学校や病院、官公庁などでも給食事業を展開していた広島市の食堂運営会社が突然営業を停止し、特別支援学校の給食や高等技術校の寮、広島県庁の食堂など混乱が広がっている。FNNの調べによると、この会社の食事の提供停止の影響は17府県にのぼっている。

給食停止影響は17府県に

学校や病院、官公庁などでも給食事業を展開していた「ホーユー」の営業がストップしている問題。食事の提供が停止しているのは17府県にのぼる。

17府県で食事の提供が停止
17府県で食事の提供が停止
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静岡県の特別支援学校では、給食作りを委託していた業者と連絡が取れなくなり、5日、調理員が学校に来なかった。そのため、生徒たちは急きょ、缶パンや缶詰などの防災食を食べることになった。

調理員が来なくなり生徒たちが食べたのは防災食だった(イメージ)
調理員が来なくなり生徒たちが食べたのは防災食だった(イメージ)

普段出されている給食は、うなぎの卵とじや冷凍みかんなど、栄養バランスの考えられたラインアップになっている。静岡県立吉田特別支援学校の事務長は「本当に困っています。やっぱり給食と比べて食が進まない子がいたりする」と語る。

広島県庁の食堂も人の気配なし
広島県庁の食堂も人の気配なし

5日まで営業していた広島県庁の議会棟に入っている食堂も、6日は電気が消えて、人の気配はない。

また、島根・出雲市の島根県立東部高等技術校では、食事の対応の止まった5日以降の献立も、7日分まで調理室に残されていた。

冷蔵庫には食材も残っていた
冷蔵庫には食材も残っていた

冷蔵庫を開けると、ソーセージやインゲン、ゼリーなどの食材が残っていて、調理スタッフ側にとっても急な連絡だったとみられる。

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島根県立東部高等技術校・山崎雅則校長:
大変私どもも急な話で驚いております。特に寮生の皆さんに不便をかけることになりますので、そのことが大変残念だなと思っております。 

今後はできるだけ早く、新しい事業者を探すとしている。

運営会社社長「やむを得ず営業止めた」

食堂運営会社「ホーユー」の山浦芳樹社長は取材に応じ、営業を停止した理由について、「やむを得ず営業を止めた。学生には申し訳ない。物価上昇が続く中でも、運営できないような安価で落札される。安くしないと学校に契約してもらえない」と打ち明けた。

一方、広島県の教育委員会は、食材費の高騰分を補助する案内をしているという。

会社側は補助申請は行わないと回答
会社側は補助申請は行わないと回答

広島県教委高校教育指導課・小野裕之課長:
ホーユーさんの担当者の方から、現在の給食費のこの単価で工夫しながら食事の提供を継続していくので、補助申請については行わないということで回答いただいております。

物価高の影響を受ける食堂事業について、一般論として専門家はこう話す。 

物価高の影響について専門家は...
物価高の影響について専門家は...

日本給食業経営総合研究所・井上裕基氏:
利益度外視な契約を結んでしまっている会社は、こういった外部環境の影響をもろに受ける。ただ、価格は変えづらい。そのまま頑張るしかないけれども、ここに来て倒れてしまうという会社が非常に多くあるというのが実情です。

近日中に広島地裁に破産手続きの予定
近日中に広島地裁に破産手続きの予定

ホーユーは、500人以上の従業員も解雇し、近日中に広島地裁に破産手続きをする予定だという。
(「イット!」9月6日放送より)