フィギュアスケート・東京選手権が9月22日から9月24日に行われた。

シニア男子は鍵山優真が合計284.75点、シニア女子は住吉りをんが合計188.53点で優勝した。

会場のダイドードリンコアイスアリーナ(東京都西東京市)は、朝から長蛇の列で、2019年以来の有観客ということもあり、場内は満席となった。

東京選手権で東日本選手権への出場権を獲得したシニア・ジュニアの選手たち、そして全日本ノービスを決めた選手たちの結果を振り返っていく。

【シニア男子】鍵山優真が優勝

シニア男子は23名が東日本選手権へ出場を決めた。

優勝した北京五輪銀メダリストの鍵山優真は昨季、ケガで苦しんだ。

復帰後9月のロンバルディア杯で優勝、と好調の鍵山は最終滑走としてSPに臨んだ。

冒頭の4回転サルコウで転倒してしまうが、高い技術力と表現力でその後は完璧にまとめあげた。演技構成点では45.50をマークし、出場選手唯一の40点台を叩き出し、1位に。

FSでは前日にミスがあった4回転サルコウを出来栄え点(GOE)+3.88点で決めると、4回転のコンビネーションジャンプでも出来栄え点(GOE)+3.48点を引き出す、質の高いジャンプを成功させる。

演技後、ガッツポーズが飛び出した鍵山優真
演技後、ガッツポーズが飛び出した鍵山優真
この記事の画像(20枚)

安定感抜群の演技を披露し、氷上でガッツポーズが飛び出した。

「最後まで全力で滑りきることができた。次の試合ではもっと良い演技ができるように頑張りたい」

現在、鍵山は4回転フリップを練習中だという。確かな手ごたえを感じ、今季投入を目指す。

鍵山の完全復活が待ち遠しい。

新衣装のお披露目となった佐藤駿は2位に
新衣装のお披露目となった佐藤駿は2位に

2位には佐藤駿が入った。

SPでは久しぶりの第1グループでの滑走に緊張したと話し、6分間練習中には高難度ジャンプに苦戦する姿もみられた。

それでも本番では今季から投入の4回転フリップを着氷し、場内がどよめいた。

佐藤は着氷させた4回転フリップに対して、「シーズン最初にしてはよかった」と振り返った。

続くFSではこれから本格的に始まる国際試合に向けて、最近練習で跳んでいなかった大技4回転ルッツを投入。

転倒してしまうが、その後4回転トゥループを2本決めるなど立て直した。

今季、振付を北京五輪アイスダンス金メダリストのギヨーム・シゼロンさんに依頼。多彩なバリエーションを持つシゼロンさんから生まれた新感覚のプログラムは、体力がかなり削られる。

この日も演技後に苦しそうな表情が見受けられた。

シゼロン効果で色っぽく、表現力を向上中の“ジャンプの天才“佐藤に目が離せない。

今季絶好調の三浦佳生も新衣装を着用して登場
今季絶好調の三浦佳生も新衣装を着用して登場

3位には今季絶好調の三浦佳生。

SP当日、朝の公式練習で腰を負傷するアクシデントがあった。

それでも痛みを感じさせない迫力ある滑りで会場を圧倒させた。

腰の状態が気になるが、トレーナーのケアを受けながら臨んだFSでは、いきなり4回転ループにトライするなど、攻めた構成で演じきった。

自身の演技を振り返り、「合格点です」と三浦。

自分の戦いぶりに満足の様子だ。

「卍(まんじ)ボーイズ」と呼ばれる鍵山・佐藤・三浦
「卍(まんじ)ボーイズ」と呼ばれる鍵山・佐藤・三浦

このFSの前夜、鍵山・佐藤・三浦の3人で決起集会を行ったという。

この3人は幼い頃からともに切磋琢磨してきた仲で「関東三羽がらす」「卍(まんじ)ボーイズ」と呼ばれている。

2018年の関東選手権の表彰台も3人でのぼった
2018年の関東選手権の表彰台も3人でのぼった

この決起集会ではSPの反省会も行われ、三浦はFSでの大技挑戦の背中を押されたという。

「とても懐かしいというか。5年前くらいの関東ブロック大会とかと同じような感じがしていて、またみんなで戦えて嬉しい気持ちです」

次、この3人が揃うのは12月の全日本の舞台となる。彼らの快進撃に期待だ。

シニア男子表彰台(東京選手権)
シニア男子表彰台(東京選手権)

