2023年9月、宝塚歌劇団に所属する劇団員の女性が転落死した問題で元劇団員が取材に応じた。見えてきたのは劇団の中で連綿と受け継がれてきた、異常ともいえる上下関係だった。

元歌劇団が語る「上級生からのパワハラ」

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今回の問題を受け関西テレビに宝塚歌劇団の実態を語ったのは2006年に退団した東小雪さん。

元宝塚歌劇団団員 東小雪さん:私がこうして証言を続けているのは自分も加害者だったからなんです。予科(下級生)の時は私たちの期が、私が被害者だったんですけど、進級して本科生(上級生)になって新しい予科生が入ってくる時に引継ぎがあって、今度は私が加害者になって下級生を怒鳴っていた。

当時を振り返り、厳しい上下関係の生々しい実態を語った。
2023年9月、宝塚市のマンションで宝塚歌劇団の宙組に所属していた劇団員の女性(当時25)がマンションから転落し死亡した問題。 警察は遺体の状況などから自殺とみて捜査を進めている。

このことを受け11月10日、劇団員の遺族の代理人・川人博弁護士が会見を開き、女性が亡くなった理由について「約1カ月半、わずか1日3時間程度の睡眠しかとれない状況が続き、加えて、上級生からのパワハラもあり、健康を損ない亡くなった」と語った。

劇団内の異常な長時間労働や上級生からのパワハラが原因で自殺に至ったと訴えた。

上級生からの理不尽なパワハラ

上級生から下級生へ、一体どのようなことが行われてきたのだろうか。

元宝塚歌劇団団員 東小雪さん:ある種の文化として罵倒するというのがあったので私も(入学して)びっくりしました。例えば音楽学校の予科生でお風呂に入らせてもらえなかった、洗濯できなかった、眠れなかった、本科生から怒鳴られた、寒い中、立ちっぱなしにさせられたりとか挙げればきりはないんですけど、コンクリートに膝をついて真っ赤になるまで謝り続けなければならなかったとか。

お風呂の設備があっても入る時間が与えられない、洗濯の設備があっても上級生から使うことを禁じられるなどのおかしなルールに従わされる日々。

告発は「外部漏らし」…口汚く怒鳴られる

このような状況を外部に告発することはできなかったのだろうか?

元宝塚歌劇団団員 東小雪さん:外部漏らしという概念がありまして、親に言って本科生の耳に入るとおまえ何外部漏らししてるんだと本当に口汚く怒鳴られる、罵られてしまうんです。誰かが(外部に)言うと連帯責任になってしまうのでますます言えない。外部漏らしは絶対にダメだということを叩き込まれるんです。宝塚は特殊だし、暴力をだめだということを相談することは本来なんの問題もないはずなのに、ある種、夢を売っている劇団員の一員であるという所属感もあるので相談するという発想も持てないですし。

今、宝塚歌劇団に望むことは。

元宝塚歌劇団団員 東小雪さん:人の命が失われてしまった。本当に遅すぎることなんです。でも、これ以上繰り返すことはせめてしない、そういう責任を、今、生きている私も過去に加担した私も今、舞台に立っている人たちも関係者も舞台を見に行っている人もパワーハラスメントは許さないんだ、もうやめるんだという覚悟を私たちは持たないとだめだと本当に思います。

宝塚歌劇団側は、11日、外部の弁護士などによる調査報告書を受け取ったと発表し、調査結果について「今後の改革の方針とあわせて近日中にお知らせする」としている。

(関西テレビ「newsランナー」 2023年11月13日放送)

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