元福岡ソフトバンクホークスの抑え投手だったデニス・サファテ氏(42)が、3年ぶりに福岡のマウンドに戻ってきた。引退してもホークス愛があふれるサファテ氏。苦しい戦いが続くチームへ力いっぱいエールを送った。

2021年に現役を引退…当時の心残り

広島カープ、埼玉西武ライオンズを経て2014年にホークスに入団したサファテ氏は、“絶対的な守護神”として君臨した。

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移籍1年目から4年連続で30セーブ以上をマークし、2015年からは3年連続で最多セーブのタイトルに輝いた。2017年にはNPB歴代最高となる54セーブをマーク。「キング・オブ・クローザー」と呼ばれた。サファテ氏がいなければ、常勝軍団としてのホークスもあり得なかったともいわれている。在籍8年、最も長く在籍したホークスへの「愛」はひとしおだ。

現在、サファテ氏はアメリカ・アリゾナ州で家族との時間を大切に過ごしている。

デニス・サファテ氏(アメリカ取材):
2017年に日本一になった映像を時々見返すけれど、優勝した瞬間は何が起きたか分からなかった。いま見返すと最高の瞬間だった

2018年に股関節を痛め長期離脱。その後、アメリカで手術を受け、リハビリを続けたが、惜しまれながら2021年に現役を引退。コロナ禍で来日も難しく、ファンに別れを告げられなかったのがずっと心残りだったと話す。そのサファテ氏にホークスからうれしい知らせが届いた。

デニス・サファテ氏(アメリカ取材):
チームからセレモニーをしたいと言われている。きちんと引退できていなかったからね、うれしいよ

苦戦続くホークスに“檄”

デニス・サファテ氏:
やっと戻ってこれた。こういう機会を与えてくれたホークスに感謝。自分の中では、福岡にいないのも変な感じ。帰ってきた時も、球場に来るのが、選手としてしか来たことなかったので、選手じゃない状態でいるのが不思議だ

サファテ氏が待ちに待った日。8月18日の試合前、ホークス恒例のベンチ前での声出しに選手に内緒で突然、サプライズ登場。調子が上がらないチームに「檄(げき)」を飛ばした。

デニス・サファテ氏(ドーム試合前の声出し):
昨日の試合(8月17日 対バファローズ 1-2で敗戦)、見ましたけれど、ホークスはあんなものじゃないはずです。ホークスは1位じゃなきゃダメですよ。(今季加入の近藤選手に)彼は打ち方を知っています。私はファイターズ時代の近藤選手から1回もアウトをとったことないんだよ。きょうは、素晴らしいバッティングを見せて下さい。『Let's Go Hawks!』

そしてサファテ氏が見守った8月18日のゲーム。柳田悠岐選手が節目となる1,500本安打をホームランで飾ると、先発石川柊太投手は、なんとノーヒットノーランを達成。サファテ氏の期待に応える会心のゲームとなった。試合後には報道陣に囲まれている石川投手のもとへ、お祝いに駆けつける場面もあった。

石川投手は試合後の記者会見で「デニさん来るから『やべぇ頑張んねぇと』って思った」と笑顔を見せた。

「やっとだね」ファンに伝えた感謝

8月19日のセレモニアルピッチでは、現役時代にバッテリーを組んだ鶴岡慎也氏(現、野球解説者)のミットへ変わらぬフォームで投げ込み、3年ぶりにその勇姿を披露した。

グラウンドに登場した家族を目にするとたまらず目頭を押さえた。

デニス・サファテ氏(あいさつ):
8年間、家族と離れて生活していても、皆さんの支えがあったからこそ、ここまでできたと思っています。ありがとうございました

支えてくれたファンにあいさつするとスタンドからだけでなく、かつて在籍した西武のナインからも大きな拍手が送られていた。

デニス・サファテ氏:
やっとだね。かなり時間がかかったけれど、福岡に来る機会をくれた球団には感謝しているし、福岡は故郷のようなものだから、心が離れたことはなかった

引退しても、ホークス愛があふれるサファテ氏。苦しい戦いが続いているチームに力いっぱいのエールを送る。

デニス・サファテ氏:
このチームが持っている力は、僕が一番分かっている。3位で満足できるチームではない。必ず1位にいないといけないチーム。思い通りに行かないこともあるだろうけれど、励ましたい。言葉で表せないぐらい日本が大好き。本当に感謝しているよ。ホークスのために何かしたい、助けになりたいと思っているよ

(テレビ西日本)

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