【シニア男子】
1位 鍵山 優真(オリエンタルバイオ/中京大学)284.75点
2位 佐藤 駿(エームサービス/明治大学)251.28点
3位 三浦 佳生(オリエンタルバイオ目黒日大高)227.33点
4位 吉岡 希(法政大学)221.72点
5位 長谷川 一輝(東京理科大学)190.75点
6位 門脇  慧丞(法政大学)190.10点
7位 大島  光翔(明治大学)189.31点
8位 北村  凌大(日本大学)175.75点
9位 志賀  海門(法政大学)166.09点
10位 佐藤 由基(日本大学)159.67点
11位 矢島 司(駒場学園高校)149.53点
12位 小舘 薫(芝浦工業大学)142.62点
13位 松井 努夢(明治大学)142.17点
14位 鈴木 楽人(法政大学)141.07点
15位 國方 勇樹(日本大学)139.88点
16位 小田垣 櫻(日本大学)137.29点
17位 廣田 聖幸(早稲田大学)136.02点
18位 大中 惟吹(東洋大学)134.85点
19位 松岡 隼矢(法政大学)134.06点
20位 坂東 凜(東洋大学)130.48点
21位 栖川 源二郎(東洋大学)130.15点
22位 梶本 将太(専修大学)127.72点
23位 藤城 柊治(日本大学)104.96点

【シニア女子】住吉りをんが逆転V

女子は40人中、21人が東日本選手権へ出場を決めた。

優勝したのは住吉りをん。

SP4位で迎えた住吉は、FSで4回転トゥループに挑戦。

逆転優勝を果たした住吉りをん
逆転優勝を果たした住吉りをん

6分間練習では見事に着氷も、本番では惜しくも両足着氷となった。演技内容に悔しさもあると話していたが、出場者唯一の技術点60点超えで逆転優勝を果たした。

「次はGPシリーズに向けて体力強化や4回転の成功率アップを目標にして、たくさん練習して、思い描く演技ができるように頑張りたい」

江川マリアは2位に
江川マリアは2位に

2位は江川マリア。

去年の東京選手権で優勝した江川はSP68.80点と、首位で折り返した。

この日、祖母とその友人が観戦に来ていたようで、「遠くまで観に来てくれて、いい演技を見せることができてよかった」と振り返った。

FSでは思うような演技ができなかったと順位を落とし、連覇とはならなかった。

東京ブロックで初表彰台を大学ラストイヤーで乗った青木祐奈
東京ブロックで初表彰台を大学ラストイヤーで乗った青木祐奈

3位は青木祐奈。

大学ラストイヤーとなる今季、SPでは自身の得意技で、他に跳べる選手が少ない3回転ルッツからの3回転ループのコンビネーションジャンプを見事成功させる。

FSではその得意技は決まらなかったが3位表彰台に。東京ブロックで初の表彰台を大学ラストに乗ることができてよかったと振り返った。

4位に樋口新葉、次戦の国際大会に向けてレベルアップを誓う
4位に樋口新葉、次戦の国際大会に向けてレベルアップを誓う

4位には樋口新葉。

樋口にとって5年ぶりの出場となった東京選手権。SPでは会心の演技でファンは総立ちに。

「かなり安定してきた」と、8月の東京夏季フィギュアスケート競技大会よりも状態が上がっていることを実感。

目標を高めに設定することで、練習の質も上がっているという。

FSでは6分間練習から3回転ルッツがはまらず苦戦してしまう。本番でも決まらず悔しい結果になった。それでも演技構成点は唯一60点台をマーク。

次戦のGPシリーズフランス大会に向けて更なるレベルアップを誓った。

シニア女子表彰台(東京選手権)
シニア女子表彰台(東京選手権)

