4年前(2019年)に発生した京都アニメーション放火殺人事件で家族を失った遺族が、山形市で講演した。遺族は今なお続く悲しみや、社会で孤立する人への支援の必要性を訴えた。

当時感じていた「何もできない無念さ」

11月16日、山形市で開かれた「犯罪被害者支援県民のつどい」には、県や県警の関係者をはじめ市民など約350人が出席した。

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その場で、京都アニメーション放火殺人事件で命を奪われた渡邊美希子さんの母・達子さん(73)と兄・勇さん(44)が講演した。

美希子さんの母・達子さん:
対面したとき、夫は「骨格が美希子だ」と言った。骨格で見るしかない、焼けてしまっているから。この人(勇さん)は見るなり「むごい」と

美希子さんの兄・勇さん:
事件当時感じていたのは「何もできない無念さ」。こういう講演の場をいただけたことで、事後にはなってしまうが、できること・やれることを一つ与えていただいたと思い、話をさせていただいている

「自分は不幸」と思っていなければ

2019年、京都市の「京都アニメーション第1スタジオ」がガソリンで放火され、社員36人が死亡・32人が重軽傷を負った。

犠牲になった美希子さんは当時35歳で、数々のアニメ作品で背景画を統括する美術監督を務めていた。

達子さんと勇さんは、こうした事件を繰り返さないためには「社会の中で孤立している人を私たちみんなで気にかけていく仕組み作りが大切ではないか」と訴えた。

美希子さんの兄・勇さん:
「自分が不幸である」と思っていなければ、あんな事件は起こさないのではないかと考えます。私自身にできることや、1人ひとりが少しでもできることは、やはり「気にかけてあげること」。気付いてあげられるかが重要

殺人などの罪に問われている青葉真司被告の裁判は現在も続いていて、判決は2024年1月25日に言い渡される予定。

(さくらんぼテレビ)

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