河川敷で許可なく野菜などを栽培するいわゆる「ヤミ畑」。全国各地で横行していて長野市の千曲川でも河川事務所が再三、注意しているが、不法行為が続いている。「ヤミ畑」の主たちを取材した。
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「国有地」で許可なく畑を耕作
ナスにゴーヤー、トウモロコシ。さまざまな野菜が栽培されている。
ここは長野市篠ノ井塩崎地区。千曲川の河川敷内に広がる畑。河川敷には、私有地も混在しているが、こちらの場所、実は「国有地」だ。
この区域の河川管理者は、国土交通省の千曲川河川事務所。
一帯の畑は耕作の許可を得てない、いわゆる「ヤミ畑」だ。
この記事の画像(17枚)農作業している人に話しかけると…
河川法に違反するため耕作禁止の看板が立てられているがそれを無視して、栽培が続けられている。
一体、誰が―。
9月27日の朝6時すぎー。
「ヤミ畑」で数人が農作業をしていた。
話しかけてみると―。
記者:
ネギはお父さんが作ったんですか?これ全部お父さんが作ったんですか?
男性:
……
記者:
どこからどこまでお父さんが育てているんですか?
男性:
……
男性は質問に答えなかった。
別の男性は―。
記者:
いつごろからここを使っているんですか?何年くらい?
男性:
……
中国出身の80歳男性「……」
こちらの男性も、当初、記者の問いかけには答えなかったが、「中国出身で、年齢は80歳だ」と明かした。
なおも記者が質問を続けると―。
記者:
いつもこの時間に来るんですか?
中国出身の80歳男性:
……
記者:
どこからどこら辺までお父さんの畑ですか?
中国出身の80歳男性:
……
男性は帰り支度を始めた。
記者:
ダイコン育てているじゃないですか、自分で食べたりするんですか?
中国出身の80歳男性:
私は、お金ない。買い物、分かりません
記者:
食べるために、ここで育てている?
中国出身の80歳男性:
うん
記者:
国の土地らしいんですよね、ご存じだったりしましたか?
中国出身の80歳男性:
うん
記者:
知ってはいたんですね?
中国出身の80歳男性:
うん
記者:
注意の看板置いてあるじゃないですか、ここの畑を使わないでくださいと。見たりしましたか?
中国出身の80歳男性:
うん
記者:
やめようとはしないんですか?
中国出身の80歳男性:
うん
記者:
なんでやめようと思わないんですか?
中国出身の80歳男性:
……
男性は、それ以上、質問には答えず立ち去っていった。
再三の注意も無視…1haに広がる
こうした現状を河川管理者の千曲川河川事務所はどう考えているのかー。
山田浩史占用調整課長は、「不法耕作が続くのは適切ではないので、粘り強く説得をやっていくしかないと感じている」と答えた。
千曲川河川事務所によると、篠ノ井塩崎地区で「ヤミ畑」が確認されたのは2010年ごろから。
再三、口頭で注意し看板も設置して耕作しないよう求めてきた。
現場での聞き取りや寄せられた情報から「不法耕作しているのは中国系の人々」とわかり、看板には中国語の表記も加えた。
山田課長は、「その場で写真を撮ったり、注意をさせていただいてる状態。応じてもらえる方もいれば、応じてもらえない方もいて」と話す。
口頭の注意には、あやふやな返答をしたり、日本語がわからない様子を見せたりするのだという。
結果的に無視され、「ヤミ畑」はおよそ1ヘクタールに広がった。
千曲川河川事務所の管理区域内では、塩崎地区を含め12カ所で「ヤミ畑」が確認されている。
畑の奥にはニワトリ小屋も
塩崎地区の河川敷では国有地だけでなく、長野市の土地・市有地とみられる場所にも「ヤミ畑」があった。
中国出身で75歳になるという、こちらの女性は―。
記者:
この看板を見て何か思うことはありますか?
中国出身の75歳女性:
やめろ、畑やめろ、だめ
記者:
なぜ、やめないのですか?
中国出身の75歳女性:
うん、やめない
記者:
この看板見ても、やめようとは?
中国出身の75歳女性:
私、知らない
女性の畑の奥には、ニワトリ小屋も建てられていて、案内してくれた。
記者:
卵を産む?
中国出身の75歳女性:
卵、きょう、卵ない
解決の決め手がなく長期化
周囲の「ヤミ畑」にも農機具小屋のような建物が点在している。こうした工作物も、本来、河川管理者の許可なしに建てることはできない。
山田課長は、「洪水時に工作物が流れて堤防に当たるとか、橋脚の方に流れるとか、危ないものになる」と、注意しているというが…。
解決の決め手がなく長期化しているヤミ畑問題。
山田課長は、「今後、物理的に入れないようにする対策とか、考えていかなければならない」と話す。
千曲川河川事務所は対策の強化を検討中だ。
(長野放送)