9月22日から9月24日に行われたフィギュアスケート・中部選手権。

シニア男子は山本草太が合計273.14点で4連覇を達成。シニア女子は河辺愛菜が合計191.77点で初優勝した。

中部選手権で西日本選手権への出場権を獲得したシニア・ジュニアの選手たち、そして全日本ノービスを決めた選手たちの結果を振り返っていく。

【シニア男子】山本草太が4連覇

出場者全員が西日本選手権行きを決めたシニア男子。

優勝は、2020年からの4連覇達成となった山本草太。

ファンの声援に応える山本草太
ファンの声援に応える山本草太
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今季3戦目となる山本は、げんさんサマーカップ3位、CSオータムクラシック4位と振るわず、「この中部ブロックで流れを食い止めたい」と今大会に挑んだ。

ショートではノーミスの演技を披露した山本草太
ショートではノーミスの演技を披露した山本草太

SPでは、オータムクラシックから帰国後5日という連戦となったが、疲れている様子を感じさせない滑りを披露した。

冒頭4回転トゥループと3回転トゥループのコンビネーションを出来栄え点(GOE)+3.17点で完璧に決めた。

その後の4回転サルコウ、トリプルアクセルとノーミスの演技でパーソナルベストに迫る95.28点をマーク。

会場のファンも山本の演技にくぎ付けに
会場のファンも山本の演技にくぎ付けに

会場のファンたちも“NEW草太”の演技にくぎ付けとなった。

FSでも冒頭の4回転サルコウで出来栄え点(GOE)+3.23点を獲得し、4回転―3回転の連続トゥループも成功。

山本のフリーの演技後、会場が総立ちとなった
山本のフリーの演技後、会場が総立ちとなった

トリプルアクセルこそ転倒したが、その後リカバリーして失点を抑え、会場はスタンディングオベーションに包まれた。

「失敗した2つの試合から学ぶことができたので、失敗して良かったなと今になっては思う」と振り返る。

次戦となる10月27日からのGPスケートカナダへは「自信は出てきた。ギアを上げていきたい」と闘志を燃やした。

シニア男子表彰台(中部選手権)
シニア男子表彰台(中部選手権)

【シニア男子】
1位 山本 草太(中京大学)273.14点
2位 誉田 知己(中京大学)166.96点

【シニア女子】河辺愛菜が初優勝

女子は14人が西日本選手権へ出場を決めた。

優勝は河辺愛菜。2022年北京五輪出場の河辺は、中部ブロックでは初の優勝となった。

ショートを首位で折り返した河辺愛菜
ショートを首位で折り返した河辺愛菜

新SP「Haunted/Lick It」のアップテンポな曲にのせてジャンプをノーミス。後半は、観客の手拍子に合わせて鮮やかなステップを披露した。

大歓声の中、演技を終えるとげんさんサマーカップの得点を上回る68.27で首位に立った。

難関プログラム「ボレロ」を披露した河辺愛菜
難関プログラム「ボレロ」を披露した河辺愛菜

続く新FSは、「いままでの試合でボロボロだった」という難関プログラムの「ボレロ」。

圧巻の表現力で滑り切り演技構成点は60点台をマーク。

「最初のルッツトゥがつけられたこと、前回の試合より力が少しでも余っていて最後まで振り絞れたのは良かった」と試合を終えて自信が20%から60%にアップしたという。

次戦となる10月20日からのGPスケートアメリカへは、「絶対にファイナルにも出る」という強い気持ちで挑む。

フリーは昨季のプログラムに戻して挑んだ松生理乃
フリーは昨季のプログラムに戻して挑んだ松生理乃

2位は松生理乃。河辺に一歩届かず、惜しくも連覇を逃したものの、「思いっきり失敗したので清々しい。悔しくてすごく悲しいというよりは、次につながると思う」と前向きな姿勢を見せた。