【シニア女子】
1位 住吉 りをん(オリエンタルバイオ/明治大学)188.53点
2位 江川 マリア(明治大学)183.95点
3位 青木 祐奈(日本大学)178.66点
4位 樋口 新葉(ノエビア)173.77点
5位 田邊 桜香(日本大学)153.63点
6位 渡辺 倫果(TOKIOインカラミ/法政大学)152.93点
7位 石田 真綾(立教大学)148.57点
8位 増田 未夢(東洋大学)140.94点
9位 元榮 愛子(明治大学)137.80点
10位 木南 沙良(早稲田大学)128.99点
11位 平金 桐(法政大学)128.79点
12位 本田 真凜(JAL)125.53点
13位 廣田 彩乃(専修大学)123.01点
14位 三枝 知香子(日本大学)122.20点
15位 吉野 汐香(法政大学)119.42点
16位 依田 茉里紗(日本大学)118.33点
17位 小嶋 孝夏(法政大学)117.24点
18位 髙橋 舞(法政大学)116.93点
19位 吉本 玲(早稲田大学)115.97点
20位 堀見 華那(明治大学)105.68点
21位 生方 日凜(法政大学)105.27点

【ジュニア男子】中田璃士が優勝

ジュニア男子は中田璃士が優勝した。

既にジュニアGPファイナルの出場を決めている中田は、SPでトリプルアクセルを完璧に着氷させ、出来栄え点(GOE)も+2.13をマークした。

FSでは今季から投入している4回転トゥループに挑戦。惜しくも成功とはならなかったが、続くトリプルアクセルのコンビネーションジャンプを成功させた。

中田璃士、目指すのは全日本ジュニアでの優勝
中田璃士、目指すのは全日本ジュニアでの優勝

この日、お客さんを楽しませるために6分間練習中にまだ構成に入れる予定のない4回転サルコウを披露してみせた。この大技は来年、組み込む予定だそうだ。

気持ちに余裕が出てきているという中田が見据えるのは、全日本ジュニアでの優勝だ。

ジュニア男子は、東日本には20名に加えて、ジュニアGPシリーズ出場のため、予選免除されている蛯原大弥が進出した。

ジュニア男子表彰台(東京選手権)
ジュニア男子表彰台(東京選手権)

【ジュニア男子】
1位 中田 璃士(TOKIOインカラミ)207.38点
2位 菊地 竜生(明治大学)181.92点
3位 蛯原 大弥(明治神宮外苑FSC)169.59点
4位 森 遼人(MFアカデミー)164.70点
5位 田中 蓮音(星槎国際高等学校東京)163.90点
6位 山田 琉伸(早稲田大学)161.92点
7位 周藤 集(ID学園高等学校)159.39点
8位 加藤 海里(目黒日本大学高等学校)156.27点
9位 木村 智貴(西武東伏見FSC)151.25点
10位 田邊 拓也(東大和FSC)140.45点
11位 池田 立(MFアカデミー)138.27点
12位 小森 大地(MFアカデミー)136.93点
13位 牧島 瑠依(目黒日本大学高等学校)125.76点
14位 浜中 玲旺(明治神宮外苑FSC)123.88点
15位 神田 龍之介(明治神宮外苑FSC)119.78点
16位 丹羽 遥珂(MFアカデミー)113.98点
17位 清水 丈(明治神宮外苑FSC)113.69点
18位 嶋﨑 帆々渡(江戸川クラブ)85.77点
19位 中川 広喜(目黒日本大学高等学校)84.03点
20位 廣瀬 健一郎(明治神宮外苑FSC)77.07点

【ジュニア女子】奥野友莉菜が2連覇

ジュニア女子は、奥野友莉菜が去年に続き連覇を果たした。

今季これまで「思うような演技ができない」と話す奥野。

前回大会の女王としてのプレッシャーもある中、SPで出だしからつまずくアクシデントが起こる。その後も崩れそうになるも何とかこらえ首位で折り返す。

2連覇を果たした奥野友莉菜
2連覇を果たした奥野友莉菜

FSでは冒頭に予定していた3回転のコンビネーションジャンプを転倒。それでもジュニア勢トップクラスのスケーティングスキルを誇る彼女は、演技構成点で差をつけて優勝した。

