この秋収穫された山形県産米は、見た目が最も良いとされる1等米の比率が大きく低下し、東北6県で最下位となった。この夏の猛暑が要因で、コメ農家からは「来年以降の天候が不安」との声が聞かれた。

米どころ山形…1等米比率下がる

コメの品質は、粒の形や透明感・虫くいの有無などによって格付けされ、最も良いものを「1等米」とする。

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農林水産省が10月31日に公表したコメの品質検査の結果によると、9月末までに収穫された山形県産米の1等米比率は平均で54.7%だった。

これは2022年の同じ時期に比べ41.7ポイント低く、記録を確認できる2011年以降、最も低かった2012年の89.3%を大きく下回った。また、全国平均は59.6%で、東北6県で山形が最も低い数字となった。

1等米比率が下がった要因は、記録的な猛暑による高温障害で、2等以下に格付けされたコメの多くが、粒が白く濁る「白未熟粒」により等級を下げた。

銘柄別の1等米比率は、はえぬきが43.2%、つや姫が63%と2022年より大きく比率を下げたのに対し、暑さに強い「高温耐性」がある雪若丸は91.1%と、比較的高い比率となった。

収入にも影響 農家の悲痛な声 

山形・天童市長岡の“おしの農場”では、120ヘクタールの田んぼでコメを育てているが、その半分以上を占める主力の「はえぬき」は白いものが入っていたり、半分白かったりという状態が見られ、ほとんどが2等米と格付けされた。

40年コメを育てている押野和幸さんは「こんなことは今までなかった」と話す。

おしの農場・押野和幸社長:
この地域は条件も良いのでほぼ2等米になることはない。びっくりしているし、一生懸命作ったつもりだが、天気には勝てないというのを実感している

暑さに強いとされる「雪若丸」はほとんど1等米だったが、「つや姫」も2割から3割が2等米と格付けされた。

JAてんどうから農家に前払いされる「概算金」は、2等米は1等米より60kgあたり約600円下がる。加えて、肥料や農業資材の高騰もあり、収入に大きく響くという。

押野社長は「大変です。何百万かは減るんじゃないか。でももともと天気相手の仕事なので仕方ない」と話した一方、「2024年は良いコメを作るために頑張ろう」と意気込みも語っていた。

また、1等米と2等米で食味に大きな違いはないとされ、「等級は落ちても、おいしいコメに仕上がっているはず。たくさん食べてほしい」と押野社長は話す。

「異常気象が当たり前になるのは怖い」

一方で、1番の不安材料として2024年以降の天候を挙げた。

おしの農場・押野和幸社長:
この猛暑や異常気象が、果たして今年だけの問題で終わるのかをみんな心配しているところ。気象の変化が激しくなってきて「当たり前になってくれば怖いな」と、みんなそう話している

1等米の比率が大きく下がったことを受け、山形県は猛暑の影響について地域や品種ごとの事例をまとめた上で、2024年以降の対策や技術指導に活かしていくとしている。

(さくらんぼテレビ)

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