福岡市博多区のアイススケートリンク『オーヴィジョンアイスアリーナ福岡』。施設を訪れると入り口には行列ができ、貸し靴コーナーも大混雑。その理由は…。

五輪効果 通常の倍以上の人出に

アイススケートリンクを訪れていた家族連れに聞くと「オリンピックもあって、ちょっと行こうかということで」と笑いながら応えるなど「オリンピックを見て滑りたくなった」という人が詰めかけ、賑わいを見せるアイスアリーナ。施設によるとオリンピック開幕以降、来場者が増え、平日は通常の倍以上の人出となっているという。

『オーヴィジョンアイスアリーナ福岡』(福岡市博多区)
『オーヴィジョンアイスアリーナ福岡』(福岡市博多区)
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家族連れで訪れたという母親は「子どもたちにとっても貴重な機会なので、リンクが近場にあっていいなと思う」と話していた。

経済的苦境で一度は閉鎖されるも…

福岡市唯一の常設スケートリンク『オーヴィジョンアイスアリーナ福岡』。その前身は1991年開業の『パピオアイスアリーナ』だ。

しかし2020年、建物の老朽化による改修費が5億円ほどかかることや維持費が高額で累積赤字が20億円に膨らんでいることなどを理由に、運営する西部ガスグループが、閉鎖の方針を発表。

各競技団体などが、存続を求めて署名活動をしたが、施設は翌年に休業となった。

その後、改修費の寄付を募るクラウドファンディングが立ち上がり、福岡市や福岡県もその一部を支援すると発表した。

そして2023年4月に『パピオアイスアリーナ』は『オーヴィジョンアイスアリーナ福岡』として、営業を再開することになったのだ。

現在、リンクは1年を通して20を超える競技団体が練習や試合で使用し、一般向けのスケート教室や小学校の体験授業などでも利用されている。

新たに、施設への支援を呼びかける地域サポーター制度も設けられた。

アイスアリーナの大穂威憲支配人は「365日、常に氷を維持していかないといけないので、かなりのランニングコストがかかりますけれど、地元の企業からご賛同頂きまして、広告料の収入をランニングコストの一部として活用させて頂いている」と話す。

一方で、新規の利用者を増やすための取り組みも進められている。施設再開後、数多く実施されたアイスショー。エンタメ系のイベントを受け入れることでスケート場の認知度も上がっていくと期待されている。

一般営業時間を短く 早い時間から貸切営業に

そして再開後に施設が力を入れているのが『ジュニア世代の育成』だ。

「1日に3~4時間、練習しています。3回転+3回転の練習やトリプルアクセルの練習もしています」と話すのは、毎日、休まずリンクを訪れている中学1年のフィギュアスケート選手、佐久間陸君。

陸君は、2024年から2年連続で、主に小学6年生と中学1年生が出場する全国大会で優勝。2025年は、歴代最高得点を記録するなどの逸材だ。

以前は、陸君たちのようなジュニア選手たちは主に早朝や深夜に貸切練習をしていたが、施設再開後は、一般営業を短くして早い時間から貸切営業に切り替え、子どもたちでも安心して練習できる環境を整えている。

『福岡フィギュアアカデミー』の石原美和ヘッドコーチは「夕方の貸切が、どんなに遅くても午後10時前には終わっていますので、家に帰ってちゃんと夜ご飯を食べて寝られる。選手たちはとても身体的に楽になったと思います」と施設の対応に満足気だ。

陸君も「結構、練習量が増えて、貸し切りもたくさんあるので、そこがすごくよくなった」と話す。結果が出ているのも練習環境が関係しているというのだ。1月の全国中学校スケート大会では、1年生ながら2位につけた。

日本を代表する振付師の宮本賢二さんからも「ジャンプも上手だし、表現も一生懸命、いま、いろいろ自分で勉強しているだろうし、すごくバランスもとれている選手」と評価も高い。

目指すは五輪 大舞台での金メダル

そんな陸君。なんとミラノでオリンピックを生観戦。男子シングルの日本勢のメダル獲得の瞬間を目の前で見届けたのだ。

「スピードもすごくて迫力があってとにかくすごかった。オリンピックに出てみたいとすごく思いました。金メダルをとりたいです」さらに陸君の“やる気”に火を点けたようだった。※陸君は4年後の五輪は、数ヶ月年齢が足りず8年後の五輪出場を目指す。

目指すは大舞台での金メダル。周囲の期待も膨らみます。大穂支配人も「まだオリンピックという舞台には、施設から誰も出ていないので今後、楽しみにしたい」と大きな期待を寄せる。

”地域の憩いの場”と共に”未来を担う選手の成長の場”でもあるスケートリンク。銀盤にはきょうも多くの笑顔と夢が溢れている。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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