試合後、技術面とメンタル面は、自身がさらに向上するために勉強中だという。

「いろいろ模索中ですけど、明日から瞑想やります(笑)」

2年連続で2位に終わっている東日本。さらなる高みへ進化を誓った。

東日本には12名に加えて、ジュニアGPシリーズ出場のため、予選免除されている髙木謠が進出した。

ジュニア女子表彰台(東京選手権)
ジュニア女子表彰台(東京選手権)

【ジュニア女子】
1位 奥野 友莉菜(駒場学園高校)166.55点
2位 今関 友梨香(MFアカデミー)160.06点
3位 前田 悠名(東京女子学院)146.57点
4位 北見 奏(MFアカデミー)141.86点
5位 髙砂 真優(目黒日本大学高等学校)133.86点
6位 岡本 真綸(法政大学)128.41点
7位 穂積 乃愛(駒場学園高校)121.62点
8位 吉田 茉優(明治神宮外苑FSC)121.54点
9位 長山 桃子(MFアカデミー)118.50点
10位 吉野 心菜(東京女子学院)114.14点
11位 今瀬 ひより(MFアカデミー)113.61点
12位 井瀧 梨杏(駒場学園高校)113.39点

【ノービスAB、男子・女子】

11~13歳が参加するノービスAクラスと、9~11歳が参加するBクラスでは、この東京選手権を通過すると、10月21日開催の全日本ノービスへ出場できる。

ノービスA男子は推薦選手の吉野咲太朗、山本航成と3名が、ノービスA女子は推薦選手の大竹沙歩と5名が、全日本ノービスへ出場を決めた。

ノービスBは男子の出場者全員、女子は推薦の宮﨑花凛(かりん)と五箇心乙祈(ごか・みおり)を除く上位4名が全日本ノービスの出場を決めた。

ノービスA男子表彰台(東京選手権)
ノービスA男子表彰台(東京選手権)

【ノービスA男子】
1位 山本 航成(西武東伏見FSC)91.77点
2位 吉野 咲太朗(西武東伏見FSC)91.60点
3位 彼末 武琉(明治神宮外苑FSC)63.50点
4位 小川 眞生(明治神宮外苑FSC)59.80点
5位 山野井 馨(明治神宮外苑FSC)58.23点

ノービスA女子表彰台(東京選手権)
ノービスA女子表彰台(東京選手権)

【ノービスA女子】
1位 大竹 沙歩(MFアカデミー)71.32点
2位 小山 美海(MFアカデミー)69.42点
3位 清水 恵茉(明治神宮外苑FSC)63.71点
4位 茂 優碧(MFアカデミー)63.10点
5位 野田 めぐみ(明治神宮外苑FSC)61.44点
6位 成田 桜彩(明治神宮外苑FSC)58.54点

ノービスB男子表彰台(東京選手権)
ノービスB男子表彰台(東京選手権)

【ノービスB男子】
1位 日髙 晴久(MFアカデミー)72.63点
2位 武正 侑駕(明治神宮外苑FSC)46.26点
3位 岩﨑 藤(MFアカデミー)44.40点
4位 佐藤 正篤(明治神宮外苑FSC)34.59点
5位 安藤 大輝(江戸川クラブ)30.38点

ノービスB女子表彰台(東京選手権)
ノービスB女子表彰台(東京選手権)

【ノービスB女子】
1位 宮﨑 花凜(MFアカデミー)77.38点
2位 五箇 心乙祈(明治神宮外苑FSC)62.16点
3位 植竹 美結(MFアカデミー)61.39点
4位 川﨑 優衣(明治神宮外苑FSC)59.65点
5位 布川 由麻(明治神宮外苑FSC)58.33点
6位 田中 希和果(明治神宮外苑FSC)57.06点

全日本までの道の詳しい概要はフジスケでhttps://www.fujitv.co.jp/sports/skate/figure/index.html
FODで全選手・全演技LIVE配信

フィギュアスケート取材班
フィギュアスケート取材班