避けた方が良いと思います。テープもセロハンテープでなくても構いませんが、あまり強力すぎると剥がしにくく、剥がす際にコーティングまで取れてしまう可能性もあります。

接着剤が付着したメガネ 接着剤が白くなると修理できない(提供:坂田頼彦店主)
接着剤が付着したメガネ 接着剤が白くなると修理できない(提供:坂田頼彦店主)

ーー接着剤がダメな理由は?

接着剤はそもそもメガネのような細くて負荷がかかる部分に付きにくいというのもありますが、一番はフレームやレンズにつくと表面が変化してしまい、元に戻しにくくなるからです。特にレンズに接着剤がついてしまった場合ほぼ復旧不可能です。

接着剤が付いてしまったメガネを修理する際、一番に行うことは「接着剤を剥がすこと」です。上手く剥がせたとしても、溶かし合わせて綺麗に直す「溶着」がしにくくなり、破断面も合わなくなるので修理強度が落ちます。修理出来たとしても接着剤が付いてしまった部分はキレイに直らない場合が多く、目立ちます。もし修理を前提で考えるのであれば接着剤は使わないで頂けたらと思います。


ーー接着剤の他に、応急処置でしてはいけないことは?

・自分でフレームを曲げようとする→折れる場合があります。
・傷を消すために磨く→表面のコーティングやメッキが剥がれ、元に戻せなくなります。

「少しでもお役に立てれば…」

ーー応急処置の方法を投稿した理由は?

今回の震災で避難生活を送られている方も多いと思います。非常時では目が悪い人にとってメガネは生命線ともなりうるものですので、もし壊れてしまっても身近なもので応急処置ができますので、そういった方に対して少しでもお役に立てればと思い投稿しました。


ーー投稿には多くの反響があるが、どう感じている?

今回は被災された方向けに投稿させて頂きましたが、そうでない方でもメガネが壊れたからといってすぐにメガネ屋に行けない方もいらっしゃると思います。そういった方々から多くの反響を頂いたので、お役に立てていたら嬉しいです。

メガネの多くの故障は修理可能

ーー非常時のメガネの手入れ方法を教えて。

やはりできる限り乾拭きは避けて、水が無かったらウェットティッシュのようなもので優しく拭くのが理想です。ですが、非常時はある程度仕方ないので、1日でも早くメガネのメンテナンスが出来るくらい状況が落ち着くことを祈ります。

非常時の手入れは、乾拭きは避けウェットティッシュのようなもので軽く拭くのが良い(提供:坂田頼彦店主)
非常時の手入れは、乾拭きは避けウェットティッシュのようなもので軽く拭くのが良い(提供:坂田頼彦店主)

ーー避難所などでメガネを使う際に注意すべき事はある?

踏まれて壊れてしまうのが怖いので、外すときはできる限りケースに入れておくのが理想かなと思います。


ーーちなみにメガネの「修理できる」「できない」は、どのように判断するの?

実はメガネの多くの故障は修理可能ですので、できればご自分で直そうと思わずにメガネ屋へお持ちいただけたらと思います。

あくまでも今回の方法は“応急処置”の方法だ。そのため、その後の修理に影響のない「ようじ」と「セロハンテープ」を使っての紹介となる。坂田店主は「1日でも早くメガネ屋に行けるくらい落ち着くことを祈っています」とのことだった。

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プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。