プロ野球、福岡ソフトバンクホークスの小久保裕紀新監督(52)が、就任会見で「王イズム」の継承、そして日本一奪還へ向け、「目標は、パ・リーグ優勝、日本一。それ以外ない、とにかくそこを目指す」と意気込みを語った。

昨シーズンから2軍監督 ファーム日本一に導く

ホークスの監督に昇格した小久保裕紀2軍監督は、1994年にソフトバンクの前身、ダイエーに入団するとホームラン王に輝いたほか、通算2,000本安打を放つなど長年、看板選手として活躍した。

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2012年に現役を引退し、2021年ヘッドコーチとして球団に復帰、昨シーズンからは2軍を率い、今シーズンはファーム日本一を果たした。

新監督が4年ぶりのV奪還に向けて繰り返し強調したのは「王イズムの継承」だ。

小久保裕紀・新監督:
まず監督に就任にあたり、球団から求められることは、当然、勝つこと。3年間優勝を逃しているという現実に向き合い、パ・リーグ優勝、日本一を目指して戦うのは当然のこと。弱いダイエー時代から強くなってきた歩み、それは自分自身の中でもとても貴重な経験として生きています。王監督時代に築かれた「イズム」というものを継承しながら今一度、チームに浸透させられるよう務めていきたいと思います

強調したのは“美しい”野球

この2年間、2軍監督として下から上を見る経験をした小久保新監督。1軍選手たちの戦いはどう映ったのか―。

小久保裕紀・新監督:
勝つチームは、勝つことも大切だと思うのですが、美しさ、美意識といってもいいと思うが、そこが一番今、欠けているんじゃないかなと。今回、就任にあたり、共に歩む首脳陣、選手たちといかに美しくあるかということをお互いの共通認識として持ち合わせながらチームを作っていきたいと思います

強調したのは“美しい”野球。そして「王イズム」を継承すると宣言した。王貞治会長も熱いエールを送る。

王貞治球団会長:
若い選手とともに来年から、ホークスの野球、優勝目指す、取り戻す、そういう野球をやってくれると思う。この2年間は彼にとってすごくいい財産になったと思います。だからこれからもとにかく思い切って、自分の思う野球をやってほしいと。ただただ、今の私は彼に期待するのみ。頑張ってください

福岡の街も応援ムード「さらにホークスを鍛えて」

小久保新監督の就任に、福岡の街では「うれしい。現役時代すごく活躍されていたので、1位に向けて頑張ってほしい」「緻密な方なので、練習の鬼だった。だからまたさらにホークスを鍛えていただいて、絶対『来年は優勝』という感じで頑張っていただきたい」と期待の声が上がった。

小久保新監督がよく足を運ぶ福岡市内の居酒屋「もも焼きト酒おがた」。店主の緒方和樹さんは、小久保監督について、「試合中のキリッとした感じではなく、優しい感じで『大将、いつもの感じで』と―」と話す。

小久保新監督のお気に入りが、備長炭で豪快に焼き上げる鶏の炭火焼。店主の緒方さんは新監督にこの燃え上がる炎のような活躍を期待している。

「もも焼きト酒おがた」店主・緒方和樹さん:
ホークスを盛り上げてほしいです。4年ぶりの優勝、期待しています

常勝軍団の再建へ。期待が高まる。

「まずはピッチャー整備が一番の課題」

記者会見での主な一問一答は次の通り。

ーー要請を受けた時は、どういう気持ちに?

小久保裕紀・新監督:
当然、2軍監督とは違う重責、求められるところが違う。これで勝つためにはどうしたらいいかということだけを考えてやる時期が来たなと思いました

ーー藤本前監督とは話をした?

小久保裕紀・新監督:
CS敗退した翌日にお電話をさせていただいて、正式に依頼があったということを藤本監督にお伝えして「過渡期にはなるけれど頑張れ」という言葉をいただいた

ーー1軍を指揮するにあたり、選手とどういう距離感を持った指揮官になりたい?

小久保裕紀・新監督:
ヘッドコーチの時、少し距離が離れすぎたというか取りすぎたのが反省点。2軍監督になってからは、歩み寄りはしていないが、結構いろんな話もしながらやった。一番大事なのは「コーチを飛ばさない」ということが大事なので、やはり監督と選手が近くなりすぎるとコーチの存在が死んでしまうので、それだけは絶対しません。だから監督はあくまでもコーチを通して選手に伝える。選手と個人的人間関係を築かないというのは大事なポイントだと思っているので、それはしっかり自分の中で守りながらやりたい

ーー守り勝つチーム、打ち勝つチーム、どちらを?

小久保裕紀・新監督:
おそらく、王会長は「打ち勝つ野球を」と思っていると思うが、まずはピッチャー整備を一番の課題にして取り組んでいきたい。その場その場に応じた作戦、2軍監督を2年間経験して、練習すればするほどゲームでの成功率が上がるということがはっきり分かったので、できないことは練習するしかないし、正直、サインが出ない選手は柳田と近藤のみですよね。それ以外の選手は、当然、勝つためには自己犠牲も強いられるというところも一番大事かなと思っている

「“王イズム”継承していきたい」

ーーさまざまな役職を経験されてどのような糧になっている?

小久保裕紀・新監督:
人生に起こることは「全て必然であり必要でありベストなタイミングでそのことが起こっている」というのがモットーだが、2軍監督になったときは、「将来、この経験が必ず人生にとって無駄じゃなかったという日が来る」という思いでスタートしたが、今この場に立ってみてそれはすごく感じるし、自分で、2軍でマネジメントをしたいと思って学んだことを落とし込んで実験できる。実験といったら失礼だが、落とし込んで答えがどうなるかということができる場でもあったので、それは非常に有意義な2年間だった

ーーあらためて、王さんの存在は?

小久保裕紀・新監督:
一番、魅力を感じながらやらせてもらったのは誠実さ。どんな時も真っすぐ向き合ってくれました。自分が868本打ったからという接し方ではなく、常にその時の僕自身の課題、別の選手の時の課題に向き合っていただいた。その姿は当然、自分が1軍監督になった時も選手とそういうふうに接するべきだと思うし、あとは信念の強さ。周りからいろんなことを言われて非常に苦しい時期もありました。でも全く当時の王監督はぶれなかった。自分自身の信念を貫かれたというところにも惹かれました。あとは気配りや礼儀正しさ。これはもう王監督といえばと言えるところの部分だと思うので、その辺はしっかり継承していきたいと思う

4年ぶりの日本一奪還へ。小久保新監督の手腕に注目だ。

(テレビ西日本)

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