米報道番組の重鎮キャスターがセクハラで解雇

CBSニュースといえば、マッカーシズムを打倒したエド・モローの流れをくむ米国の放送ジャーナリズムの権威と考えられているが、その朝のニュース担当のキャスターで数々の受賞歴もあるチャーリー・ローズ氏を解雇したと発表した。それもセクハラで。

ローズ氏は、かつて同氏の下で働いていた複数の女性に「不適切な性的行為」をしたことをワシントン・ポスト紙などに指摘され「その指摘は正しく、私はその責任を負う」と認めた。

ワシントンでも議員のセクハラ疑惑が増え続ける

同じ日、下院倫理委員会がコニヤーズ下院議員(民主党ミシガン州選出)のセクハラ問題について調査を始めたことが伝えられた。同議員は2人の女性からセクハラを訴えられているが、その1人とは官費で損害賠償をしたことも問題とされている。

これに先立って上院では、タレントとしても知られるフランケン議員(民主党ミネソタ州選出)が、ラジオのパーソナリティにセクハラを訴えられ、その胸を掴んだ写真やハフィントン・ポストの創刊者アリアナ・ハフィントンさんの尻を触っている写真などが公開され議員辞職を迫られている。

さらに、アラバマ州で上院補欠選挙に出馬したムーア元判事(共和党)も40年前に14歳の少女と関係を持ったと選挙直前に訴えられ、本人は否定しているものの共和党執行部からも出馬辞退を求められる事態になっている。

他にも93歳になるブッシュ(父)元大統領をめぐるセクハラ問題も再燃してワシントンではセクハラのニュースで持ちきりだ。特に米国上院は共和党51、民主党49議席で、フランケン氏が辞任したりムーア氏が出馬辞退となると立法手続きも影響を受けることになるのでその行方から目が離せない。

「#Me too」に戦々恐々とする有力者たち

このセクハラ騒動、今年10月にハリウッドの大プロデューサーのワインスタイン氏のセクハラやレイプが訴えられたことから広がり、俳優のケビン・スペイシーも少年へ関係を持ちかけたとして出演中の「ハウスオブ・カード」を降板させられたと伝えられたり「カラスの鳴かぬ日はあってもセクハラ・ニュースのない日はない」のような状況だ。

そのきっかけとなったのが、ワインスタイン氏に共演者が暴行されたことを知った女優のアリッサ・ミラノさんが「Me too(私も)」と声を上げようとTwitterで呼びかけたことだった。

この呼びかけにレディ・ガガさんらも賛同して#Me tooは拡散し、10日後には85カ国で170万回ミラノさんに賛同したり、自らの経験を訴えるツィートが発せられたという。(米CBSニュース)

#Me tooで次に誰が告発されるのか、米国の有力者たちは戦々恐々としている昨今のようだ。

木村太郎
木村太郎

理屈は後から考える。それは、やはり民主主義とは思惟の多様性だと思うからです。考え方はいっぱいあった方がいい。違う見方を提示する役割、それが僕がやってきたことで、まだまだ世の中には必要なことなんじゃないかとは思っています。
アメリカ合衆国カリフォルニア州バークレー出身。慶応義塾大学法学部卒業。
NHK記者を経験した後、フリージャーナリストに転身。フジテレビ系ニュース番組「ニュースJAPAN」や「FNNスーパーニュース」のコメンテーターを経て、現在は、フジテレビ系「Mr.サンデー」のコメンテーターを務める。