全国的に暖冬の予報が出ているが、そんな冬には、一時的な強い寒気が大雪を招くことが過去にもあった。暖冬でも時に大雪が降るメカニズムを解説するとともに、雪道対策でタイヤ交換までは必要ない地域にとっての朗報をお届けする。
エルニーニョ現象で全国的に暖冬
気象庁は21日、12月~2月の3カ月予報を発表。この冬は全国的に寒気の影響が弱く、暖冬となるとの見通し。
広島地方気象台・部田安富地域防災係長:
9月に発表しました寒候期予報と見通しは変わりません。暖冬傾向の予想です
その要因は…。
広島地方気象台・部田安富地域防災係長:
エルニーニョ現象が発生している。これが大きな要因。エルニーニョ現象は南米ペルー沖の海水温が平年よりも高くなることをいいます
海水温の高い領域が赤道の東側に集中すると、日本の南側にあるフィリピン付近では海水温が低下。偏西風といった大気の流れに影響を与え、日本では寒気の流れ込みが弱まるため、暖冬になる傾向がある。
さらに2023年は、ペルー沖の水温が平年より2度以上高くなり、大きな上昇変化をみせる「スーパーエルニーニョ」ともいわれている。
広島地方気象台・部田安富地域防災係長:
この規模の大きさは、少なからず日本に与える影響もあるとは思います
2023年は降水量も増える可能性が
前回、スーパーエルニーニョが発生したのは、2014年春からの約2年間。このとき、広島県内のスキー場は暖冬に伴う雪不足に悩まされていた。
ところが、このニュースから約2週間後には突然の大雪に。その影響は広い範囲に広がり、広島市でも3cmの積雪を記録。通勤時間帯を直撃した。
寒気が弱まり南からの湿った空気が流れ込みやすいことで、暖冬といえども大雪の恐れは潜んでいる。
青坂匠気象予報士:
2016年の暖冬の時に、雪が降った発端は南岸低気圧。2023年の暖冬予想では気温の高さに加えて降水量が増える可能性も。
青坂匠気象予報士:
雨を降らせる原因も南岸低気圧で、気象条件によっては、寒気を引き込むようにして雨ではなく雪となって降ることも考えられます。
広島地方気象台・部田安富地域防災係長:
3カ月を平均した気温をもって暖冬だったとか、寒冬だったかといいますので、日々の変化ももちろんですけど…ずっと雪が降らない、毎日カラカラの天気というわけではありません。1回降る雪に気を付けてほしい
タイヤ交換まで必要ない地域に新兵器
突然の大雪、その対策にかかるコストや手間は、人それぞれだ。
スーパーオートバックス 広島観音新町・田村雅仁店長代理:
スタッドレスタイヤは非常に高価というところもありまして、年に数回使うか、使わないかというところもありまして、躊躇されているお客さんがいらっしゃるのも事実です
そんな中、ここ数年でニーズが大きく高まっている新たなチェーンが登場している。
青坂匠気象予報士:
様々なタイプのチェーンが並ぶ中、入り口にも一番近い場所にあるのが布製のタイヤチェーンです。触ってみると…少し固くて普段なかなか見ないような素材、表面はきめ細かく編まれています
布製タイヤチェーンは、路面との摩擦を生む特殊な素材が使用されている。コンパクトカーのタイプで価格は1本あたり約1万円。主流となっているゴム製チェーンの6割から7割程度。
さらに気になるのは取り付け作業だが…。
スーパーオートバックス 広島観音新町・田村雅仁店長代理:
半分ほどタイヤに被せます
車を少し進ませてエンジンを切った後、残った部分をしっかり奥へと押し込みます。
スーパーオートバックス 広島観音新町・田村雅仁店長代理:
こちらで走っていけば、自動で巻き付いてバランスを取ってくれるようになっております
1本あたりの作業にかかった時間はわずか数分。タイヤに被せるというシンプルな工程も、支持されるメリットの1つ。また、布製タイヤチェーンはロードサービスの現場でも活用され、その効果を大いに発揮しているという。
スーパーオートバックス 広島観音新町・田村雅仁店長代理:
雪が降ってから慌てて買いに来られて、自分の車に適合するものがないというので困っている方も毎年いるので、お早めに備えていただくことをお勧めしております
雪が降る回数が少ない地域ほど、雪が降るとその影響は大きくなる。頭の片隅に雪への注意を置いておくと、いざという時に慌てなくてすむことになる。
(テレビ新広島)