これから訪れる秋の行楽シーズンに活躍する、自家用車。

乗り心地や好きなデザイン、最新機能など様々な理由から、こだわりの愛車を選ぶ人が多いが、世の中には「人とは違うものが良い!」とこだわり過ぎて、驚きの車を手に入れた人たちがいる。

想像よりも“ナナメ上”に変化を遂げたものに注目する「ナナメ上調査団」では今回、そんな刺さる人には刺さる「こだわり強めな自家用車」を紹介。

「こだわりすぎて完成しない車」「超ミニミニカー」「規格外の大きすぎる車」「インパクトが強すぎる車」まで、ナナメ上な「こだわり強めな自家用車」を取材した。

まずは、細かすぎる&こだわりすぎな模様の車から。

こだわりすぎて“完成しない車”

自分の好きなイラストや模様を施す車のボディーペイント。

神奈川県寒川町のイラストレーター、金子美月さんが所有する軽自動車には、細かい模様がびっしりほどこされている。

画像:@02_3579mk
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美大出身の金子さんが8年前に、見た目のかわいさに一目ぼれして購入した軽自動車に「ゼンタングルアート」という、描いている人に“癒やしの効果”を与えるといわれる模様がポスカで描かれている。

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そして描いたり消したりを繰り返すこと7年、いまだに完成していないという。

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金子さんは「友達や知り合いから“サグラダ・ファミリア”って呼ばれているので、完成はまだまだ先の話になりそうかなという感じです。“二度見される車”がコンセプトなんですけど、『これ手描きなの?』と言われるのを『そうです』と返事したい感じです」と話す。

続いては、見た目がかわいい車。

「見た目がかわいい」超ミニミニカー

和歌山県海南市に「見た目がかわいい車」があるという。

早速、その車が置いてあるという駐車場へ向かうと、そこにあったのはアニメなどでしか見たことないような、超ミニミニカーだった。

大きさは車幅約1メートル、車高は約1メートル30センチ。

隣にある白い軽自動車よりも小さい。

このミニカーのオーナーである長谷川薫さんは、外国車に憧れがあったようで、「かっこいい外車に乗りたいなと思っていたんですけど、高いじゃないですか。なので、ちょっと車体が安いポンコツを買って自分でかっこよくして乗ろうと思った」と語る。

この超ミニミニカーは約50年前に製造された、イタリア製の「スルーキー」という、れっきとした“一人乗り自動車”。

通称「ミニカー」と呼ばれ、排気量は50cc、最高時速は最近調子が悪いらしく約30キロだという。

現在は普通自動車の区分だが、1985年の道路交通法改正前まではいわゆる“原付”の免許をもっていれば運転することができた、とてもレアな車なのだという。

ミニカー博物館「WAZUKA」入館料350円
ミニカー博物館「WAZUKA」入館料350円

長谷川さんは、この「ミニカー」に魅了され、約6年前から収集を始め、現在8台を所有している。

今回見せてもらった「スルーキー」はおととし、15万円で購入したというが、長谷川さんは「もともと不動車なので、それを動ける状態までに直すのに、結局合算すると外車が買えていたというぐらいの金額にはなっています」と話す。

昔の車ということでエンジンが古く、エンストをおこしてしまうこともしばしばあるという。

さらに車内は狭く、クーラーもない。

夏は暑く、冬は寒いようだが「ちょっと不便なぐらいの方が楽しい。新たな発見を古い中から見つけることもある」と、長谷川さんは小さい車にこだわる理由を語った。

車の小ささにこだわる人もいれば、逆に、大きさにこだわる人もいた。

 路線バス!?トレーラー!?規格外な“大きすぎる車”

「あれだけ大きい乗り物に乗っている運転手さんもかっこいいですし、運転してみたいなというのもありましたね」と語るのは兵庫在住の大谷峻平さん。

大谷峻平さん
大谷峻平さん

大谷さんが語る、“あれだけ大きい車”というのは路線バス。

去年、バス専門の中古車販売店で約180万円で購入したという。

内装もほぼ現役当時のままで、バス降車ボタンも健在なようだが、実際に運転しているとバス停でバスを待っている人を困惑させてしまうこともあるようだ。

「バス停で路線バスを待っているお客さんが、自分が乗るバスが来たと思って立って、乗ろう思ってこっちを向くんですけど、実際に来たのは全然違う。『何これ?』みたいな状態になっていますね」

さらに、もっと大きい自家用車を持っていると人もいた。

綾人サロンさん
綾人サロンさん

千葉に住む綾人サロンさんの“大きい車”は「ある程度技術がないと動かすことがそもそもできない車」というが、それは全長13メートル、高さ3.6メートルの大型トレーラー。

