全日本フィギュアスケート選手権が開幕した。

12月21日には男子ショートプログラムが行われる。

そこに出場するのが、今シーズン完全復活の兆しを見せる鍵山優真(20)だ。

昨シーズンはケガに苦しみ、全日本選手権のみ出場し、8位だった。

その全日本で鍵山は「日本一までの道はすごく厳しいが、1位は1つしないので、納得できるような優勝をしたい」と強い気持ちを見せた。

必殺技は4回転サルコウ

今シーズン、鍵山は2季ぶりのGPシリーズに出場した。

GPフランス大会で3位、NHK杯では世界王者の宇野昌磨をおさえて優勝する。

続くGPファイナルではショートプログラムで100点超え、フリーでも自己ベストとなる184.93点を出し、合計288.65点の3位で終えた。

GPファイナルを振り返る鍵山
GPファイナルを振り返る鍵山
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GPファイナルを終えたあと、鍵山は「フリーの最初のサルコウだけが唯一のミスだったので、すごく悔しかったんですけど、それ以外はしっかりと見ていくと意外とショートもフリーも落ち着いてできていたなと思うので、そこはファイナルの収穫だったと思います」と振り返る。

「GP初戦からハイレベルな戦いがあったので、トップにのぼり詰めるために必要なことや自分の足りないものをすごく実感した3試合になった。

もし、世界選手権に出ることができたら、またハイレベルな戦いが繰り広げられると思うので、しっかりと戦っていけるように、一戦一戦を大事にしていきたい」

鍵山の必殺技4回転サルコウ(2021年全日本)
鍵山の必殺技4回転サルコウ(2021年全日本)

GPファイナルで悔しい思いをしてしまった4回転サルコウだが、このジャンプは世界も見ほれる鍵山の必殺技だ。

「世界で最も美しい」と称されるジャンプの完成度は、今シーズンも他の追随を許していない。

2022年の北京五輪でも4回転サルコウを決め、その後も圧巻の演技を披露。日本男子史上最年少のメダリストとなった。

そして、全日本選手権のメインビジュアルを手掛けた世界的アーティストの田村大さんのイラストには、鍵山のさらなる魅力が詰め込まれていた。

表現ってこんなに深いし楽しいんだ

田村さんは「線の荒々しさや、しわの数で躍動感を表現しました。その中に力強さや美しさを感じ取ってもらいたい。これからエネルギーが放出されるようなそんな1枚になった」と語る。

田村さんのイラストに「すご!」と絶賛
田村さんのイラストに「すご!」と絶賛

鍵山本人も「かっちょいい。自分、すご!忠実に再現されているのがすごい」と絶賛した。

このイラストにも描かれているように、今シーズンの鍵山は「躍動感」「美しさ」といった表現力の強化をテーマにしている。

そして、さらなる高みを目指すため、カロリーナ・コストナーをチームに迎えた。

カロリーナ・コストナーさんと食事する鍵山
カロリーナ・コストナーさんと食事する鍵山

現役時代、表現力豊かな演技で世界中を魅了し、女王にのぼり詰めたイタリアのレジェンド。彼女のもたらす「表現力」という新たなエッセンスは、鍵山のスケートを次なるステージへと導いた。

鍵山自身も「全然、別人のような自分になっている。表現ってこんなに深いし、楽しいんだと今シーズンすごく感じている」と語るように、確かな手応えはNHK杯で結果となって現れた。

進化を遂げる鍵山が次に見据えるのは、初めての全日本制覇だ。

去年はケガで苦しみ、万全ではない中で出場し、8位で終えた。

8位で終えた2022年の全日本で悔しそうにする鍵山
8位で終えた2022年の全日本で悔しそうにする鍵山

その全日本に向けて鍵山は「今年は万全な状態で出られるのがうれしいなという気持ちもありますが、世界選手権をみんな真剣に狙っていて、僕もその一人なので、まずは目標としていい演技をすることが一番ですけど、世界選手権の切符をしっかりつかみたい」と意気込む。

「僕にとっては本当に一番特別なんです。やっぱり日本一を争う舞台なので、世界選手権の出場や年によってはオリンピックの出場権も決まったりする場所なので、みんなが一番のピークを持ってくる試合。本当にみんな特別だと思っていると思いますし、僕も特別だと思っています」

日本一ってカッコイイ

鍵山が「特別」だと捉える全日本。

父でもある正和コーチは、1990年から全日本で3連覇を達成している。

全日本で3連覇を成し遂げている正和コーチ
全日本で3連覇を成し遂げている正和コーチ

「(僕と)肩を並べるというより、彼は僕をはるかに超えていますから。タイトルという意味では、ファイナル、全日本、世界選手権、1つでも多く獲ってほしいのが正直なところ。

親心として言うことで、それが押しつけになってはいけないところもあるので、今後彼に聞いてみますね。彼が『なりたい』というのであれば、それに向けていこうかという話をしていきたい」(正和コーチ)

偉業を成し遂げている正和コーチからしても、全日本は「特別」だという。

氷上練習をする鍵山
氷上練習をする鍵山

「ファイナル、世界選手権も特別ですが、全日本はさらに特別。僕の中では。本当にスペシャルですよね、日本のトップは」

そしてコーチとして鍵山には「いま出せる実力を、持てる力を全部発揮してもらいたいですけど、気持ちで滑ってほしいですね。(ジャンプの)成功率はかなり良い状態。

今以上のことは絶対にできないので、あとはそこに気持ちを乗せて見せてほしい。コーチというより、親心というか、そんな気持ちです」とエールを送った。

父、コストナーさんら周囲のサポートに感謝する鍵山
父、コストナーさんら周囲のサポートに感謝する鍵山

復帰までの期間は「本当にいろんな方がサポートしてくれて、一人じゃここまで回復できなかったと思うし、メンタルも去年はズタボロだったと思っているので、父やカロリーナさんや一緒に前を向いてくれる周りの方々のおかげで今の自分がいる」と感謝の言葉を述べる鍵山。

「日本一ってカッコイイと思うので、僕も羽生(結弦)さんや宇野(昌磨)選手がいる中での全日本を何回か迎えていたので、日本一までの道はすごく厳しいのを実感しています。

今年もみんながトップを狙い、みんなその実力があるので、本当に1位は1つしかないので、納得できるような優勝がしたい」

鍵山は全日本は「ハイレベルな戦いになる」と語る
鍵山は全日本は「ハイレベルな戦いになる」と語る

全日本の頂点に向けて、鍵山は強い気持ちを持つ。

「ハイレベルで厳しい戦いになると思いますが、今までやってきた経験や練習を信じてやるだけ。そこをしっかりと意識しながら試合をこなしたい」

全日本までの道の詳しい概要はフジスケでhttps://www.fujitv.co.jp/sports/skate/figure/index.html
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フィギュアスケート取材班
フィギュアスケート取材班