心の不調を感じても、「まだ大丈夫」「診てもらうほどではない」など、医師に診てもらうタイミングがわからない。

登録者数45万人を超えるYouTubeチャンネル「精神科医がこころの病気を解説するCh」を運営する、精神科医の益田裕介さんが、精神科を受診した方がいい“限界のサイン”について『まんがルポ 精神科に行ってみた!【心の病】はこうして治る』(扶桑社)より、一部抜粋・再編集して紹介していく。

うつ病は、落ち込みをくり返す脳の病気

最近は残業をあまりさせなくなっている企業も多いため、過労からくるうつ病は減ってきている傾向ですが、うつ病の患者さんは今でも多くいます。

そもそもうつ病は、「3~6カ月の落ち込みを繰り返す脳の病」です。

落ち込みといっても、ただやる気が出ない、といったものから、悲しくなる、食べられない、眠れない、楽しくない、お金に対して心配が増える、人に会いたくない、イライラする、攻撃的になる…などさまざまです。

「落ち込み」も人によってさまざまある(画像:イメージ)
「落ち込み」も人によってさまざまある(画像:イメージ)
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そして3つ、知っておいてほしいことがあります。

1つ目は、回復には時間がかかること。半年ぐらいの休職は普通で、1年半(傷病手当が支給される期限ぎりぎりまで)休む人も多いです。

2つ目は3分の1の人は薬が効かない(ほかに、薬を飲まなくても自然経過の中で治る人、薬を飲んだ方が早く治る人がいる)ことです。

そして3つ目は、途中で躁状態になり、診断が双極性障害に変更になることも珍しくないこと、などが挙げられます。

実際のところ、うつ病はまだわかっていないことも多くあります。

他の精神疾患と同じく「遺伝子+ストレス」の2つの要素で発症します。ストレスの割合が大きければ基本誰でも発症し、逆に遺伝子の割合が大きければ、さほど負荷がかかっていなくても発症するのです。

つまり、どんな人でも、どの世代でも発症しうる病気なのです。