2023年9月に宝塚歌劇団に所属する劇団員の女性が急死したことについて、遺族の代理人が会見を開いた。背景には長時間労働や上級生からのパワーハラスメントがあったと訴えている。 10日午後3時から行われた会見で、語られたのは、宝塚歌劇での過酷な現実だった。

常軌を逸した長時間労働

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遺族の代理人 川人博弁護士:約1カ月半、わずか1日、3時間程度の睡眠しかとれない状況が続き、加えて、上級生からパワハラもあり、亡くなった。

会見を開いたのは、宝塚歌劇団の宙組に所属していた女性(当時25)の遺族の代理人。 劇団員は2023年9月、宝塚市のマンションで死亡しているのが見つかった。遺族は、劇団内の異常なまでの長時間労働と上級生からのパワハラが原因の自殺だったと訴えた。 その長時間労働については…

遺族の代理人 川人博弁護士:8月16日から稽古が始まるが、彼女の場合は俳優として出るが、あわせて下級生のとりまとめ役をしないといけないということでとても大変だった。ちなみに上級生が20人で、下級生が45人。休みは(約1か月半で)6日あったが、休みも様々な仕事で時間を費やした。1日、午前9時から夜の12時くらいまで、ずっと稽古・準備をしたということで帰宅しても仕事をしていて、同居している家族の証言では3時間程度の睡眠が(約1カ月半)続いた。本公演と新人講演を準備し実施せざるをえなかったというのは、そもそも人数的に無理な状況があった。劇団はこうした状況を知っていたが、改善措置をとらなかった。

上級生からの“強烈なパワハラ”

遺族の代理人 井上耕史弁護士:指導などという言葉は当てはまらない、“強烈なパワハラ”を上級生から受けていた。

遺族の代理人弁護士によると劇団員は、2年前の8月、稽古時間に上級生から「前髪を巻いてあげる」と言われ、ヘアアイロンを額に当てられやけどをしたそうだ。 遺族の代理人弁護士によると、2023年2月に一部週刊誌でこれが報じられ、この劇団員は劇団の聞き取りに事実を述べたにもかかわらず、劇団側はこの事件は「事実無根である」と声明を“一方的に”発表した。 彼女はこの対応に精神的なショックを受け、頻繁に体調を崩すこととなったという。それでも後輩たちなどのためにも休めないと稽古に出ると、上級生から暴言を受けたという。

遺族の代理人 川人博弁護士:上級生から『下級生の失敗は、すべてあんたのせいや』『マインドが足りない。マインドがないのか!』『嘘つき野郎!』などの暴言を受けた。

宝塚歌劇団では上級生と下級生の関係を「縦の絆」とうたい、指導を行う関係としているが…

遺族の代理人 川人博弁護士:本件の経過を見る限りにおいては、上級生と下級生の縦の関係が、一般の会社以上に、一般社会の様々な組織の中以上に、異常なまでの上下関係…縦の関係が徹底され、パワハラと言わざるを得ない、パワハラというべき発言を繰り返していた。

劇団側の主張と遺族の訴え

一方、劇団側は先月の会見でこのように主張していた。

宝塚歌劇団担当者:劇団としては、いじめという事案があるとは考えていない。劇団としての調査、ヒアリングによる判断なので、きちんとそこを第三者の立場で外部からきちんと調べてもらおうと。

10日の会見で代理人弁護士は“遺族の訴え”を読み上げた。

遺族の訴え:心身共に疲れ果てた様子の娘に何度も『そんな所へ行かなくていい。もう辞めたらいい』と止めましたが、娘は『そんなことをしたら上級生に何を言われるか、何をされるか分からない。そんなことをしたらもう怖くて劇団には一生行けない』と涙を流しながら必死に訴えてきました。頑張り続けてきた娘に代わって常軌を逸した長時間労働により、娘を極度の過労状態におきながら、これを見て見ぬふりをしてきた劇団がその責任を認め謝罪することそして、指導などという言葉では言い逃れできないパワハラを行った上級生がその責任を認め謝罪することを求めます。

宝塚歌劇団は、関西テレビの取材に対し「パワハラなどの事実があったかどうか調査を待っている状況です。結果を受けて、適切に対応します」とコメントしてる。

(関西テレビ「newsランナー」 2023年11月10日放送)

関西テレビ
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