4つの市民襲撃事件に関与したとして、一審で死刑判決を受けた工藤会トップの控訴審が11月29日、結審した。判決は2024年3月に言い渡される。

一審で「工藤会」トップの野村被告に死刑判決

福岡高裁で開かれた、特定危険指定暴力団「五代目工藤会」トップの野村悟被告(77)とナンバー2の田上不美夫被告(67)の控訴審の第3回公判。

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冒頭、弁護側は、新たな証拠の採用を裁判所から認められなかったことについて異議を申したてた。

弁護側:証拠は「推認」を破るもので、却下は証拠の採否を逸脱した違法な決定だ。

裁判長:異義は棄却します。

このやりとりを聞いていた野村、田上両被告の表情に変化は見られなかった。

起訴状によると野村被告と田上被告は、1998年、大型港湾工事などへの影響力を持っていたとされる元漁協組合長が射殺された事件など、4つの市民襲撃事件を起こしたとされる。

2021年8月、一審の福岡地裁は、野村被告を4事件の「首謀者」と認定。野村被告に死刑、田上被告に無期懲役を言い渡した。

「総裁を巻き込んで申し訳ない」“全面無罪”を変更

2023年9月から始まった控訴審。弁護側は、それまでとは一転し、4つのうち2つの事件について、田上被告が当時、組織ナンバー3の菊地敬吾被告(51)に“独断で犯行を指示した”と主張を変えた。

さらに弁護側は、菊地被告が個人的な恨みから元警部銃撃を指示したと主張。また元漁協組合長が射殺された事件については、工藤会の元幹部たちが独断で実行したと訴えた。

一審の全面無罪主張を変更した理由について、田上被告は―。

田上被告:私も否認すれば(無罪主張が)通ると思ってました。総裁まで巻き込んで本当に申し訳ない気持ちです。

弁護人:総裁の指示では?

田上被告:ありません。

そして迎えた11月29日の裁判。弁護側、検察側双方が最後の主張を行った。

弁護側:野村さんは、4つの事件のいずれについても、共謀した事実はなく、無罪にして、無実です。田上さんも看護師事件、歯科医師事件についても、未必の殺意が認められないため、組織的殺人未遂罪は成立せず、傷害罪が成立するにとどまります。

弁護側は、「一審判決は重大な事実誤認があり破棄すべき」と主張した。

一方、検察側は「本件控訴趣意には理由がなく、各控訴はいずれも棄却されるべき」、「両被告の証言は信用できない」とした。控訴審はこれで結審し、2024年3月12日に判決が言い渡される。市民を襲撃した4つの事件。高裁がどのような判断を下すのか注目だ。

(テレビ西日本)

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