福島県会津若松市で女性が頭から血を流し倒れているのが見つかり、その後死亡した。当初は、クマに襲われたとみられていたが、一転してひき逃げ事件の疑いが強まっている。
引掻かれたともとれる傷
11月1日午前6時半過ぎ、会津若松市旭町の駐車場で、近くに住む石山貞さん(88)が頭から血を流して倒れているのを近くの人が見つけ、消防に通報した。石山さんは心肺停止の状態で病院に運ばれ、その後死亡した。
この記事の画像(10枚)石山さんの顔や頭には「爪でひっかかれた」ともとれる傷があったことなどから警察はクマに襲われた疑いがあるとみて、周辺の住民などに警戒を呼び掛けた。
周辺住民はクマに警戒
現場近くのマンションでは、管理人が「クマが出没十分ご注意ください」と記された紙を掲示した。マンション管理人は「安心して買い物行けないし、これから夕方は子どもも帰ってくる。通学路になっているので心配です」と話す。
近くの小学校では、教員が児童に付き添い集団下校。4年生から6年生は予定より1時間早めて下校し、クマに警戒した。保護者は「クマが出たかもしれないという事で、心配で迎えに来ました」と話した。
捜査を進めるとひき逃げの痕跡
女性が倒れていたのは、会津若松市の中心部に近い住宅街。車の通行量も多い「千石バイパス」から数百メートルの場所にも関わらず、周辺でクマの目撃情報は一切なかった。
その後の警察の調べで、現場にタイヤで血を擦ったような跡が確認されたという。そのため、警察はひき逃げ事件の疑いが強まったとして、捜査を進めている。
近隣住民は「クマ怖いなと思っていたら、今度ひき逃げだったって話だったから、それはそれで怖い」と話していた。
警察がクマに襲われたと見た理由
その一つが「傷」 警察によると、死亡した石山さんの顔から側頭部にかけて傷が3本ほどあって、クマに引っ掻かれたように見えたという。他にも、消防から「クマの被害」という情報があったこと。東山や飯盛山などとも遠くないことから、クマが出る可能性も否定できないこと。全国的にクマによる被害が増えていることも挙げている。
当初から事故の可能性も含め捜査
会津若松警察署は「当初から事故の可能性も含めて調べていた。初動捜査に問題は無かった」としている。鑑識活動や防犯カメラ、目撃情報の収集などあらゆる可能性を否定せずに捜査を尽くした結果、残ったのがひき逃げ事件の疑いだった。
ひき逃げ事件の可能性で捜査
現場に残されたタイヤの痕のほかに、車から剥がれ落ちた塗装のかけらなど車の特定につながる細かな証拠を集める。1日午後に、現場で鑑識が行われたが、もっと早く方向性が絞れていれば、より多くの証拠をスムーズに収集できたのではないだろうか。
2日には司法解剖を行い「死因」を特定し、今後目撃情報や防犯カメラの映像などから運転していた人物を割り出し容疑を裏付けていくとみられる。
(福島テレビ)