9月9日・10日に愛知・名古屋市のバンテリンドームナゴヤで行われた“もう一つのWBC”障害者野球の世界大会で、日本代表が連覇を果たした。岡山のチームからも5人の選手が日の丸を背負って出場した。生死をさまようほどの事故を乗り越え、日本代表という夢を掴んだ元高校球児を追った。
交通事故で生死をさまよう大けが
大会は日本やアメリカなど世界5つの国と地域が、障害者野球の世界一を競うもので、“もう一つのWBC”として注目されている。

その日本代表選手に、岡山のチーム「岡山桃太郎」から5人の選手(槙原淳幹選手・早嶋健太選手・井戸千晴選手・高月秀明選手・浅野僚也選手)が選ばれた。

浅野僚也選手:
今は自分のできることを世界大会でぶつけるだけ

浅野僚也さんは元高校球児。強豪・倉敷商業のピッチャーで、甲子園にも出場した。

浅野僚也選手(2021年取材当時):
ここから先、空気位の感覚で、そもそも腕あるのかなという感じだったけど、退院する時もぶらんぶらん、全く動きもしない
高校卒業後、浅野さんは交通事故に遭い、生死をさまようほどの大けがをした。

浅野僚也選手(2021年取材当時):
野球はちょっとできなさそうねって言われて、絶望というより本当終わった
利き手の右手の感覚がほとんどなく、思うようにボールが投げられなくなった浅野さんは、インターネットで「障害者野球」を知り、再び野球を始めた。

鍛え抜かれた俊敏な動きと、高校野球で培ったバッティングセンスで、岡山桃太郎の全国優勝に貢献。障害者野球を続ける中で、浅野さんには2つの夢が芽生えた。

1つは、日本代表選手に選ばれ世界大会に出場すること。そしてもう1つは、「もう1回ピッチャーをして、誰にも負けないくらい自信を持ったピッチャーになる」ことだ。
日本代表として再びマウンドに立つことを目指す
世界大会の1週間前、力強くボールを投げる浅野さんの姿があった。

浅野僚也選手:
ジャパン(日本代表)の時の練習で、投げたらいけるかも

キャッチャーをした井戸千晴選手:
以前とは比べ物にならないくらい、本当に球の回転している。勢いがすごい
感覚のない右手でピッチング練習を重ねてきた浅野さん。今回は野手としての出場だったが、日本代表で再びマウンドに立つことを目指している。

浅野僚也選手:
障害者野球を始めていなかったら、こんなことにはなっていない。この野球に出会えて日本代表に入れたことで、なおさら、自分の中で頑張らないといけないと思ったから、そのおかげで今がある
世界の舞台に挑んだ岡山の侍たち。野球への情熱が絶えることは決してはない。
(岡山放送)