福島・いわき市の中学校で3月11日、卒業祝いの給食として用意された赤飯2100食が廃棄され、波紋が広がっている。「門出」なのか「追悼」か、市民からはさまざまな声が出ている。

卒業祝う赤飯→非常用パンなどに

お祝いや門出など、特別な日に振る舞われることが多い赤飯。そんな赤飯をめぐる対応で議論を呼んでいるのが、福島県の海沿いの街、いわき市だ。

この記事の画像(9枚)

いわき市・内田広之市長:
2100食余りの給食の破棄ということで、今回の対応に対して本当におわび申し上げたい。

一体なぜ、2100人分の給食が廃棄されるに至ったのか。

「卒業お祝い献立」と記されたメニューの一つとして、いわき市内にある中学校のうち5校で赤飯が出される予定で、その日付は「3月11日」だった。

いわき市は、15年前の東日本大震災で甚大な被害を受けた街だ。給食が出される直前の11日午前11時前に、5校のうちの1校に生徒の保護者を名乗る人物から「震災の日に赤飯を提供していいのか」と電話があった。
この時点で、調理済みの赤飯はすでに各中学校への配送が済んでいたという。

いわき市・服部樹理教育長:
(給食開始まで)まだ時間はあると。大事な日なので、できるなら差し替えをやろうと。

卒業お祝い献立の「赤飯」は、急きょ「非常用のパン」などに変更され、赤飯はそのまま廃棄された。

この対応を後で知ることになったという市長は……。

いわき市・内田広之市長:
もったいないですし、食育というのは食べ物のありがたみをしっかりと伝える。その給食の中で(赤飯を)破棄してしまった。これは理解が得られることがなかったなと。

市民「タイミング良くない」「気にしすぎ」

震災を経験した、いわき市民からはさまざまな意見があがった。

いわき市民(70代):
時期とタイミングが良くない。いわきの人は被害を大なり小なり受けたから。

いわき市民(70代):
(赤飯を)破棄したっていうのは納得いかない。みんな(物価高などで)困っているのに。

取材班:
自分の給食に出されたら?
いわき市民(高校生):
別になんとも思わず食べます。気にしすぎかなと。

市長「冒頭に追悼…感謝の気持ちで食べれば」

今回の一件は「給食の大量廃棄」だけでなく、そもそも3月11日に赤飯を出すことが適切かという議論も起きている。

市によると、卒業お祝いの給食は毎年出されていて、2026年はたまたまその日程が3月11日となったことに誰も気がつかなかったという。

いわき市・服部樹理教育長:
赤飯というものが、日本の中で広く祝い事の象徴と捉えられ、この日に提供するのはふさわしくないとその時は考えた。

追悼の日に赤飯はふさわしくないとする教育長に対し、市長は日程変更は考慮の余地があるとしながらも、次のような見解を述べた。

いわき市・内田広之市長:
(卒業生は)ちょうど震災の時に生まれて、周りの大人たちに育てていただいて、仮に3月11日に赤飯が出たとしても、冒頭に追悼をして震災を振り返りながら、感謝の気持ちを持ちながら食べれば問題なかったのでは。

追悼の日に“お祝い”被災地の意見は

追悼の日にお祝いの食事をするべきかどうか。2年前の元日、能登半島地震で甚大な被害に遭った石川・輪島市の人にとっても同様に難しい問題だ。

輪島市民:
(1月)1日の日に大事な家族を失った方もおられるでしょう。今までみたいに(元日の)0時と同時にお宮さんへきれいな(着物)着ていくことがなくなった。

輪島市民:
日が経ったりしたらいろいろみんな考え方があるし、そこに応じて食べたりしたらいいと思いますけどね。

輪島市民:
1月1日が近づいてくると鼓動が速くなるというか、そんな気持ちもあって本当に(元日に)「おめでとう」と言いにくいけど、それと子どもの成長(を祝うの)は別問題かなと。

「門出」そして「追悼」どちらの気持ちも大事にするがゆえに生まれた問題。いわき市は今後、教育委員会との連携を強化するなどして再発防止を図る方針だ。
(「イット!」3月17日放送より)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(9枚)