2026年3月16日、アメリカのトランプ大統領は驚くべき一言を発した。
「私はやりたいようにできる」
ホワイトハウスの執務室で記者団に囲まれ、意気揚々とキューバについての持論を展開したのである。

これまでの歴代大統領がしてこなかった“偉業”を成し遂げるとばかりに、「私はキューバを掌握する栄誉を得るだろう。解放するにせよ、占領するにせよ、私はやりたいようにできる。キューバは今、非常に弱体化した国家だ」
その中で出てきたのが「やりたいようにできる」発言だ。この一方的な発言に対する意見を、駐日キューバ大使に聞いた。
キューバにはイラン方式か、ベネズエラ方式か
これはFOXニュースの記者の質問だった。そもそもの質問も「攻撃前提」だった。
この質問に対し、トランプ大統領は、「キューバは美しい島で、天気も良い。優秀な人も大勢いる」と持ち上げた上で、「キューバを掌握する栄誉にあずかることになると信じている(I do believe I'll have the honor of taking Cuba)」と答えたのだ。

政権寄りで知られるFOXニュースの記者ですら、「キューバを掌握?!」と、その独りよがりの答えに唖然としていた。
ラテンアメリカは裏庭でもおもちゃでもない
ラテンアメリカはアメリカの裏庭でもトランプ大統領のおもちゃでもない。発言に対する意見を駐日キューバ大使に聞いた。
普段、いわゆる“反米“とされる国々の大使や外交官から「なぜ日本のメディアはアメリカの言い分ばかり報道するのか」と、責められる。
言い訳をするわけではないが、アメリカで事件取材をすると、警察や政府機関は調査途中であっても「現時点の情報」として、会見などでメディアからのあらゆる質問に答える。
結果として、のちに間違いだったことが判明することも多々あるが、記者と対等にやりとりするのだ。報道の自由、そして知る権利の尊重が根底にある。
とはいえ、アメリカの第47代大統領の言い分を垂れ流しにするのは決して正しいと、もはや思えない。自戒の念をこめて、キューバのヒセラ・ガルシア駐日大使の少々長いコメント全文を紹介する。
「キューバ支配しようと企む者は “重い代償”」
トランプ政権は、国際法を尊重せず、いかなる国に対しても――強調します、いかなる国に対しても――好き勝手に振る舞えると考えていると世界中に示しています。そして、それを公然と口にすることを恥じてもいません。
一方、多くの場所では、トランプの発言をニュースの見出しごとに報じるだけで、強大な帝国による小国への横暴について、勇気ある批判を繰り広げることは稀です。
キューバが現在直面している深刻な状況は、アメリカ政府による虐殺的な政策によるものです。3カ月前から、アメリカ政府による制裁により、わが国への燃料の輸入が途絶えています。これがキューバ国民の生活に与える影響は計り知れません。
これは私たちに対する懲罰であり、これまでの数多くの制裁に続く、新たな一方的な強制措置であり、国連憲章および国際法に違反するものです。
キューバはこれまで通り、アメリカ政府と真剣かつ責任ある対話を行う用意があります。
ディアスカネル大統領が明言したとおり、現在行われている協議は、対等な立場、両国の政治体制への尊重、主権と自決権、そして相互主義の精神と国際法の順守に基づき実施されるべきで、対話を通じて二国間の相違点に対する解決策を見出すことを目的としています。
キューバの人々は、もてなしの心にあふれ、明るく、連帯感の強い人々です。キューバを訪ねてくださった日本人の方々もよくご存知ですが、この場をお借りして、日本にいる多くのキューバの友人たちから寄せられた連帯の意に感謝いたします。
しかし、私たちはまた、不屈の精神を持ち、その独立を誇りに思う国民でもあります。そして、このような時こそ、独立革命家アントニオ・マセオ(1896年没)の有名な言葉が思い浮かびます。
「キューバを支配しようとする者は、戦いで命を落とさぬとしても、血に染まったこの地の塵を手にすることになるだろう」