国内試合から勝ち進み、全日本を目指す今季は、苦しかったという昨季からの“逆襲のシーズン”だ。

70点超えを目指したSPでは、「後半のルッツトゥを今季の試合で初着氷できたのが嬉しかった」と目標達成とはならなかったものの収穫があったと話す。

全日本では悔しさを晴らしたいと語る松生理乃
全日本では悔しさを晴らしたいと語る松生理乃

FSは「自分の強みを生かしたい」と用意していたプログラムから、昨季のプログラム「Nella Fantasia」に戻すことを決めて挑んだ最初の試合だった。

3回転フリップを転倒も、ジャンプのミスを感じさせず、持ち味である途切れのない伸びやかなスケーティングを惜しみなく披露し、演技構成点は1位をマークした。

「GPシリーズがない分じっくり練習できると捉えて、去年悔しかった全日本の舞台で良い演技をしたい」と、全日本につながる次戦の西日本選手権ではさらなる高みを目指す。

“真瑚らしい”表現で会場を魅了した山下真瑚
“真瑚らしい”表現で会場を魅了した山下真瑚

3位には山下真瑚。

8月のげんさんサマーカップから構成を変更し挑んだSP。成功率を上げるため、2本目にルッツを入れ、見事成功させる。

公式練習から「危なかった」というループの転倒に、悔しさを滲ませるも“真瑚らしい”と、自身が表現する独特な動きが入った見どころのステップで観客を魅了した。

西日本選手権へ気を引き締めたいと語る山下真瑚
西日本選手権へ気を引き締めたいと語る山下真瑚

「いい練習ができている」と迎えたFSでは、「一つの目標でもあったフリップを降りられたことと体力が最後までもったことが収穫」と振り返った。

全日本出場をかけた西日本選手権では、「ミスをした人から落とされていく。しっかりSPとFSをまとめていく事が大事」と気を引き締め挑む。

シニア女子表彰台(中部選手権)
シニア女子表彰台(中部選手権)

【シニア女子】
1位 河辺 愛菜(中京大学)191.77点
2位 松生 理乃(中京大学)187.44点
3位 山下 真瑚(中京大学)174.75点
4位 大庭 雅(東海東京FH)151.81点
5位 浦松 千聖(中京大学)133.76点
6位 磯村 彩姫(中京大学)133.15点
7位 荒木 菜那(中京大学)126.79点
8位 渡邉 朱音(椙山女学園大学)124.90点
9位 森 実愛(名城大学)121.72点
10位 田村 珠里亜(愛知みずほ大瑞穂高校)118.19点
11位 植杉 梨南(中京大学)117.27点
12位 金澤 茉由(中京大学)117.17点
13位 高岡 もも(中京大中京高校)115.98点
14位 山𥔎 藍香(誉高校スケート部)109.72点

【ジュニア男子】花井広人が初制覇

西日本には出場した全選手に加え、ジュニアGPシリーズ出場のため、予選免除されている田内誠悟・三島舞明が進出した。

優勝は花井広人。ノービスA女子優勝の妹・咲良に続きジュニア1年目にして中部制覇となった。

ジュニア1年目で優勝をした花井広人
ジュニア1年目で優勝をした花井広人

冒頭、まだ一度も成功したことがない3回転アクセルに挑むが、惜しくも転倒。それでも見事な立て直しで最後まで力強く滑り切り、2位と20点近く差をつけ堂々の優勝を飾った。

今季の目標は「全日本ジュニアに出場し、8位以内に入って全日本選手権の出場権を獲得すること」だ。

これからの活躍に期待がかかる。

ジュニア男子表彰台(中部選手権)
ジュニア男子表彰台(中部選手権)

【ジュニア男子】
1位 花井 広人(邦和みなとスケート部)164.68点
2位 芳岡 優希(グランプリ東海クラブ)146.30点
3位 神谷 帆鷹(名古屋FSC)143.32点
4位 佐藤 和那(邦和みなとスケート部)142.30点
5位 三原 庸汰(ノイエス金沢FSC)126.50点
6位 村上 晴哉(愛知みずほ大瑞穂高校)89.79点

【ジュニア女子】和田薫子が4連覇

西日本には5名に加えて、ジュニアGPシリーズ出場のため、予選免除されている上園恋奈が進出した。

和田薫子がノービスAからの4連覇達成。SP4位からの逆転優勝となった。

ショート4位から逆転優勝した和田薫子
ショート4位から逆転優勝した和田薫子

今大会トークゲストとして解説を務めた本郷理華さんも、和田を注目選手の一人として挙げる。

FSではポジションの美しさに回転の速さを兼ね備えたスピンと、トップスピードに到達するまでの早さを評価。「去年よりも体の動かし方が大きくなっている」と表現力のパワーアップに関しても太鼓判を押す。

