福岡ソフトバンクホークス・小久保裕紀2軍監督に、TNCがインタビュー。7年ぶりとなる2軍戦のドーム開催には、1軍の試合に近い形で、本拠地の広さ、雰囲気を体感させたいという、小久保監督の狙いがあった。

小久保監督自身の経験から…

小久保監督率いるホークス2軍は、2023年5月16~18日「PayPayドーム」でウエスタンリーグ3連戦(対オリックス・バファローズ)を戦った。2軍がドームで試合をするのは実に7年ぶりのことだ。

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――ドームでのユニフォーム姿は、ヘッドコーチ時代(2021年シーズン)以来?

小久保裕紀2軍監督:
あっ、そうですね。ベンチが変わっていましたね

――ベンチ?変わっていた?

小久保裕紀2軍監督:
ベンチ、めっちゃ広がっていました。多分、今年からじゃないですか。結構、ゆったりと。それからベンチの後ろの席の後ろが通れるようになっていて、全然、変わりましたね、雰囲気は

確かに今シーズンからドームの両ベンチは、メジャー風にスペースが広がっている。

今回、7年ぶりとなる2軍戦のドーム開催。これには小久保2軍監督、コーチ陣のある狙いがあった。

小久保裕紀2軍監督:
「筑後(タマホームスタジアム=2軍専用球場)」に、ファームの施設が移ってから「親子ゲーム」(昼に2軍戦、夜に1軍戦)がなくなってしまったんで、ここで打席に立ったことのない、プレーしたことのない選手たちに機会を与えるためにも「こういう企画はどうですかね」みたいな話をコーチ陣からも提案あったんで、それを球団に話したら、今回、実現してくれて。本当にそこは感謝してますね

自分のチームの本拠地に不慣れでは、1軍に上がっても実力は出しにくい。以前は、1軍、2軍が同じ日にドームでゲームを行う「親子ゲーム」が年に数試合行われていた。今回の2軍ドーム戦の復活提案に、球団も昨シーズン中に調整に着手したのだ。

小久保裕紀2軍監督:
球団も「ナイターの方がいいだろう」とか「演出も1軍の試合と一緒の方がいいだろう」みたいなことやってくれて、そういう点では、お客さんの入りは別にして、全てが1軍の試合に近いかたちでやってもらってるんで、それをきっかけに今年は、今の現時点では「1軍は、すぐは無理だな」と思ってる選手も、ゆくゆくは「1軍で」みたいなきっかけになってくれればいいな、というのでお願いをしたんですけれど

1軍に上がると一番多くプレーすることになる本拠地のPayPayドーム。その雰囲気、広さを体感させたいという小久保監督。それは自身の経験からくるものだった。

――選手時代に小久保監督が、最初にドームを見たときの印象は?

小久保裕紀2軍監督:
やっぱり当時はまだ「ホームランテラス」がなかったんで、ちょっと反対方向(ライト方向)にホームランを打つのは「これは厳しいな」っていうので、アウトコースの甘めを左中間に引っ張る、その練習でホームランを増やそうという取り組みに変わっていったのは、この球場のおかげですよね

――実際、今回、選手たちにドームで臨む前に、そういう話もされた?

小久保裕紀2軍監督:
「こういう場所を、舞台を用意してくれたのは球団なので、しっかり感謝の気持ちを持って恩返ししてください」っていう話をしました。まあ、いまはその期待に応えられてない選手たちばかりですけど

若手1軍定着に必要なこと

ドームでのファーム3連戦だったが、ホークスはバファローズに対し3連敗。これには小久保監督も渋い顔だ。

さらに今シーズン3度目の先発を目指し、2軍で調整登板をした森唯斗投手が、投球練習前に右太もも、内転筋に違和感があり緊急降板した(5月17日)。その表情は険しいものだった。

小久保裕紀2軍監督:
森と話は、ちょっとしましたけど、でもあの状態で、1軍で勝負するのは、ちょっと難しいんじゃないですかね。どういう話になってるかまでちょっとまだ把握はしてないですけど、春先にやったところと同じなのか、どうかっていうのもあって。同じ箇所を再発すると、やっぱ癖になるんで怖いですよね

新加入の有原航平投手も登板(5月18日)。最速150km/hをマークしたものの、6回途中3失点で降板。本人も「満足できる内容ではなかった」と納得のいかない様子だった。
現在は4軍まであり、球界一、選手層が厚いと言われているホークス。よほどの数字を残さない限り、なかなか1軍への扉は開かないのが現状だ。

――若い選手、レギュラーが、まだ固まっていない選手などは、どうしても右ピッチャーと左ピッチャーとの差(右投げには左打ち、左投げには右打ち)を考慮されてしまって、右打席のバッターは、左ピッチャーだと交代させられるか、出場できない。その逆もまた同じだが…

小久保裕紀2軍監督:
上(1軍)では、そうですね。下(2軍)では、基本的には全部、出していますよ。やっぱり右、左は、それぞれ打席数を多く立っておかないといけない、立せないといけない。まあ(右対右、左対左)でも、上層部が「我慢して使ってやろうか」っていうところまで技量を持っていかない限りは、レギュラーの道はないんでね

“若鷹”に向けて

最後に小久保監督は、“若鷹”に向けてこう締めくくった。

小久保裕紀2軍監督:
どのラインが(上層部から)我慢して使ってもらえるラインなのかっていうところをね、やっぱり自分でしっかり自覚しながら、この2軍でも取り組むべきですよね。2軍で圧倒的な数字を残せば上層部も「使ってやろうか」ってことになると思いますよ

憧れのドームでの試合を目指して“若鷹”たちはきょうも汗を流す。

(テレビ西日本)

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