出るも地獄、残るも地獄の岸田さん

自民党の岸田政調会長が総裁選への出馬を断念した。
記者会見での悲しそうな顔がかわいそうだった。
出ても勝ち目はないし、石破さんにさえ負ける危険性もある、
むしろ今回やめて、安倍首相を応援した方が3年後に禅譲してもらえるかも、というのがメディアの解説。

岸田さんは苦渋の決断をする前に、安倍さんとサシで何度も飲みに行っている。
安倍さんの性格からして、「出るな」とは言わない。もちろん「出ろ」とは絶対に言わない。
たぶんニコニコしながら岸田さんの話を聞いていたんだろうけど、それは岸田さんにとってはものすごいプレッシャーだったろうな。岸田さんにしてみればいっそ「出るな」と言われた方がまだラクだったかも。

野田大臣には「出てもいいよ」

推薦人20人を集めるのに苦労してる野田聖子総務相は、「安倍さんから出てもいいよって言われたよ」と言っていた。
岸田さんやっぱりかわいそうだ。

これって、いじめですよね。
横からは盟友の麻生財務相が「総裁選に出た派閥は干せ」と言ってたみたいだし。
岸田さんが言うように、出るも地獄、残るも地獄でした。

石破つぶし?

これで安倍さんの3選は濃厚になり、安倍さんにとっての後継者戦略は、石破さんはつぶし、岸田さんと河野外相で競わせ、自民が政権を失いそうなピンチになったら進次郎さんを投入する、こういう展開になるのでしょうか。

本命岸田、対抗太郎、大穴進次郎ですね。

首相は国民が決めたい

でも日本は民主主義国家なんだから、首相は、一部のオヤジが密室で決めるんじゃなくて国民が決めたいな。
あるいは本当に強い人が競争で勝ってほしいな。
だからこそ、2大政党制が崩壊して、政権交代が困難な現状では、3年に1度の自民党総裁選に、首相になりたい人は出て、
政策を論じ合うという、「次の首相」の顔見世興行をやってほしい。

安倍さんは「何甘いこと言ってんだ」と笑うでしょう。
そんな生易しいことで天下は取れないよ、と。

“禅譲”首相は失敗する

でもね。
禅譲で首相になってうまくいったことないんです。
「こいつならそこそこうまくやれるだろう」というような人は必ず失敗しています。
安倍さんだって小泉さんから禅譲された第一次政権は大失敗。周りからバカにされながらもう1回出て、力づくで奪った第二次政権で花開いたじゃないですか。

安倍さんの政権運営、はっきり言って文句ない。唯一の不満は後継者育成をしないことです。
だから一人勝ちが余計に目立って「安倍嫌い」が増えてるのかもしれませんよ。

(執筆:フジテレビ 解説委員 平井文夫)

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