去年の全日本ジュニアでは10位と、全日本への道をつかめなかった分、「今年こそは」と気合を入れる和田。まずは、西日本でノーミスの演技を目指す。

全日本を目指すため「ジュニア」を選んだ横井きな結
全日本を目指すため「ジュニア」を選んだ横井きな結

2位には横井きな結。

げんさんサマーカップではシニアとして出場するも、11位と悔しい結果に。

「人生で一番悩んだ」という決意で、今季はジュニアに戻り、絶対に叶えたいという全日本への道を目指す。

SPでスピン・ステップ全てで最高評価のレベル4を獲得し、ノーミスの完璧な演技で首位となった。

「いつもなら大崩れする」というFSでは、3回転ルッツ以外のジャンプをまとめ自身の成長を確信。

確率も上がってきているという3回転アクセルは、次戦で投入予定だ。「若い子たちに負けたくない」と戦う覚悟をのぞかせる彼女に目が離せない。

ジュニア女子表彰台(中部選手権)
ジュニア女子表彰台(中部選手権)

【ジュニア女子】
1位 和田 薫子(グランプリ東海クラブ)175.18点
2位 横井 きな結(中京大学)174.60位
3位 杉山 菜那(中京大中京高校)161.44位
4位 岡田 芽依(名東FSC)158.97位
5位 大坪 瑚子(邦和みなとスケート部)141.69位

【ノービスAB、男子・女子】

11~13歳が参加するノービスAクラスと、9~11歳が参加するBクラスでは、この中部選手権を通過すると、10月21日開催の全日本ノービスへ出場できる。

ノービスA男子は出場者4名が、ノービスA女子は推薦選手の花井咲良を除く上位5名が、全日本ノービスへ出場を決めた。

ノービスBは男子の6名が、女子は推薦選手の河合心々渚・矢島凜果・竹島花英を除く上位5名が、全日本ノービスへ出場を決めた。

ノービスA男子表彰台(中部選手権)
ノービスA男子表彰台(中部選手権)

【ノービスA男子】
1位 松本 悠輝(LYS)87.84点
2位 三浦 琉生(グランプリ東海クラブ)56.47点
3位 丸山 喜生(アイリスFSC)55.99点
4位 青木 蓮耶(グランプリ東海クラブ)54.56点

ノービスA女子表彰台(中部選手権)
ノービスA女子表彰台(中部選手権)

【ノービスA女子】
1位 花井 咲良邦和(みなとスケート部)91.09
2位 榎本 ミク(名東FSC)82.01点
3位 森岡 凛(LYS)74.04点
4位 星 碧波(グランプリ東海クラブ)68.42点
5位 中谷 玲菜(名東FSC)63.50点
6位 土居 百花(名東FSC)61.80点

ノービスB男子表彰台(中部選手権)
ノービスB男子表彰台(中部選手権)

【ノービスB男子】
1位 河合 悠立(名東FSC)69.60点
2位 三田 夏輝(邦和SC)63.42点
3位 木村 勇翔(グランプリ東海クラブ)53.62点
4位 神野 琉衣(名古屋FSC)52.81点
5位 吉田 進之助(邦和SC)49.91点
6位 杉本 凜太朗(ポラリス中部FSC)33.24点

ノービスB女子表彰台(中部選手権)
ノービスB女子表彰台(中部選手権)

【ノービスB女子】
1位 竹島 花英(LYS)67.30点
2位 矢島 凜果(グランプリ東海クラブ)63.97点
3位 木原 永稀(邦和SC)58.98点
4位 河合 心々渚(グランプリ東海クラブ)58.01点
5位 大川 華楓(邦和SC)57.96点
6位 宇佐美 麻帆(LYS)55.37点
7位 日置 優花(名東FSC)52.35点

全日本までの道の詳しい概要はフジスケでhttps://www.fujitv.co.jp/sports/skate/figure/index.html
FODで全選手・全演技LIVE配信

フィギュアスケート取材班
フィギュアスケート取材班