大型特殊免許とけん引免許が必要な、いかにも技術のいる車だ。

「スポーツカーは普通にみんな乗れると思うんですけど、トレーラーに関してはある程度技術がないと動かすことがそもそもできないという車なので、それを自家用で走らせるのが醍醐味でもある」

とにかく“でっかい車”が好きだったという綾人サロンさん。

運送会社に就職後、プライベートでも乗りたいと、去年、3000万円で愛車を購入。

しかし、愛車が大型トレーラーであるが故の悩みもあるという。

「駐車場を探すのが大変です。長さで頭が少し出ちゃうので。旅館の駐車も広いところが必要になってくるので。現地で実際に下見しに行かないと危ない」と語る綾人さんだが、次はさらに大きな大型トレーラーを買う予定のようだ。

続いては、見た目のインパクトが強すぎる自家用車。

実際に使われていた装甲車を自家用車に

大阪府松原市。オーナーに指定された場所で待っていると、目の前にあらわれたのは、装甲車だった。

通りすがりの人も自転車を止めてまじまじと観察するほど、人目を引く。

そして、上部のハッチから登場したのはこの“車”のオーナーの松井裕一朗さん。

オーナー 松井裕一朗さん
オーナー 松井裕一朗さん

約8年前に軍用車コレクターから購入したという装甲車。

1963年に4409両製造された内の1両で、実際に戦地で使われていたという。

実は松井さんは軍用品の生粋のコレクターで、イギリスの軍用車や装備品を展示している「ミリタリーアンティークス大阪」の館長なのだ。

「私は動態保存と言って、走らせ続けるということにこだわりを持っている。60年も70年も前の車だったりしますから、そうなってくると世界のどこかからその部品を探し出さないといけないという苦労があります」

とはいえ、住宅街を走る装甲車は異質そのもの。

中はどうなっているのか。

調査員は上部のハッチから装甲車に初めて乗り込むと「すごい、コンパクトですね」と感想。

狭いながらも、前と後ろで2人乗り。

ハンドルは車体を小さくするために逆向きに装着されていた。

最高時速は93キロとハイスペックだが、フロントガラスはなく、風が直撃するため、ゴーグルは必需品なのだという。

実際に調査員が後ろに乗ると、エンジンの爆音と、ダイレクトな揺れを実感したため、運転しにくくないのか松井さんにたずねると「もう慣れたら普通の車ですよ」と笑った。

しかし、松井さんの妻・亜希子さんは「全く何にも興味もないし、おもしろくもないし」と夫の趣味をバッサリ。

松井裕一朗さん、亜希子さん
松井裕一朗さん、亜希子さん

さらに、友人の家に電車で遊びに行った帰り、お迎えをお願いした時に松井さんはこの装甲車で迎えに来たようで、亜希子さんは「いやいやいやみたいな。こんなんで家まで帰られへんよみたいになって、無視してタクシーで帰りました」と松井さんに怒りつつも、今年で結婚13年目の2人。

いつかは装甲車で仲良く亜希子さんの趣味のキャンプに行くのが松井さんの夢なのだという。

続いては“本物”を自家用車にしてしまった人、だ。

「目立つため」パトカーを自家用車に

千葉県松戸市にある車のコーティングなどを行う「JEEP CAFE TOKYO(ジープカフェ東京)」。

オーナーの和田裕之さんに、車を見せてもらうと、そこにあったのは、日本のものではなく、アメリカのパトカー。

和田さんはこの本物のパトカーを、普段から運転しているという。

さらにその隣にも、もう一台のパトカーもあった。

※パトカーは全国の幼稚園などに貸し出しが可能
※パトカーは全国の幼稚園などに貸し出しが可能

実は和田さん、映画などで使う劇用車としてこのパトカーの貸し出しも行っているという。

調査員は人生初のパトカーに乗車してみると「めっちゃ圧迫感がある」と一言。

後部座席に乗ると目の前には鉄格子が広がり、後部座席のドアは中から開けることができない仕組みになっている。

これは捕まえた犯人に逃げられないようにするためだという。

そんな本物のパトカーをなぜ、自家用車にしようと思ったのか。

「高校の時からアメ車に乗りたいと思っていた」と語るも、なぜそこからパトカーになったとか聞くと「目立たない、目立たない。普通になっちゃう」と和田さん。

和田裕之さん
和田裕之さん

ただ、ただ目立ちたいという理由だけで、9年前にパトカーを購入。

三奈子さん、和田裕之さん
三奈子さん、和田裕之さん

それに対して、妻の三奈子さんは「え、どこに乗ってくのかなという」と戸惑いながらも、実際に乗った感想を「捕まっていると思われるじゃないけど(笑)、そこがやっぱ恥ずかしいです」と苦笑した。

ちなみに、次はアメリカの消防車の購入を考えているという。

あくまでもアメ車にこだわるオーナーだった。

(ノンストップ!『ナナメ上調査団』より 2023年9月26日放送)