ガザ地区で、日に日に人道危機の懸念が高まっている。唯一の脱出ルート「ラファ検問所」の今に迫る。

ガザとエジプトを直接つなぐ脱出口

フェンスに手をかけ、封鎖された先を見つめる少女。ここは、イスラム組織ハマスが実効支配するガザ地区と隣国エジプトの境界に設けられたラファ検問所だ。ガザ北部から南部に退避した人々にとって、この検問所はイスラエルを経ずにガザとエジプトを直接つなぐ唯一の脱出口となる。

ラファ検問所の再開を待つ人々
ラファ検問所の再開を待つ人々
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周辺には連日、赤ちゃんを抱いた家族連れなど数千人もの人々が集まり、検問所の再開を待ち続けていた。ガザ地区の難民は「国境が解放される希望をもって毎日来ている」「私たちを放置しないでください」と訴える。

一方で、検問所の向こうのエジプト側に目を向けると、地面にひざまずき、ガザ空爆の犠牲者に祈りをささげる人々がいた。その後ろでは、道路の両脇におびただしい数のトラックが止まっている。トラックに積まれているのは救援物資だ。ガザ住民らを救おうと、各地から集まったトラック数百台が検問所前に列を作り、開門の時を待っていたのだ。

エジプト側には、救援物資を載せたトラックが並ぶ
エジプト側には、救援物資を載せたトラックが並ぶ

しかし、ゲートは依然閉ざされたまま。いつ救援物資をガザへと運び込めるのか、不透明な状況が続いている。

パン店に並ぶ人々(ガザ南部)
パン店に並ぶ人々(ガザ南部)

避難した市民らが集中したガザ南部では、パンの店に大行列ができるなど、食糧難が深刻化している。さらに、水や医薬品、燃料などあらゆる生活物資が不足していた。

女性ジャーナリスト:
わたしたちは水と電気がもうすぐなくなりそうです。家の中は人であふれ、子ども、赤ちゃんは水欲しさに泣いています。

検問所再開で合意…援助開始へ

人道危機にあるガザ市民への支援をどう進めるのか。

イスラエルを離れたアメリカのバイデン大統領は、帰国する機内でエジプトのシシ大統領と電話会談した。その結果、バイデン大統領は「(シシ大統領は)検問所を開けることに合意した。最大20台分の(支援物資の)トラックを通す」と明らかにし、20日までには援助を開始できるとの見通しが示された。一方で、検問所付近に待機する外国籍のガザ住民のほか、外国人を通過させるかについては具体的な言及を避けた。

外国籍のガザ住民のほか、外国人の検問所通過には具体的に言及せず
外国籍のガザ住民のほか、外国人の検問所通過には具体的に言及せず

専門家は、南部に集まる人たちをガザの外に退避させようとする動きは、ハマスを刺激する危険性があると指摘する。中東ジャーナリストの池滝和秀氏は、「外国人とか外国籍保有者、そういった方々が(ガザ)南部にいた方が、南部へのイスラエルの攻撃を抑止できると。(退避活動を)ハマスが妨害しないとも限らない。(検問所の)人の通過については、まだ流動的」と述べた。
(「イット!」10月19日放送より)

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